コーダ

コーダ

   







とても寂しかったんです

ずっと我慢していたんです

裏切るような気がして

忘れようとする自分に思えて

だから

ほんの一つきりの言葉でさえ

頬に

温度を感じて



それでも

揺れる

あまりに

哀しかった



絶えまない終わりのコーダを聞きながら

いまなお

泥泥の血に吐きながら 

        ここにいる



生きられなかった者がわたしへ遂げてくれた絶唱をよすがに

赤裸々なままに夕刻の眩しすぎる光に散ってしまいたかった





  

コーダ

作者ツイッター https://twitter.com/2_vich

コーダ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-07-23

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