不揃いの靴達
靴の向き ヒールの向きで
あなたの気分や感情なんて
手に取るように分かりたかった
靴の向き すべての向きが
一緒で 並んで 統一されているときは
いつものあなたがいた気がしたんだ
使い古したスリッパが泣いて
使い古されたか分からないわたしも啼いた
綺麗好きではなかったけれど
揃っていないことにはやけに過敏で
花瓶に挿さった花の向きさえ
日々確認を怠らなかった
脳の車輪にブレーキをかけて
坂くだる前の準備をすれば
失意や失念は晴れるだろうか
三年前のスニーカーを履き直す
あらゆるものが揃った気がした
不揃いの靴達