不揃いの靴達

靴の向き ヒールの向きで
あなたの気分や感情なんて
手に取るように分かりたかった
靴の向き すべての向きが
一緒で 並んで 統一されているときは
いつものあなたがいた気がしたんだ

使い古したスリッパが泣いて
使い古されたか分からないわたしも啼いた
綺麗好きではなかったけれど
揃っていないことにはやけに過敏で
花瓶に挿さった花の向きさえ
日々確認を怠らなかった

脳の車輪にブレーキをかけて
坂くだる前の準備をすれば
失意や失念は晴れるだろうか

三年前のスニーカーを履き直す

あらゆるものが揃った気がした

不揃いの靴達

不揃いの靴達

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-07-15

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