テロ対策は闇が深い!Dora
この話は『テロ対策は闇が深い!Cäsar』の続きです!(1話は『テロ対策は闇が深い!Able』)
※この話は『小説家になろう』にも載せます
※この話は『小説家になろう』では第二章にあたります
Dora
東京本部、監視部専用室……
ガチャッ!
突然部屋の扉が開くと、部屋の中に男性対策官が入ってきた。その男性は迷わず高坂のいる席に向かうと、高坂にこう言った
「高坂二等、少々宜しいですか?」
高坂はそう言われると顔を上げ、話しかけてきた男性を見た
「何ですか?」
「宇賀二等より連絡がありまして……」
男性はそう言うとポケットからスマートフォンを取り出した。そして画面を高坂に見せるとこう言った
「作戦中に拳銃を所持している男を捕まえたそうで、こちらに連れてきているそうです」
スマートフォンの画面には、名取に取り押さえられている男性が写っていた。それを見た高坂は男性対策官にこう聞いた
「名取君は何番車ですか?」
「えっと、少々お待ちを……」
男性対策官はそう言うと、扉の近くに張ってある紙に近付いた。そしてその紙を見るとこう答えた
「五番車です」
「分かりました。では、和泉君以外に手が空いている人はいませんか?」
高坂は部屋にいる監視官にそう聞いた。しかし皆、仕事があるようで手が空いている人は誰もいなかった
「高坂二等、この場合って一人だけでやるやつですか?」
和泉は高坂にそう聞いた。すると高坂は首を横に振り「いや」と言うと、続けてこう言った
「私もやるので合わせて四人です」
高坂がそう言ったときだった。突然監視部専用室の扉が開くと、部屋の中に女性監視官が入ってきた。なので高坂はダメもとでこの後仕事がないか聞いてみた
「朝宮さん。このあと暇ですか?」
女性監視官は高坂にそう聞かれると立ち止まった。そして腕時計で時間を確認するとこう言った
「暇ですけど、お昼のお誘いですか?」
「いえ、そうではな……」
高坂が全てを言い切る前に朝宮は「分かってます。仕事ですよね?」と言った。するとそれを聞いた高坂はこう言った
「そうです。和泉君と正面口に行ってくれますか?」
「了解。任せてくださいな」
朝宮はそう言うと手に持っていた資料を近くの棚の上に置いた。そして足早に部屋を出ていった
「高坂二等。それでは自分も……」
和泉は高坂にそう言うと部屋を出ようとした。しかし高坂は和泉が部屋から出る前にこう言った
「私も通信が終わり次第向かいます。それまで頼みます」
「了解です」
和泉はそう言うと部屋から出ていった
『では連絡を入れますか』
高坂は心の中でそう言うと無線機がある場所に移動した。そして無線機を使い、名取の乗っている五番車に無線を繋げ始めた……
東京本部付近にて……
『こちら本部、五番車応答せよ。五番車応答せよ』
突然無線機からそう聞こえた。なので名取は素早く無線機を取ると「こちら五番車。用件をどうぞ」と言った
『捕まえた男性の件でサポートします。本部の正面入り口に車を止めてください』
「了解です」
名取はそう答えると無線を切った。そして無線機を所定位置に置いた
「保科一等」
「あぁ、聞こえてたから大丈夫だ。正面に行けば良いんだろ?」
保科はそう聞いた。なので名取は「はい。そうです」と答えた
ドンッ!ドンッ!
突然後ろからそんな音がした。なので名取が後ろを向くと、後部座席で捕まえた男が暴れていた
「また暴れ始めたか。さっきまでは静かだったのに……」
バックミラーで後部座席の状況を確認した保科がそう言った
いま二人の乗っている五番車は運転席、助手席のある前部分と後部座席のある後ろ部分の間に仕切りがない車だった。なので後部座席で暴れられると運転に支障が出ることがあった
「名取、何とかしてくれないか?このままじゃ事故るかも知れない」
「何とかしてくれと言われましても……」
保科にそう頼まれたものの、名取はどうやったら良いか分からず困ってしまった。すると保科は右手で拳銃の形をつくって「コレ使えば良いじゃん」と言った
しかし狭い車の中で、拳銃を使うのは色々と危なかった。なので名取は「どう考えても危ないですよ」と言った。すると保科は「そうか?」と聞いた
「そうです。車が燃えても知りませんよ」
名取がそう言うと保科は「それは困る。拳銃は使うな」と言った
「でも、そうなるとどうやって……」
名取はそう言うと再び後ろを見た。しかし男は先程とは違い、大人しくなっていた
「だ、大丈夫みたいです」
名取は保科にそう言った。すると保科は「迷惑なやつだな。突然暴れたと思ったら大人しくなりやがって」と言った
「何がともあれ静かになって良かったですね」
名取は保科にそう言った
二人がそんな事をしている間にも車は東京本部に向かって走っていた。そして交差点を左折すると、ようやく目的地である東京本部の建物が視界に入った……
テロ対策は闇が深い!Dora
保科怜央(ほしなれお)
一等監視官
武器……拳銃