ヒトを変えるモノ

マチミサキ 作

【時現流】

古流薩摩示現流の派生とも呼ばれ
政末25世紀初頭に
カウシウ圏主
J・K・ナヤミタ氏により編み出されたとも
言われる流派

超実戦主義を旨とし
手武器競技での参加記録は皆無

その多くは謎に包まれており
未確認情報ではあるが
天亡の構え、と呼ばれる独特のスタイルを持つ
とも伝えられている

流派の高位者は
多高密度特殊合金を用い
更に
その刃部表面には
使用者の精神感応により形態変化し
肉眼による視覚が可能となる程の
高出力コロラナ波を形成する
非常に高い殺傷力を有する独自の武具を
愛用するとも言われている。

有名な話ですが

某国の遺跡
その古代文字に綴られた一文に
『最近の若い者は・・・』
というものが在ります。

何千年もの前から
人間の力で進歩した文化や技術に比べ

おそらく
人間そのものはあまり変わってはいない。

外見ではなく
その内面が、です。

いつの時代も
人々は一人の例外もなく
苦悩の中に生きている。

少なくとも
正気を保っている者であれば。

けして
死を迎えることなく
永遠の春を約束された者など
有史には存在しない。

たとえ
居たとしても
おそらくは
さらに倍加した
苦しみの上で過ごしている。


人は皆
限りあり
あまりにも短い生のその中ですら
苦悩し争いながら
生きて行く

それが
おそらくは理想に向かう正解ではない事など
百も承知で。

そうせざるをえない

おそらく
この先も

技術は想像も出来ない程に進歩し
夢のような道具も技も夢でなくなる

そうなっても
おそらく
人間そのものは
あまり
変わらないと思う

恐怖や痛み
感動や支配
愛情や平和

そんなもので
人間が
今の世に謳われる理想に変わるなら

もう
とっくに
戦争や格差など無くなっているはず。

人類史が
どれほどの経験を生み出しているのかを
振り返れば。

ならば

人間を変えるものとは何なのか。

理想とされる
苦悩から
解き放つ世界を創る

根本から

そんなヒト達へと
変えるものとは?


愚考を限界以上に重ね続け
導出した答は
文化でも技術でも教育でも
感情ですらもない。



私が思い浮かべたもの

それはきっと・・・。

・・・

さて、
そこまで
辿り着き
実践するのに

あと

何万年
必要になるのか

これは

今のヒトがヒトである限り

何処にも
発表は出来ないほどの禁忌。


それでも
私のノートには
書き残しておきましょう。


いつかくる
そんな未来を早める為に。

願いと共に。

ヒトを変えるモノ

今日の夕方
小雨降る中
人々で込み合う某駅近くの歩道での事。

傘の柄を頭の位置ほどの高さまで上げ
甲高い奇声を上げ

タタタッ

と、私の方へと迫り来る女子校生が数人。

ッ━━━━時現流の刺客!?

と、
身構える私の横を
駆け抜け
そのまま
改札へと消えて行きました。

察するに
すぐ来る次の電車に
乗りたかったみたいですね。

いや、
なんとなく
蜻蛉の構えからの踏み込みダッシュに
クリソツだったので。

てっきり
本文に書いた私の考えが未来で
実行されかけ
それを阻止する為に
未来人が放ち
過去へと送り込んだターミネーター的な
自分への殺し屋かと勘違いしてしまいました。


あまり
先進的すぎる思想は危険ですな。

こわいこわい。

ヒトを変えるモノ

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2019-07-12

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