不均衡の交錯
僕はいったいなにを浪費していたのだろう。白い壁。街灯。対比しない光。
彼女は……彼女は思い出の中にいた。でもそれは僕の思い出だっただろうか。彼女は僕を思い出としてさえ置いただろうか。不均衡の交錯。
「ごめんなさい。その気持ちだけは叶えられない」
下降していくテールランプ。あの日の僕の不安に燭台はなかった。灯しは行き先もなく、ただ凍えるままに消せないひとが消えていった。
シングルベッドの曖昧な光沢。君の裏切りかもしれなかった証を、僕の虚構の裏切りが混濁させようとする。君を僕のペシミズムにはしたくなかった。
僕と君の、僕の中での赦しあいを望んだ。
浪費さえも愛したかった。君さえあの日々を、君の今へと絶望しないならば。
不均衡の交錯
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