不均衡の交錯

不均衡の交錯

   






僕はいったいなにを浪費していたのだろう。白い壁。街灯。対比しない光。

彼女は……彼女は思い出の中にいた。でもそれは僕の思い出だっただろうか。彼女は僕を思い出としてさえ置いただろうか。不均衡の交錯。

「ごめんなさい。その気持ちだけは叶えられない」

下降していくテールランプ。あの日の僕の不安に燭台はなかった。灯しは行き先もなく、ただ凍えるままに消せないひとが消えていった。

シングルベッドの曖昧な光沢。君の裏切りかもしれなかった証を、僕の虚構の裏切りが混濁させようとする。君を僕のペシミズムにはしたくなかった。

僕と君の、僕の中での赦しあいを望んだ。

浪費さえも愛したかった。君さえあの日々を、君の今へと絶望しないならば。




  

不均衡の交錯

作者ツイッター https://twitter.com/2_vich

不均衡の交錯

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-07-11

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