甲子園

Shino Nishikawa

甲子園

その場所の名は、甲子園

甲子園
僕が一番、思い出したくない場所だ
君に知られたくない思い出がそこにある
苦しいくらいに、這いつくばって生きていた
誰かを蹴り落としても、上りたかった時間が流れた

友達など、そこにはいない
皆が目をギラギラさせている
夢を叶えて、何になるか
僕は、ただ勝ちたかった

笑っていても、今まで楽しくなかった
皆、腹の底で、闘志を燃やしていた
静まり返った瞬間に、命のほころびを感じる
真実の言葉など、輪の中にはない
だけど、君は、本当の言葉を教えてくれた
君と僕は、別の道を生きる

僕が一番、もう一度、行きたい場所だ
君が分からない感情がそこにある
怖いくらいに、君も強くなった
誰から蹴られても、丈夫な大人が隣にいる

友達が強くなるまで、待たない
皆が目をギラギラさせている
夢を叶えて、何になるか
僕は、心から笑いたかった

笑っていても、今まで楽しくなかった
腹の底に、重い碇が沈められたままだった
静まり返った瞬間に、命のほころびを感じる
夢まで、あとほんの少しなのに
君が、悪魔の囁きをする
僕と君は、別の道を生きる


蒼い空よりも、曇りの方が好きだ
もうすぐ、雨が降る
球児には、一番の逃げ道になる

風よ、もっと吹いてくれ
俺はもう、この場所に、お別れを言いたいんだ

良い大人になりたい
健全な女と結婚したい
ただ、それだけなんだ

ただ、それが、叶いそうにない
その場所は、甲子園

甲子園

甲子園

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
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