Wormホイホイ

 カレンダーには赤い丸と青い丸が数字を囲んでいました。それと林檎のマークも11日を囲っていました。彼の家に侵入した私は何の意味だろうかと思ってそれをジィーと眺めていました。でも全然分からないので考えることを辞めました。彼の部屋は1Kのアパートで小奇麗に整頓されています。それは私にとって意外な事でしたが彼のいつもと違った面を知れたことは、そこそこ嬉しい事でした。四角いテーブルとふっくらした座布団に私は座り、テレビを付けました。テレビの画面はロールプレイングゲームの途中で主人公らしきキャラクターがポーズを取っています。私は早速、このゲームのソフトをスマートフォンで調べてネットショップで購入します。次にパソコンの前に向かい、電源を押して立ち上げました。データや写真やパソコンの履歴を調べますが、これも、意外。健全的なフォルダとデータ、サイトばかりしかありません。少しだけつまんないなー。と思いつつも誠実的な彼の魅力にますます、惹かれました。最後に彼のベットに転がり込んで色々と楽しんだ後、そろそろ帰ろうと思いました。あとちょっとで彼は仕事が終わり帰宅するからです。でも私はせっかく来たのだから彼の何かを頂戴したいと思いました。それで辺りをキョロっと見ましたら、四角い、黒い、鉄のドアがありました。さっきまでは無かったはずのドアです。それにここは1Kのアパートです。おかしい思いました。私が気づかなかっただけでしょうか? いや、そんな事はないです。私は絶対的に記憶の隅々までを彼の部屋の記憶をインプットしたからです。それで私はその黒い鉄のドアに近づいてゆっくりとドアノブを回しました。冷たいドアノブでした。重たかったです。
 中には女性の人が数人いてこっちを見ました。怯えていた目です。私はその瞬間、捕まりました。

「お前、また捕まえたのかよ。今月で何匹目だよ」
 スーツの男は言った。
「11人目だ。1日1回、勝手に入って来るんだ。本人の責任さ」
 彼はそう言ってチュイーンガムを噛んだ。
「はいはい。イケメンくんには楽勝だよな」
「……」
 彼は答えずスマートフォンを弄った。
「それじゃあ今夜あたり、勝手に回収しとくから」
 スーツの男はニンマリと笑った。
「転職してぇ」

Wormホイホイ

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  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • ミステリー
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-07-02

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