6/30

四月のスタートも

五月のスタートも

知らないうちに諦めていたよ

じゃあ六月は切れたかって?

とっくのとうに諦めていたよ

1年の半分が過ぎると

半年後じゃなくて1年後を考えてしまうのは何故だろう

いや いつもそうだったかもな

雨脚が強まるたびに

去年を彷彿とするんだ

雨脚が強まるたびに

新宿のことが心配になるんだ

場所じゃなくて 駅じゃなくて

記憶のなかを徘徊している気分に浸れるから

それができるのは いちばん

いちばん それになりやすいのは

やっぱり新宿かな

六月は雨よりも自分を恨んで自分を内省する日々が続いたし今この瞬間もそうしているよ

端末に隷属させたBluetoothが点滅しだした

軽率に約束した楽天的な自分にブルーが差した

やまない雨はないというのは嘘だ

人が集まって熱狂して 天空に小さな雲ができて降雨現象が生まれるから

街の雨なんかどうってことない

みんな気を衒っているような顔をしている

みんな自分はあいつとは違うみたいな態度で構内を闊歩して改札をくぐる

わたしはそれをホームで思い出す

同じような人しかいないな

政令指定都市はこんなもんだよ

こころに雲を宿すなら 雨ではなくて雪を降らせ

こころに雲を宿すなら 雨ではなくて雷を鳴らせ

そして四季を咀嚼しながら

いま眼前にある心象天気図をスケッチブックに描き殴れ

6/30

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  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-07-02

Copyrighted
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