白にちかい灰色の空

 水たまりができるとそこがへこんでいたことがわかる。
道に生えているビチョビチョの草は喜んでいるようには見えない。
傘をさしたって足元は濡れている。


 さっきから君はなにも喋らない。だからなのか、まだ明るいのにライトを点けている車が気になった。
付き合ったばかりの私たちは今、雨の中を傘をさして歩いて帰っている。
傘がぶつからないぐらいのその距離は雨で冷された風が通るたび肌寒い。


 なんで付き合ったんだろう。


後ろの方で学校のチャイムが鳴っている。それが、ああ、二人で帰ってるんだな、って思わせた。
隙間のない、白にちかい灰色の空が見上げるたび私を無表情にさせる。


 なんで付き合ったんだっけ。


目が合うだけでドキッとしたあの感情を心の中に探す。
友達と笑う時のあの笑顔を探す。
もし、寂しさや好奇心を取り除いたとしたら、私は今、君の斜め後ろにいるのだろうか。


 君の濡れた肩を見ていたら、君は立ち止まり振り返って言った。

「なんでなにも喋らねーの?」


水たまりができるとそこがへこんでいたことがわかる。
道に生えているビチョビチョの草は喜んでいるようには見えない。
傘をさしたって足元は濡れている。


困ったな、同じこと考えてたんだ。

白にちかい灰色の空

白にちかい灰色の空

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-07-01

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