憂鬱三銃士

てるてる坊主が湿気を吸っている。

ストラップにくくりつけられた宇宙人が暗闇で光っている。

積み上げられた本とゲームが知識と自由の答えを求めている。

それらはすべて憂鬱を持ってきて、ときに打ち壊す力をもつもの。ただ待つという事が重要な事もある。なぜなら、それらすべては、自分が果たせなかった役割をこの世の中に自分の代わりに提供しているのだ。それらは自分が抵抗できない憂鬱に抵抗した過去の自分の残骸、ほとんどは子供の時期につくられるものだ。

昨日久々に友人に声をかけた。といってもインターネットの中でだが、遠い遠い昔と今がつながって、その時の自分を思い出しては、今がどれほど醜いかを考えて、そして前を向く想像を求める。そのために彼等は、犠牲になっていく、それらすべては消費され、ただ過去として立ち止まるもののためにあるのだけど、敢えてそれを部屋の中にいる私は、またもう一度思考を巡らせるために昨日を想いだす。

雨は上がらない、けれど湿気が昨日より酷くない事に、たった今気が付いた。

私は窓枠のサッシに手を伸ばし、もう片方の手のひらに掃除用のブラシを持った。それはもっと消費されるもの、既に使い古されて、役目をおえた歯ブラシだった。

憂鬱三銃士

憂鬱三銃士

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-06-30

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