ミルクティー
北風がびゅうびゅう吹きつける寒空
着込んだ茶色のコートの上から
頬を刺すような空気が冷たい
カレがいたなら、手を繋いで歩けるのにな。
ちょっと寂しい私の心
そんな時はいつもの帰り道の途中の自販機
120円の短いボトルに入ったミルクティー
作り物のぬくもりなのに、ボトルをぎゅっと握ると
手のひらにじんわりと暖かさが伝わってくる
キャップを外してひと飲みすると、
まろやかな後味に紅茶が香り高い
こういう時、不意に捉えられる感覚が湧く
そう、決して穏やかな日常ではないのに
何とも言えない満たされた気持ちになる
幸せがすぐ近くにあるような気がする
澄んだ空─の色も、ゴウゴウ唸る風─の音も
あの日─みたいに私を包んでくれる気がする
もうすぐ冬が来る─
冷たい空気の中でもきらめいていてって
きっとこの冬もぬくもり守れるように
ミルクティー