ミルクティー

北風がびゅうびゅう吹きつける寒空
着込んだ茶色のコートの上から
頬を刺すような空気が冷たい
カレがいたなら、手を繋いで歩けるのにな。
ちょっと寂しい私の心

そんな時はいつもの帰り道の途中の自販機
120円の短いボトルに入ったミルクティー

作り物のぬくもりなのに、ボトルをぎゅっと握ると
手のひらにじんわりと暖かさが伝わってくる
キャップを外してひと飲みすると、
まろやかな後味に紅茶が香り高い

こういう時、不意に捉えられる感覚が湧く
そう、決して穏やかな日常ではないのに
何とも言えない満たされた気持ちになる
幸せがすぐ近くにあるような気がする
澄んだ空─の色も、ゴウゴウ唸る風─の音も
あの日─みたいに私を包んでくれる気がする

もうすぐ冬が来る─
冷たい空気の中でもきらめいていてって
きっとこの冬もぬくもり守れるように

ミルクティー

ミルクティー

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 冒険
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-06-28

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