千載一遇のチャンス

千載一遇のチャンス

朝9時。コンビニにコーヒーを買いに入るとATMの後ろにごつい体格の警備員が立っていた。

ATMが故障でもしたのか、ワイシャツ姿の細い人がガチャガチャと作業をしている。
警備員とは対照的な体格で、こちらはいかにもひ弱そうだ。

コーヒーマシンは警備員の目の前にあった。
レジで会計を済ませた私の手には、空の紙コップ。
警備員は気がきく人らしく、すぐコーヒーマシンから下がってくれた。

私はひ弱な作業員の真後ろに立つことになった。

コーヒーのスイッチを押し、ふと、
これって、千載一遇のチャンスでは?と思う。

このまま熱いコーヒーを作業員にかけたらどうなるだろう。
怯んだ隙に現金を持ち出せるんじゃない?
もしこれが計画的に犯行を企てるとしたら拳銃やスタンガンを持ち込んで…そうすれば容易にコトは成せる。

コーヒーの抽出が終わり、マシンのブザーがなる。

なんてね。
私は砂糖とミルクを入れてコーヒーを手にすると、気をきかせてくれた警備員に会釈してコンビニを出た。
千載一隅のチャンス(未遂)。って言葉が浮かんで、一人でクスリと笑った。

千載一遇のチャンス

千載一遇のチャンス

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-06-23

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