The Winds of Nature: 3

黒うさぎ Black Rabbit

The Winds of Nature プロローグのパート3です。お読みいただきありがとうございます。中世ファンタジーの物語にしたいと思って書いております。良ければ次回のパートもお読みください。お待ちしております。

第一話: https://slib.net/92197
第四話: https://slib.net/92555

プロローグ: 疾風

コンコン。
 その時、玄関の扉が、小さく叩かれる音がした。
「……誰だ、こんな時間に」
 流し台で、父が自分が使ったお椀と匙を洗いながら、小首を傾げて俺に視線を送ってくる。
「……小さな村だから、顔見知りだろうとは思うけど」
「それは当然分かっているが、というよりむしろそれ以外に誰が来る、その中でも誰かと聞いているんだ。まあ、でっかい男がでっかい拳でバンバン叩いた音ではなかったが……隣のメイザばあさんか? ちょっとお前、見てこい」
「……」
 俺も親父と同じで、村の、農業で鍛え上げられた、親父のような逞しい巨躯の男たちの誰かが訪ねてきたわけではないだろうと、そのノックの音で分かったが、じゃあ女性でこんな時間に誰が来るだろうか? 本当に隣家のメイザばあさんだろうか。
 まさかとは思うが……彼女ではないだろうな。
 俺は玄関のドアに近づき、扉に手を当てる。そうして、ゆっくりと押し開けた。
「……」
 外では小雨がはらはらと降っていた。本当にしとしとと静かに降っていたので、目視で見た今、初めて気づいたくらいだ。だが、肝心なのはそこではない。家の扉の前に、訪ねてやってきた人物がいるかどうかだ。
 しかし、ドアの前には誰も立ってはいなかった。
(どういうことだ)
 もしもメイザばあさんなら、小柄でしわのよった老年の女性が、小さく腰を曲げて立っているはずだが、ノックの音もしたのに誰もいないとはどういうことだ。用事の主は、急用ができて帰ってしまったのだろうか。それか、可能性は低いが……。
 辺りを見渡すが、隣家や周りの家々、俺の家の側に生いている藪くらいしか見当たらない。その藪を掻き分けて確認しようとする気も起きない。きっと気のせいだな、と思い、踵を返して家の中に戻ろうとした時、
「あら、こんばんは」
 と声がした。
 この声は、と思い、もう一度振り返り、見てみると、家から少し先にいったところで誰か二人が話し合いをしている。暗くてよく見えないが、目を凝らして見てみると、それは、メイザばあさんともう一人の老女だった。ということは……ドアをノックしたのはメイザばあさんではないと分かる。
「誰だよ、イタズラか?」
「おおい、まだかエイドル。ずいぶんと人探しに明け暮れているようだが」
「イタズラだったよ、まったく迷惑千万だ」
 と、今度こそドアを閉めて家の中に戻ろうとした時。
つんつん。
 背中を、おそらく人差し指か何かでつつかれた。
「誰だよ」
 俺は少しだけ苛立ちを覚えながら、勢いよく後ろを振り返った。

The Winds of Nature: 3

お読みいただきありがとうございます。下から見ている人もこんにちは。中世ファンタジーの物語にしたいと思って書いております。良ければ次回のパートもお読みください。お待ちしております。

The Winds of Nature: 3

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  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • アクション
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2019-06-13

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