ノオト/十月の原点

ノオト/十月の原点

   





「カール、銃を取るのよ!」
ミシェルの哀願。それでも頑なに拒む。
「クルト、君たちは間違えている!」
ベルリン大学、構内、社会科学研究室。

「武装蜂起しかないんだよ、カール。僕たち『黒い十月の赤軍』の方針は決まった」
クルトの煙草。縦一筋の煙。
「君たちの暴力的同時革命方針は間違っている、それはマルクス主義じゃない、スターリニズムだ」
「駄目、カール!」
追いすがるミシェルの手を振り解く彼。
「査問だな、決まった」
クルトは吸殻を彼に投げつけ、部屋を出ようとした。
「ちくしょう、このプチブルジョアめ」
彼が手に取った散弾銃、向けられた銃口。、クルトへと照準。
「カール!!」

銃声。煙。鮮血。

ミシェルが崩れ、彼は放心した。

一九七四年、十月。若すぎた彼、二十歳の誕生日。




  

ノオト/十月の原点

作者ツイッター https://twitter.com/2_vich

ノオト/十月の原点

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-06-11

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