シンデレラ
ふぁねる×コゲ犬。
世界迷作劇場シリーズ。うん。
皆様の中のコゲ犬様、ふぁねる様、96猫様、vip店長様、ろん様像を壊してしまったら申し訳ないです。
ご注意ください。
「ふー、今日もいい天気だなー」
コゲ犬が自分の部屋の窓を開けて呟く。
「おーい、コゲー」
女の人にしたら低めの声でコゲ犬を呼ぶ継母96猫。
「なんぞやー?」
階下へ降りてみるとだらしない格好で椅子に座っている96猫の姿が。
「飯作れよー」
「はいはい」
コゲ犬がご飯を作っていると末っ子のろんが嬉々として走ってくる。
「お母様ー。舞踏会の招待状が届いてるよー。」
「(((゜Д゜;!?」
「どうしたのー?」
そう言いながら驚く96猫の後ろからひょっこり現れたのはvip店長である。とても可愛い声をしているが"男"である。
「お兄様ー。舞踏会の招待状が届いてるのー」
ろんの言葉ににっこり笑うvip店長。
「それじゃあ、俺と96ちゃんとろんで行こうよ。」
「うん♪」
「(((゜Д゜;!?」
vip店長の言葉に喜ぶろんと驚く96猫と
「ええ!?俺はぁ!?」
涙目で訴えるコゲ犬。
「コゲさんは・・・お留守番ね♪ちゃんと掃除しといてね♪」
「コゲさん、僕の部屋ちゃんと掃除しといてね」
天使のような笑顔のろん。
「え~~~~~・・・」
「コゲーこのドレスでいいかなー?」
「ああ、うん、いいんじゃない」
シクシク言いながら適当に返事をするコゲ犬。
「僕これー」
「はいはい(泣)」
ろんの支度を手伝うコゲ犬。
そして、三人を送り出した後、コゲ犬は一人せっせと部屋の掃除をしていた。
「そういえば・・・・どこの舞踏会なんだろ・・・」
コゲ犬が招待状と同封されていた手紙を見るとある家の名が記されていた。
「ここの家は少し遠くにいる有名な家だったなー」
コゲ犬の父はとても商売の上手い人でコゲ犬の家も有名な家だった。そんな父に昔、その家のことを聞かされたコゲ犬。
「あーあ、俺も行きたかったなー」
ボソッと呟くコゲ犬。
「そなたの願い叶えてみせよう」
突然低めの女の声が聞こえる。
「だ、誰だ!!」
コゲ犬の言葉の後に黒マントの女が現れる。
「私を知らないのか?この町では伝説として残っているがな・・・」
「!!ま、魔女狩り・・・!!」
「そう、200年程まえに行われた魔女狩り。私はその魔女の生き残りさ。」
「そ・・・んなハズ・・・ないだろ・・・」
コゲ犬が否定すると女は唄い始める。
「一人の女がいた、女は恋をした、魔女だとバレた、女は逃げたどこまでも、捕まって狩りにあった、女は子を逃がした、子は永い時を一人孤独に生きていく」
「違う・・・その歌は"狩りにあったで終わる」
女が歌った歌は古くから伝わる歌だった。
「これが本当の歌さ。その"子"が私だ。」
「・・・・」
「そなたは舞踏会に行きたいのであったな」
「ま、まぁ。」
半分信じている自分に内心驚くコゲ犬。
「待っていろ」
女は冷蔵庫からカボチャを部屋の隅でねずみを捕まえてくる。
「?」
「大人しくしておれよ」
女が持っていた杖を振り上げ、謎の呪文を唱えると辺りは光に包まれた。
「えっ・・・?」
コゲ犬が着ていた古着はとても美しくきれいなドレスに、ネズミは立派な白馬に、カボチャは馬車に。そして靴は綺麗なガラスの靴になっていた。「どうだ?これで舞踏会に行けるだろう?」
「まあ、行けるけど・・・俺、男・・・」
「似合っておるから良いではないか」
「似合ってるわけないじゃん!」
「まあ、良いから行け。」
「お、おう・・・」
「その魔法は12時に解けるからな。気を付けろよ。」
「ありがとう!」
「コゲ犬!」
「ん?」
「とても似合ってるぞ」
そしてコゲ犬は馬車へ乗り込み、舞踏会へと歩を進めた。
コゲ犬は屋敷へ辿り着き、中へと入る。
「!?コゲさん!?なんでここに・・・それに、あのドレス・・・」
vip店長が驚くのも無理はない。コゲ犬の美しさは、屋敷にいる誰もが目を奪われる程なのだから。
『えー、皆様、お静かにお願いします。只今よりこの家の主、ふぁねる様よりご挨拶になります。』
司会の人の言葉と共にふぁねるが現れる。
ふぁねるはとても美しい人だった。さらさら流れる髪に、ビシッと着こなしている衣装。舞踏会へ招かれているほとんどの人が見惚れてしまう程だ。
「えー、本日はお越しいただきありがとうございます。是非、皆さん楽しんでください。今回は僕も皆様と同じ様に楽しんでいきたいと思っております。なので今回は一人の女性と踊らせていただきたいのですが・・・」
その言葉が発せられた瞬間、会場がざわめく。そんな中一人食べ物に夢中なコゲ犬。ふぁねるはそんなコゲ犬に目をつけた。コゲ犬のところまで歩みより、膝をつく。
「僕と踊ってくれませんか?」
にっこり微笑むとコゲ犬がふぁねるの方へ振り返る。キョロキョロ辺りを見渡し一言。
「女の子・・・向こうですけど。俺、男・・・」
とチキンを頬張ったまま指で指しモゴモゴ喋るコゲ犬。するとふぁねるは一瞬驚いた顔を見せ、ははっと苦笑いをする。その顔にキレーな顔・・・
と見惚れるコゲ犬。
「あなたが良いんです。」
「!!??」
自分ということに驚きを隠せないコゲ犬。
「踊ってくれますか?」
と微笑むふぁねる。
「はい、喜んで」
照れながらふぁねるの手をとったコゲ犬。
二人のダンスはとても美しいものだった。客は皆見惚れ、終わる頃には盛大な拍手を送った。
その後、コゲ犬はふぁねると雑談し、楽しい時間を過ごしていた。
ふと、時計に目をやると、もうすぐ12時。
「俺・・・・!!帰らなきゃ・・・!!」
バッと立ち上がり駆け出すコゲ犬。
待って!と呼ぶふぁねるの声も手も振り払い、ひたすら駆けていく。階段に片方だけ靴を落としたこともわからないほど必死に・・・
「はぁ、はぁ・・・」
屋敷から出て暫く走ったところで呼吸を整えるコゲ犬。
「魔法・・・解けた・・・」
コゲ犬の服はあの綺麗なドレスではなくいつもの古着に戻っていた。
「もう、会えない・・・」
そう口に出した途端目から涙が零れる。
「俺、ねるたんのこと・・・」
自分の気持ちに気付く。数時間話しただけなのに心よりふぁねるが好きだと思っていたコゲ犬。なのに、もう会えないという辛い気持ちに涙が止まらない。コゲ犬は涙を流しながら家へと帰っていった。
そして一週間の時が流れた。
「ねるたん、元気にしてるかな」
家の掃除をしながらボソッと呟くコゲ犬。
ふと、窓の外へ目をやると、人だかりができている。そこには、自分の家族の姿も。何事かとよく見てみると人だかりの中心にふぁねるがいた。
「!!」
また会えるかもしれない!そう思ったコゲ犬はバッと外へ飛び出す。人だかりに近づき近くの人に何事かと訊ねたら「ふぁねるさんが、ガラスの靴を持ってきてぴったり合った人を嫁にするんだとよ。」と教えてくれた。
それを聞いたコゲ犬は自分のだとわかり中心を見る。すると、今継母の96猫が合わせていた。しかし、明らかに靴の方が大きい。「この町の全員の女が合わせたわよ!居ないじゃない!」と一人の女が喚く。
「誰も女だなんて言ってませんけど?」
ふぁねるは笑顔で答える。群衆がざわめく。
「この町にいますよ。」
とふぁねるは周りをゆっくりと見渡す。
こんな人だかりだし、格好だって全然違う。気付くハズ無い。そう思いながら、もしかしたらという気持ちを捨てられずにそこから動くことが出来ないコゲ犬。
「ほら、居た」
ふわっと微笑みガラスの靴を持って歩み寄る。その先に居たのはコゲ犬だった。
「靴を履いてくれますか?」
嬉しさに涙を浮かべながら頷く。誰の足にも合わなかったガラスの靴は、コゲ犬の足にぴったり合う。
「ほら、やっぱり」
そう言ってクシャッと笑うふぁねる。
「コゲたん、俺と結婚してくれる?」
「ねるたん・・・・はい、喜んで」
ふぁねるがコゲ犬を抱き上げる二人とも凄く嬉しそうだ。そんな二人を見ていると周りの人も笑顔になる。
「男同士でどうやって結婚するの?」
そんな中、こんな指摘をしたのはvip店長だった。
そんな指摘にふぁねるはニッと笑い「そんな決まりなんて帰ればいい。」と答えた。
そして、その後ふぁねるは本当に決まりを変え、コゲ犬と結婚し、末長く幸せに暮らした。
-fin.-
シンデレラ
最後まで読んでくださってありがとうございます!
ちぇりぷにです!はい!
この作品って途中に出てくる魔女がキーマンになると思うんだ。まず、片方だけ脱げた靴、なぜシンデレラの元へ現れたのか、魔法の解けなかった城へ残されたガラスの靴。
世界謎作ですね・・・
俺が書けば世界迷作になる。
次ネタは溜まってるから次々更新したいなぁ・・・
この小説は最初にも申し上げた通り、全てが作者の妄想によって出来上がっています。歌い手様本人には全く関係ございません。