フォレスト

フッツ

風に乗って漂ってくる微かな気配。
鈍った感覚でかぎ分けながら、たどり着いた
森の入り口。
コンパスと地図は用意してきた。
疲れたら休むテントもあるし、
エネルギー補充する食べものも
寂しさを紛らわす音楽も持ってる。
足りないものは何もないはずなのに
太陽が傾き始めた途端、弱気になって
少し離れた場所から、この森の大きさを
もう一度だけ確かめた。
体裁のいい心構えを呪文のように唱えて
恐る恐る踏み入る未開の地。
薄闇の中、木々を縁取って咲く名もない小さな花に、カチコチの心は温められ、動き出していく。
道に迷う度に地図を広げて
コンパスを重ね合わせる。
銀色の針が指し示す方角に、月は必ずやってくるから。
今夜はそこにテントを張って、
体内に月光を取り入れよう。

フォレスト

フォレスト

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted