詩集

赤月 作

  1. 四畳半の片隅で
  2. 僕は君を忘れることにした

四畳半の片隅で

下着姿で徘徊しようが
怒る誰かもいないし
咥えタバコで厭世気取って
夕飯用にと湯を沸かした
世間では記念日が乱立
箱の中が騒がしい
今日も平成最後のなんとからしいが
祭りごとは僕を嫌っている

人間って何年生で
卒業できるものなのかな
周りのみんなはどんどんどんどん
経験値をあげて
幸せってそれぞれだからって
幸せな奴の台詞だ
とりあえずそれぞれの幸せ
体験してみたいもんだ

愛してほしかったんだ
片目の取れたぬいぐるみ
愛してほしかったんだ
飽きて忘れ去られた家庭菜園 枯れた花
愛してほしかったんだ
灰皿にされた潰れた空き缶
僕が僕を形作る全てを
愛してほしかったんだ


休みの日だからって
別に会いたい誰かもいないし
流し見したワイドショーでは
女優が子供を産んだらしい
めでたいなと他人事
お幸せにと麺を啜る
平成最後の1月が終わるが
どうせ来年は来年で祝っているんだろ

人生の流れが早すぎて
泳げないまま沈んでった
周りのみんなはどんどんどんどん
向こう岸に辿り着いて
早くこっちにおいでよって
息をするのも精一杯だ
もがいてどうにか浮いてみたが
サボってるように見えたのかい

愛してほしかったんだ
ほつれて着られなくなった一張羅
愛してほしかったんだ
積み重ねた求人誌 折れた角
愛してほしかったんだ
ひび割れたケータイ 砂嵐
僕が僕を形作る全てを
愛してほしかったんだ


明けない夜はないとか
止まない雨はないとか
そんな言葉に意味があるのかい
そちらの世界は随分優しそうだ
変わればいいと変わらないまま
うまく生きられた奴らが笑う


愛してほしかったんだ

愛してほしかったんだ

愛してほしかったんだ

愛してほしかったんだ

それでもいいよと
言ってほしかったんだ

僕は君を忘れることにした

そこにいないなら
もういらないや
君の名前つくもの捨てちゃおうか
僕がいらないなら
もういらないや
僕を嫌いな君が僕も嫌い

ねえ ねえ ねえ

いつかどこかで
出会ったとしても

ねえ ねえ ねえ

どちらさまですか
と笑えるように

僕は君を忘れるから
君は僕を忘れないで
僕の泣き声がトゲになって
君が笑うたび
痛んでくれ
もしも 好きな人が出来たなら
忘れたい僕がちらついて
君が笑うたび 痛んでくれ
僕はそれだけでもう
充分だ


君がいないなら
もうこれでいいや
どこか遠くまで旅に出ようか
僕がいないなら
もうこれでいいや
誰も知らない街に消えたい

ねえ ねえ ねえ

君が僕を
忘れたとしても

ねえ ねえ ねえ

胸の痛みだけは
遺せるように

僕は君が嫌いだから
君も僕を憎んでくれ
抱きしめた痕が痣になって
焦がせ 君の
胸を焦がせ
全部 捨てて集めてたら
ああ なんだこんなものかと
ちっぽけな君に さようなら
僕は 僕だけで
もう充分だ

僕は君を忘れるから



君は僕を忘れないで

忘れないで

詩集

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  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2019-06-10

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