日記 2019/6/10

桐原 水刃

ここが人生のどん底だとか、あるいは一番たのしかった頃はもう過ぎ去ったのだとか。なにかを諦めたり、すべてが嫌になったり、なにも考えられなくなったり、そういう悩みそのものを忘れたり。

それでも人生は進んでいく。横へ、横へ。意図しない方向へ。いちばん好きだった女の子が死んでから、こんなにもたくさん新しく友達ができるとは思わなかった。すなおに驚いたよ。

だけど、なおも過ぎ去っていく。からだは衰え、こころもぐずぐずに溶けていく。だいすきな友達は離れていくし、掲げた理想にも挫折する。やりたかったはずのことも、それほど執着していない自分に気がつく。足りないものばかりが山積みだ。

わたしは転がっていく。下へ、下へ。目を背けてしまうほど決定的に。いつのまにかダメになっていく。横へ、横へ。下へ、下へ。なにがなんでも生き延びてやる。地面を這いつくばるように、意識を下方修正して。

日記 2019/6/10

日記 2019/6/10

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
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