摘席
僕の目が映し出す君はいつも
途方も無い方を向いてばかり
ようやく立ち止まり雑談でも
しようと思えば何処かへ行く
近付けば距離が一目瞭然
遠ければ心は締め付けられる
何気ない君の仕草や言葉で
いとも容易く僕の首は絞まる
一緒に帰ったあの人は誰
気付けば赤い空に暮れる学校
カラスが鳴き下校を知らせる
ベランダから出て小説を閉じ
溜め息を吐き横目で見送る
君と同じクラスでなければ
一定の安心感を得れた
きっとこんなことをしなくても済んだ
君の後ろの席でなければ
視線という恐怖を知れた
そうして今頃家で勉強が出来た
他人の目が気になる物はいつも
自分とは一線を交えてない
指を切った純粋な真実でも
口に出せば嘘や噂になる
口付けば複雑な動機はいらない
抱き合えば君は何かを察してくれる
他愛ない僕の思考は空間で
常人の発想を支配する
じゃあねと言ったのは何故
気付けば暗い空が纏う感情
ガラス越しに君が見つめる
無理やり手を振り今を誤魔化し
溜め息を吐き真顔で見上げる
僕が抱く本当の愛は闇
君と会話を交わさなければ
今も同級生で居れた
きっとあんな夢を見なくても済んだ
君の後ろの席でなければ
得体の無い恐怖を知れた
こうして今更過去を振り返らなかった
摘席