あたしは駄目になる

あたしは駄目になる

   






 きっといま、君と話すとあたしは駄目になる。

 情けない(表情)、朝靄が地図にならない路の途中、なんて情けない(表情)で歩いてるんだろう。引っ張る髪の毛。微塵にならない空気圧。

 朱色の透明。下降する衝動。夕刻は地図を迷い果てた路の尽きるところ。わたしの悲哀は濾過されなければならない。

 ときおり声が、あたしにもある。あたしは投下できるだろうか。なんの免罪符か分からないうちに。投げられる衝動の前に声が始めに絡むからあたしはあたしを落せない。

 帰りたいね。あたしはむしろ、もっと弾劾されなければ。救えないループ。透けるかもしれない企図。いずれにしろ早晩、記憶は債務の被告席にいるだろう。

 君と話すときっと、いま、あたしは駄目になる。



 話したくて。




  

あたしは駄目になる

作者ツイッター https://twitter.com/2_vich

あたしは駄目になる

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-06-09

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