アンドロイド倫理法
20XX年の事、警察官が、容疑者の身柄を確保した。その後、アンドロイドが救出されるさまが放送された。お茶の間は話題を持ち切りにした。
「苦しい目をしたアンドロイドが、店の中から助け出されています、今、不法にアンドロイドを長時間働かせていたとして、店主の男(56歳)が、警察の手によってその前に、連行されていきました」
センセーショナル話題に、画面前の人々はわきたった。アンドロイドは、全てロボット三原則によって管理されている。しかしそのアンドロイドの人権が確保されて早2年。アンドロイドの精神面の自由をも付け加えられた法律が、昨年施工された。
それから今年に入って、アンドロイドの精神面にさえも、人々は気を使うようになった。近頃問題となているのは、アンドロイドの長時間労働の問題である。精密に作られたアンドロイドは感情さえも人間そっくりに作られたものも多いときく。彼等を不眠不休で働かせる事による問題が、近頃、世間の関心事となっている。救出されたアンドロイドは、大手企業のアンドロイドの肩だと噂されているが、真相はさだかではない。もっともネットでは分析の結果、スタークラッチ社の製品である事が確実視されている。
これを受けて、大手アンドロイド製造会社のスタークラッチ社の社長は、会見をひらいた。
「人間がつくったアンドロイドに、人間の精神をプログラムしはじめたのは最近の事です、その倫理観の判断は、非常に社会に重大な関心を寄せられている問題だと思う」
と、スタークラッチ社のCEOは言葉身近に会見をおえた。これをうけて巷のインタビューを放送する。
「あんなかわいそうな目をしたアンドロイドは見た事がない」
「やはり労使間交渉がちゃんとしていない事が問題だ」
「国がなんとかしてくれないのか」
可哀想な目をしたアンドロイドは、居酒屋でもう5年も不眠不休で働いていた。しかし、こうした批判の中、心無い人々の批判もインターネット界隈では目立つ。
「あんな目をしているのは、人間も同じじゃないか」
「人間も不眠不休で働く人は多い、私だって、きついが、それが常識だよ」
「むしろアンドロイドのほうが健康的だ、やっぱり、労働は美徳だよ、誰よりも働くアンドロイドのほうが、私は好きだね」
法よりも先に、倫理観と生活のバランスは、その国家の文化を形成していた。
アンドロイド倫理法