フッツ 作

雨降りの朝。
じっとりと湿った風が
あらゆるものに絡んでくる。
玄関を出て、
そのまま自動的に駅に吸い込まれ、
快速に押し込まれ、
終点で吐き出された。
紫色に滲んだビル群の狭間
車が水しぶきを上げて行き交う街路。
色とりどりの傘の波が
ばらけたり同調したりを繰り返しながら
足早にそれぞれの目的地へと去っていく。
それとは少し離れたところで
翼を閉じた一羽の鳥が
小雨降る空を見上げてた。
その眼に映った雲は
思ったほど厚くはなさそうだった。
そうか。
この雨は
もうすぐ止むのかもしれない。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2019-06-07

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