Dream

Shino Nishikawa

Dream

兄は音楽の天才、弟は絵の天才。

兄は音楽の天才、弟は絵の天才。

Dream
フィリピンの高校で、窓際の席で眼鏡をかけ、読書をするフェリックス青年。
「あんたさー、俺たちより年上なんだろ?フェリックス先輩!」
男のくせにチビのレイチェルは、友人たちと戯れながら、フェリックスを冷やかした。
「それが、どうした?」
眼鏡をかけ直しながら、フェリックスは聞いた。

「別にー。でも、へーんなの!」
「あははは!ダメだぞ、そんなこと言っちゃ。」
ジャスティンが、レイチェルをこつんとした。

「フェリックスさんって、子供の時にインドから来たんですよね。大変でしたね。」
アンジェロが言った。

「うん、そうだよ。なんで知っているの?」
「お母さんから聞きましたよ。」
「そうだったのか。」

「もう行こうぜ。」
「では、僕たちはこれで。」

「あいつ、インドから来たんだなー。」
レイチェルが言った。
「そうだよ。だから子供の頃から、学年が一つ遅れてしまったんだ。」
「ふん。」
レイチェルはフェリックスを睨んだ。


次の日、体育委員会の者が、クラスマッチの説明をした。
競技は、バスケ、バレー、サッカー、野球、ドッジボールがあるらしい。

レイチェルはつまらなそうに、机をガタガタと鳴らしたので、眼鏡のフェリックスはレイチェルをちらりと見た。
フェリックスは聞いた。
「どうしたんですか?レイチェル・アンダーソン。」
「すみません。クラスマッチの競技に興味がないので。」
「でも、クラスマッチには全員が強制参加です。必ず、どれか選んで参加してください。」
体育委員が言った。
「えー、やだ。」

授業が終わり、レイチェルの下にジャスティンとアンジェロが来た。
「レイチェル、クラスマッチに興味がないってマジか?俺、超楽しみだぜ。」
「興味がないのはマジ。クラスマッチの競技にはね。」
「じゃあ、何ならやりたいだよ?」
「体操。」

「体操?」
「オリンピック競技のだよ。」
「それはもちろん分かるさ。お前、体操が出来るのか?」
「わかんない。でもさ、レスリングのマットで一度回転できたんだよ。」
「ああ‥。」

ガタン
フェリックスは立ち上がった。
「フェリックスさんは、何に出るんですか?」
アンジェロが聞いた。

「まだ決まってない。」
「そっか。」

「こいつ、体操やってたんです。」
ジャスティンがレイチェルを指した。
「やってねぇよ。」
レイチェルが言った。

「いいね、頑張って。」
フェリックスはにっこりと笑った。

フェリックスは、早足で家に戻る。
塾を見て、うつむいた。
フェリックスは塾に通わせてもらえていない。
「何かスポーツをすればいいのに。」
背が高いフェリックスに、両親はそう言った。

「でも、僕、医者になりたいんです。」
フェリックスがそう言うと、ガンジーに似ている父親が言った。
「お前をインドから養子に迎えた時、この子は、将来、すごい事をすると思った。
成長する過程を見て、それはきっとスポーツ選手としてだと感じたよ。」


少し年上の若者がたむろしていて、お洒落な先輩マイケルが、フェリックスに手を振った。
フェリックスもニヤリと笑い、手を振った。
「知り合いかー?」
「うん。」
マイケルは立ち上がり、ダンスを始めた。
他の若者もダンスを始めて、楽しそうにしていたので、フェリックスは振り返り、嬉しそうに笑った。


家に帰ったレイチェルが母親に言った。
「クラスメイトのフェリックスさんって、俺たちよりも一つ年上なんだぜ。」
「ええ、そうみたいね。フェリックス君のお父さんと、お母さんはハトコなのよ。」
「えー、そうなの?」
「うん。だから、フェリックス君に酷い事をしないでね。」
「わかった。」

「兄ちゃん、いつ帰ってくるって?」
「わからない。大学の勉強は大変だからね。」
「へー、つまんない。‥あー、クラスマッチ、出たくねぇ‥。」
レイチェルは、本を顔の上に広げた。

「ただいま。」
お父さんが、小学生の三男パトリックの手をつないで、帰ってきた。
お母さんが聞いた。
「おかえりなさい。パトリック、塾の勉強、どうだった?」
「楽しかった。」

「うわー、きもぉ‥。」
レイチェルは、パトリックをじろりと見た。
「パパー。」
「なんだ?レイチェル。」
「俺さ、体操競技をやりたいんだよ。」
「さぁ、あれは特別な物だ。レイチェルには無理だよ。勉強をしろ。パトリックのように。」
「えー、なんでだよ!!」
「ダメ。あれは難しいんだ。」

クラスマッチの日、レイチェルはドッジボールをすることになった。
同じドッジボールに参加をする、フェリックスが話しかけた。
「レイチェル、今日はよろしく。」
「はい‥。」

「頑張れよー!」
アンジェロとジャスティン、他のクラスメイト達も応援をしている。
ピー
ホイッスルで試合が始まり、
「うっ‥。」
フェリックスはすぐに球に当たってしまった。
「カスー。」
レイチェルは、フェリックスを睨んだ。
最後の一人にレイチェルが残ったが、最終的には負けてしまった。

応援席で、クラスの女子ベラが言った。
「お菓子作ってきた。」
「えー、嘘でしょ。」
他の女子は怪訝な顔で、ベラを見た。
気にせず、ベラはクラスメイト達にお菓子を配り始め、クラスメイト達は少し引いて、お菓子を受け取った。ベラは美人だが、変わっていたので、少しだけ嫌われていた。
「ありがとう。」
アンジェロだけが笑顔で受け取った。アンジェロはベラの事が好きだったのだ。
ベラは自分が嫌われている事を知っているようだった。それでも、普通に振る舞うベラを尊敬していた。ジャスティンも無表情でベラを見たが、アンジェロはベラを嫌う必要ないと分かっていた。アンジェロにとって、ベラは生き方の先生のようだった。

試合を終えたレイチェルとフェリックスに、アンジェロが言った。
「ベラがお菓子を作ってきてくれたよ。」
「うえー。」
レイチェルが舌を出した。
「ベラさん、お菓子ありがとう。」
フェリックスがベラに声をかけた。

アンジェロとジャスティンは、サッカーに参加をした。
ジャスティンは、小学生の頃はチームに入っていたが、中学ではテニスをしていたので、サッカーからは離れていた。
アンジェロは中学でサッカーをしていたが、クラスマッチだからといって、なめていた。
かなり本気の試合だ。
ジャスティンは、高校までサッカーを続けている奴に、目の前で、ボールで遊ばれたが、クールだと思い、立ちすくんだ。

「何やってんだよぉ!」
レイチェルが言い、
「大丈夫?」
アンジェロがジャスティンにたずねた。
「うん、ごめん。」
そう言って、ジャスティンはまた走り出した。

「がんばれー!」
フェリックスが大声で応援した。

アンジェロはPKのチャンスに恵まれた。
ちらっと見ると、ベラも応援している。
アンジェロは、PKを決め、チームは勝った。
チームメイトにハグされながらも、アンジェロはベラを見た。

帰り道、アンジェロ、レイチェル、ジャスティン、フェリックスの4人で歩く。
ジャスティンがフェリックスに聞いた。
「フェリックスさん、よければ、僕らの仲間に入りませんか?」
「仲間?もうなっていると思うけど。」
「ああ‥。」

「それ、グループのことだろ?」
アンジェロが言った。
「そう。フェリックスさんも、俺たちのグループに入らないか?いつも俺たち、3人で行動しているだろ?」
「えっ‥。いや、僕、普段、グループとかそういうの全く意識していなかったから。」
「じゃあ、無理?」
「無理じゃないけど‥。」

レイチェルが言った。
「あんたさー、年上なのに混ぜてもらっているんだから、もうちょっと俺たちに合わせてくれてもいいんじゃないか?」
「わかった。時間が合う時は、一緒に過ごそう。」
「よし。」
「これから、よろしくね。フェリックスさん。」
ジャスティンとアンジェロが言った。

お昼休憩や、空き時間に、フェリックスは、3人と一緒に過ごすようになった。
ジャスティンは高1の途中だが、サッカー部に入部することにした。

アンジェロとレイチェルとフェリックスの3人での帰り道、レイチェルが言った。
「明日、おじさんのレストランが新装開店するから、パーティーをするんだよ。よければ、来ないか?」
「マジ?行きたい。」

フェリックスが言った。
「レイチェルのおじさんのレストランって、イタリアン『トマ・トパ・セリ』だよね?」
「うん。」
「あそこの料理、美味しいから、家族と一緒によく行くよ。」

次の日、トマ・トパ・セリには、ジャスティンを含めた4人と、レイチェルの家族や知り合いが集まった。
「うわああ、美味しそう。」
おじさんは、定番料理や新メニューをふるまった。

フィリップスが聞いた。
「あの子は、レイチェルの弟?」
「うん。小学生なのに、塾に通っているんだぜ。」
「そうなんだ‥。」
フィリップスは、少しだけ悲しくなった。
「算数のテストで、0点を取ったからさ、親が許したんだよ。」
レイチェルは、手でお金ポーズを作った。

満腹になると、大人達はワインを飲みながら、談笑した。
悪い事をしている連中は、経営について聞いてくる。
その後、人の悪口だ。
大抵、普通の人達は、自分の家の工事の話や、自分の畑の話、仲間同士の思い出話、最近の近況を話すだろう。
あとは、家族の話や、人から聞いた赤の他人の話をしたりする。

子供達4人は、人の悪口を話す事をしないようにしていた。
でも、学校の先生については例外だ‥。
あとは、興味がある分野の話や、その分野の有名人の話‥。
学校の誰と誰が付き合っているとか、そういう話だ。
あとは、○○君が、どこ大を狙っているとか、進路の話‥。

「体操やりたいよ。‥お母さん、俺、体操競技やってもいいだろう?」
レイチェルが大声でたずねた。
「ダメ。」
「やだやだやだやだ。やりたいよ!」
レイチェルは泣き始めた。

「お友達の前でみっともないわよ!」
「レイチェル、おじさんが、パソコン使っていいってさ。」
お父さんが来た。
「ホント?イエーイ!」
レイチェルは元気になった。

「ほらほら。行きましょう。」
「すまないね。」
両親は、レイチェルをパソコンの前に連れて行き、残りの3人は苦笑した。

レイチェルはソリティアをやっている。
「どうだ、楽しいか?」
お父さんが聞いた。
「すごく楽しい。」
「よかったな。」


夜、アンジェロは、両親に言った。
「レイチェルが、オリンピック競技の体操をやりたいんだってー。」
「そうなのかい。」
「俺もやってみたいなー。」

「体操は危険だから、止めておきなさい。」
「えー、やだ。やりたい。」
「ダメ。ケガでもしたら、どうするの?」
「そうだよ。お前には、天性の才能がある。」
父親は、アンジェロの手を握り、壁を見た。
アンジェロが描いた絵が貼ってある。

「漫画を描いてみたらどうだ?」
「きっとすぐにベストセラーになるわ。」
両親は言った。
「そうかな‥。」
アンジェロは照れて、鼻をかいた。

「ただいま。」
弟が帰ってきた。
「おかえりなさい。」

「オスカー、ピアノを弾いてくれないか?」
「わかった。」
弟のオスカーは、華麗なピアノ曲を弾いた。

「兄は絵の天才、弟は音楽の天才。うちは恵まれている。」
両親は幸せそうにした。


フェリックスは、社会勉強のため、街を歩いて、知らない道を見つけるのが好きだった。
「あれ?」
マイケル先輩たちが、ビルにぞろぞろと入って行く。
「こんにちは、マイケル先輩。」
「おお、フェリックス。俺たちは、今日、このビルにあるダンススタジオで練習をするんだ。プロのダンサーが見に来る。よければ、見学をするかい?」
「いいんですか?」
「うん。もちろん。」

フェリックスは、先輩たちのダンスを見学し、最後の方は混ぜてもらった。
「結構、うまいじゃん。」
マイケルは笑い、フェリックスとハイタッチを交わした。


休日のサッカー部の練習の休憩中、ザカライアが、ジャスティンに聞いた。
「やっぱり、プロになりたいか?」
「うーん、それはまだ分からない。そこまで強くなれるか、自信がない。」
「そうだよな。でも、やっぱり、俺はプロに憧れている。」
「ふーん、そうか。頑張って。」
ジャスティンは笑い、ザカライアと握手をした。

ジャスティンはプロになるなら、一次リーグでないと意味がないと思った。
それでも、下が強いから、上が強くなるものだが、二次リーグや三次リーグで、必死で練習しても、もらえるお金が少ない。
それで、副業をして、サッカーをしても、一次リーグの奴らに永遠に叶うはずがない。
人生のドラマチックな急展開は感動するが、サッカーはやっぱり、早いうちから目を出しておく必要があるだろう。
その方が有利になる。

サッカーの動きがかっこいいし、鍛えていい男になりたかった。
でも、ワールドカップの選手のような体になるには、一体あと何年かかるのだろう?
正直‥ジャスティンが考えてしまう事は、
『サッカー選手って、本当に、サッカー選手になりたかったのか?』

結論を出そう。
『俺はいつか、サッカーを辞めてやる。』
俺は、何になりたいんだ?
答えを言おう。
『俺は、君のための男になりたいだけだ。』

君が誰かは、まだ知らない。
君に嫌な思いをさせたくない。
本音を言うけど、
『安全な奴らじゃない。サッカー選手は、君に嫉妬させたいだけ。』

それでも、君が好きなら、俺はサッカーをやる?
答えはノーだ。俺はサッカーをやらない。未来ではね。
ただ単に、いい男になりたいから‥。
そうすれば、君は、絶対に、僕に振り向くだろう。

なんでもそうだが、一流の道を歩みたいのなら、
『神様との約束』が絶対に必要になる。
結婚や子育ての道でも、神様との約束が何か分かれば、一流の道を行くだろう。
男と女が出会い、真っ当な愛を貫くことは、本当に道徳的な事だ。

スポーツ選手になって、海外でトラブルにあった時、仲間が辞めることになっても、
神様との約束がある選手は、守られるだろう。

サッカー選手は、下手なスキャンダルを見せるので、それが嫌だった。
あの下手くそなスキャンダルは、素人が考えた物だろうか?
サッカー選手がチューチュートレインをやるのも、妙な感じがする。

君は、何になりたかった?

チューチュートレインをやるな!

でも‥、チューチュートレインは、伝説的ダンスなのだろうか。
サッカー選手がダンスをするのは、妙な感じがする。
まぁ‥、全員がEXILEに入れるわけがないので、仕方がない。

サッカー選手はRock ‘n’ rollを奏でる者ではないのに、妙に生意気な感じがする‥。

Rock ‘n’ rollに生意気な口をききたいのなら、最初から、こちらの世界に来い。

スポーツがある場所に、音楽が流れるわけではない。
スポーツ選手は強ければ誰だってなれる。
だから、苦労してステージに上がったロックンローラーが、お前らに道徳を教えているだけだ。
私はロックをしたかった。それから、ポップスと映画とクラシックとドラマがやりたかった。
ロックを想いながら、映画スターに憧れながら、競技をやるのか?
そんなことをしない、ブタに、スポーツ選手をやらせておけばいい。

だから、私は、ブタに、道徳を叩きこんでやる。

スポーツ選手の男女混合が、道徳なのかい?
それを続けるなら、私に、道徳教育の授業料を支払ってもらおう。
私が、そのたびに、お前らに、道徳を分からせるのが、どれほど大変か。
お前らが殺した命の代弁を、私が、いちいち歌にして、世間一般に説明しないといけない。

運命の人を失くして、ようやく、男女混合が間違いだったと気づくのは、
魂の抜け殻、肉体野郎、ブタより下の死神。
運命の人を失うことは、地球の大地が震えて見えなくなるくらい、酷い事らしい。
スポーツ選手というのは、スターになる感覚がないようだ。

スターになれば、一番大切な人が、自分の姿を見えなくなる。
だから、ずっと、想い続け、語り掛ける必要がある。

そうしないと、自分が海外の試合に行っている事を知らず、その人はずっと一人芝居を続けることになる。そして、テレビを見て、絶望する。
ネットニュースを見て、絶望する。
下手くそなスキャンダルで、手首を切る。

大好きなスターの下手くそなスキャンダルで、長く続けた会社で雄叫びを上げる。
そして、首になる。

自分がパーティーや飲み会に出席している時、運命のその人は、あなたに料理を作って、一人芝居をしている。
そういう事を、スポーツ選手は、何も分からない。

私は、自分自身の人生のために、アーティスト業をしているわけではない。
神様との約束を果たすためだ。
だから、私は、いつでも、自分を想っている人を愛している。
それなので、誰の事も愛していない。

人に向かって、死ねと言ってはダメだ。
でも、一番最大で最悪の復讐方法は、死ぬ事だろう。

私は、死ぬ事が出来ない体で、生まれてきた。
私は不老不死だ。永遠に死ぬ事がない。
あなたはそれを利用して、死ぬのだろう。

別にいい。そうしてくれ。私は、あなたの事なんか、二度と思い出さない。


学校の休み時間、アンジェロとレイチェルとフェリックスが談笑しなが

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