Sky in Alove ~魔法使いのアベック

Shino Nishikawa 作

Sky in Alove ~魔法使いのアベック

この物語には、本当の魔法がかかっている。

この物語には、本当の魔法がかかっている。

Sky in Alove2 【魔法使いのアベック】

ハァ、ハァ
ハイテムは、うだるような暑さのスラムの中を走っていた。

美しい花畑にたたずむ女性。振り向くと、それは、ミンティアだった。
『ミンティア。』

1人の男が、ミンティアを森へ呼んでいる。

『ジェイ・アポック。』

「ミンティア、森へ行くな!!」
ミンティアは振り向いたが、幻は消えてしまった。

ハァ、ハァ

「こちらです。」
1人のインド人青年が、声をかけた。
ハイテムは、左に曲がり、テントの奥にある、部屋にむかった。

そこには、ハイテムに悪の魔法を与えた魔女、アルトルナ・マタラルが、危篤状態で寝ていた。

「アルトルナ。」
「ハイテム。」

「すまないね‥お前に、悪の魔法を与えてしまって。」
「そんなことない。そのおかげで、私の人生は、とても面白い。」

アルトルナは少し笑って言った。
「悪の魔法使いは、1人の女を、魔女に出来る。‥誰に、やるつもりだい?」
「誰にもやるわけない。そんなこと。」

アルトルナは、また笑った。
「与えなければ、お前は、もうすぐ死んでしまう。魔法使いになって、もう30年たつ。」
「誰かに苦しみを与えるくらいなら、死んだ方がましだ。」

「そうか。」
アルトルナは目を閉じた。

「最後は聞きたいことは?」

「娘が、黄泉の国に連れて行かれた。二番目の娘だ。助ける方法はあるか?」

「アベック‥。魔法使いのアベックだ。あちらの世界へ通じる、ドアを持ってる。」

「私も、探すとしよう。」
アルトルナは、息を引き取った。


「今日が、人生で一番最低な日だわ。」
ジャスミンは、1階の窓の手すりにかけた、フラワーバスケットに、水をやりながら言った。

「あら、どうして?きっと、ミンティアは、ヒールドに会いに行ったのよ。あの子達、仲良かったもの。ヒールドがアメリカに戻って、もうすぐ1カ月になるわ。」

「それだけじゃないの。」
ジャスミンは、新聞を持ってふくれた。

『ブルースイコスに選ばれし者。アラジン・リンドアーク。』
ロジーが、アラジンに膝まづく写真だった。

「おはよう。」
ジュリアが、自転車で来て、止まった。
「ジュリア、これ見て。」
「何。」
ジュリアは、新聞を手に持った。
「アル?王子になっちゃったんだ。」
ジュリアは笑った。
「どうしてそんなに呑気でいられるの?早く、助けに行きたいわ。」

「うん。でも、ジーニーさんが、もう少し様子を見てからだって。」
「もう少しって、いつよ!」

「‥俺、仕事に行くから。じゃね。」
ジュリアは、行ってしまった。


「待って!!」
トリズは、リタルを追いかけていた。
リタルは、人ごみの中を、足早に歩いて行く。

「リタル。今日も出勤の日だよ。」
トリズが言うと、リタルは涙をぬぐった。

「リタル、戻ろう。大体、君には、他に行くあてがないはずだ。」
リタルは、両親と一緒に、アパートで暮らしている。

「この国から、もう逃げたいの。」
「そんなことしても、意味はない。みんなで、アラジンさんを助けないと。」
トリズは、リタルを抱きしめた。


ジーニーは、夢を見ていた。
追われたり、追ったりしている。
ジーニーは、あの頃、魔法の杖を持っていた。
魔法の杖を持っても、意味はない。

『あなた。骨董市で見つけたの。』
それは、妻がくれた物だった。

『ああ、もう最低よ。どうして私を、魔女にできないの?』
『すまない、サレ。魔女に出来る魔法使いは、一部の者だと聞いている。私はその中には、含まれていない。』

うわあああ!!
魔力を持った暴漢達が、ジーニーを襲ってくる。
その頃、ジーニーは、悪の魔法使いについて、よく分かってなかった。
その暴漢達は、ジーニーの妻が雇った者達だった。

ジーニーは戦ったが、急所をつかれ、瀕死状態になった。

ジーニーは、黄泉の国へと続く、長くて暗いトンネルに来た。
人が横たわったりして、うめき声をあげている。
少し行くと、水色の服を着た女の子が、うずくまっていた。

「大丈夫かい?」
「はい‥。」
「おいで、一緒に行こう。」
2人は、出口を目指した。

「そちらに行ったら、私達、どちらも死んでしまうわ。」
「おや、ここは、天国へと続く道なのかい?」
「そうよ。私、自殺したの。」
「どうして自殺なんか。命を粗末にしてはいけない。」

「私が‥悪いことをしたから。」

「そうか。でも、どんな時だって、自分から死のうなんて、しちゃダメだ。」
「でも、あなただって、死んだから来たんでしょう?」

「自分から死んだわけじゃない。殺されたんだ。妻にね。でも、もう離婚する。」

リタルはニッコリと笑った。
「離婚も、してはいけないことでしょ?」
「時には許される。許されなければ、死が待っているのだから。」
ジーニーが言うと、リタルは、笑った。

白くて光る出口は、ドアに変わった。
ジーニーが開けると、白人の女の子が顔を出した。
後ろには、背の高い中国人がいる。
「何、戻ってきたの?」
白人の女の子は、ニヤリと笑った。

ジーニーは、目を覚ました。


「じゃあね、ママ。仕事に行ってきます。」
「いってらっしゃい。気をつけてね。」

ドン
「すまない、ジャスミン。」
「お父さん?言っておくけど、こんなことになったのは、全部、お父さんのせいなんですからね。」

ふん。ジャスミンは、怒りながら、花屋に向かった。

「母さん。」
「おかえりなさい‥。アルトルナさんとは、話せたの?」
「ああ、話せたが、アルトルナは亡くなったよ。」
「そう、残念だわ。」

「それより、ミンティアが、黄泉の国に連れて行かれた。アルトルナの下に行く途中、夢で見たんだ。」
「ミンティアが黄泉の国に?どうしてそんなことに。」

「ジェイ・アポックと一緒にいた。」
「ジェイ・アポックと?ずいぶん昔に死んだ男でしょう。どうして?」
「俺を憎んでいたんだ。ジェイが化けて出てる。」

「恐ろしい。助ける方法はないの?」

「助けるために、アルトルナはアベックと言った。俺は、それが誰だか、さっぱり分からんが。」

カチャン
蓋つきのツボが動いた。
ジャフカデが侵入して、聞いていたのだ。それは、正の魔法だった。


ジャフカデは、ドアの前に来た。
ピンポーン
「はい。」

「どうも。」
「ジャフカデ?‥何の用ですか?」
「黄泉の国について、話がある。」

「どうぞ。」
白人の女の子は、怪訝な顔をしたが、ジャフカデを中に入れた。


アラジンは、役人と話していた。
コツン
石が当たったので、アラジンは振り返った。
「ジュリア?」

「どうしたの?」
「それは、こっちのセリフだよ。」
「何、選ばし者として、国を統治しているだけだ。」

ジュリアは笑った。
「アル。変わってなかったんだ。」
「変わるはずない。俺はずっと、俺のままだ。」
「そっか、よかった。」

「リンドアークさん。」
役人が呼んだので、「じゃ、また。ジャスミンによろしく伝えて。」
アラジンは行ってしまった。


「はい、お茶です。」
白人の女の子が、ジャフカデにお茶をいれ、ジャフカデは女の子を見つめた。

「テラ。君は男の子だろう?なぜそんな服を‥。」
「魔女に‥なりたくて。」
「魔女に?」
「そう。悪の魔法使いは、1人の女性を魔女にすることが出来る。オーファンは、悪の魔法使いだから。」

「僕は、まだ、魔法使いではないんです。」
「魔法使いは、望んでなれるものではない。」
「そう。僕はそれを望まない日はない。だから、なれないんです。」

「黄泉の国についてのお話があると。」
「ああ。知り合いのお嬢さんが、幽霊に黄泉の国に連れて行かれたんだ。‥黄泉の国へのドアを持っていると、オーファンが前に、酒の席で自慢していた。」


「ええ。でも、行けるわけじゃない。黄泉の国に行く人を見たり、たまに、戻ってくる人を迎えたりするだけの扉なんです。」

テラは立ち上がり、小さな家を持ってきた。

「これ。僕一人じゃ、開けられない。オーファンが帰らないと。」

テラはまた立ち上がり、お菓子を持ちに行った。
ジャフカデは、小さな家を調べた。

「どうしてこんなものを?」
「オーファンの家に代々伝わっている物なんです。僕も詳しくは知らないけど。オーファンが戻らないと、開けることも出来ない。」

ガタガタと窓が鳴った。
「ちょうどいい。オーファンだ。」

「ジャフカデさん、高速移動の時は、風になりますか?それとも、影になりますか?」
「俺は影だ。透明ではないがね。」
「オーファンは風なんです。」

バン
オーファンが、家に戻ってきた。
窓の外だ。
「オーファン!ドア、開けるね。」

「ただいま。いつも降りる場所を間違えてしまう。」

「ジャフカデさん。知り合いの子が、黄泉の国に連れて行かれてしまったんだって。」
「どうも。」
オーファンは、頭を下げた。

「でも、あちらへは、行けませんよ。」
「ああ、分かっている。見たいだけだ。」

オーファンは鍵を回し、小さな家の窓を開けた。
黒い空間の中に、道が続いており、魂が飛び回っていた。

「すごい‥ここが、黄泉の国か。」
「いえ、これはまだ、入り口です。向こう側がどうなっているかは、よく分からない。いつも、ぼんやりとしたものしか、見られないから。」

「この家には、魔法の起源が隠されています。」
オーファンは、もう一つの窓を開けた。


紀元前1800年。インダス文明が滅亡する。
紀元前2000年に起こった気候変動が原因とされているが、
実際には、街は、一日で、砂漠に飲まれたのだった。

不思議な力は、それによって生まれた。
その力は、1人の少女に与えられた。
名前を、シロナ・カカリアという。
シロナは、そこから50キロ離れたベンジャーナ村に住んでいたが、その日、インダスに吸い寄せられるように、消えた。

シロアが、街を飲んだ砂漠から、生えた緑に触れると、シロアは砂漠に飲み込まれた。

3日後、シロアを探しに来た、ベンジャーナ村の人達の前に、シロアが、砂漠から現れた。
「シロア‥、大丈夫か。」
「ええ。」

シロアは魔女になっていて、村で数々の奇跡を起こした。

シロアの伝説は、各地に伝わり、彼女は神とされた。

しかしある日。
一番の都市で、死刑が行われることになった。
罪はないが、嫌われ者の、タペックのギロチンだ。

みんな面白がって見た。

ついに、刃が下され、首が切れた。
しかしそれは、シロアの首だった。

人々は息を飲んだ。
シロアは、自分の命をかけて、殺人が悪いことだと、教えたかったのだ。

男達は悲しみ、身を投げた。
シロアの霊は、それを止めたが、悲しみの方が強かったため、止めることが出来なかった。

シロアの霊は、3人の男に呪いをかけた。
恋人のパランを正の魔法使いに、元恋人のワーデンも正の魔法使いに、そして兄のへブアンを、悪の魔法使いに。

これが魔法の起源である。

オーファンは、言った。
「俺は、へブアンの子孫だ。この家は、代々家に伝わってきていた。」

「俺は、ガンジス川に住む魔女に頼み、悪の魔法使いになったが、まだ、この家を破壊出来ていない。」

「破壊するつもりなのか?」
「ああ。これを狙う者は多い。災いの下だ。俺の先祖が、40才以上生きた例がないんだ。」
「そうか。」

「知り合いの子が、黄泉の国に連れて行かれたと言ったな?」

「ああ。」
「では、体はどこかにあるはずだ。まだ死んで、燃えやされていなければの話だが。」


その頃、宮殿では‥。
アラジンは、宮殿の中を自由に歩き回り、万が一の時のために、宮殿の中を調べていた。

『キングズルーム』
「ここが、王様の部屋か。」
アラジンは、金色の扉をノックした。
「誰もいないみたいだ。」
アラジンが中を覗くと、トイレが丸出しで置いてあり、その隣には、キングサイズのベッド、大きな窓があった。中は、広々としている。

「ふーん。へ・ん・た・い。」
アラジンは、ニヤリと笑い、ドアを閉めた。

『ロジーズルーム』
「ロジーの部屋。」

ロジーは、部屋の中で、何かを見ていた。
コンコン
ロジーは振り返った。

「はい?」
「やぁ、ロジー。宮殿の中を歩き回っているんだ。」
「そうか。」
「よければ、君の部屋を見せてくれないか?」
「いいとも。」

ロジーは、悪の魔法で、『何か』を透明にした。

ロジーの部屋の絨毯は紫色で、本棚がびっしりとあり、ホテルのロイヤルスイートのように、部屋が続いていた。

「素敵な部屋だね。」
「まぁ、気に入っている。」
「本を読むのか?」
アラジンは、大きな本を手に取った。
それは、インドに関する植物の本だった。

「ああ、読むことは好きだ。」

「聞いてもいい?」
「ああ、どうぞ。」
「どこで、悪の魔法を?誰から?」
「お婆さん。子供の頃にね。ちょうど、その本の著者の1人だ。ルメリダ・メリックス。」

アラジンは、ルメリダ・メリックスの名前を指でさわった。

「場所は‥、ネパール。カトマンズのふもとだ。」
「ネパール?インドじゃないの?」
「ああ。僕はね、昔、そこに住んでいた。」

「‥そう。」
「うん。」

バタン。
アラジンは、ロジーの部屋を後にした。

ロジーは、奥の小さい部屋の、ソファーベッドに横になり、昔を思い出した。

山のふもとの柔らかな緑の上を、お兄さんのチャダルと、飼い犬のフゥルと一緒に、走り回っている。
「チャダル!アベック!」
おじさんが呼びかけた。アベックは、ロジーの本当の名前だ。
8才のアベックは、反抗期をむかえ、本当のお父さんのことを、おじさんと思うようになっていた。

「え?」
「どうしたの、お父さん!」
「お婆さんが倒れたんだ!」
「そんな!!」

急いで家に行くと、ベッドのお婆さんに、お母さんが寄り添っていた。
「おばあちゃん、大丈夫?」
「ああ‥。チャダル。アベック。」
「おばあちゃん!!」
「残念だが‥お婆ちゃんは、もう死ぬよ。」
「やだよぉ!!」
「チャダル。お前には、父さんと同じ、魔法をあげてある。」
「うん‥。」
「正義の魔法だ。」
「うん‥。」
チャダルは、おばあちゃんの手に泣いた。
アベックは、ワケが分からず、チャダルを見た。

「アベック。手をお貸し。」
「え‥。」
「お前は、本当にいい子だから‥。」
お婆さんは、手から、紫の光を出し始めた。
「母さん、まさか。」
「ああ‥。アベックには、役に立つ。」
「止めろ!!」

お婆さんは無視し、紫の光は、さらに強くなった。
アベックは、黒い影に包まれた。

「アベック!」
チャダルは、心配して叫んだ。

紫の光と、黒い影は終わって、静かになった。

お婆さんとアベックの腕には、金色のブレスレットがはめられていた。
「アベック。悪の魔法だよ。」
「悪の魔法?」
「悪い事をする時にだけ、魔法が使えるんだ。」
「悪い事にだけ?」
「ああ。でも、この世界をよくするためには、必要な魔力なんだよ。」

「アベック。」
チャダルは、アベックを見た。

「母さん、頼む。行かないでくれ。」
「お義母さん!!」

「すまない‥。」
お婆さんは、目を閉じた。


10年後、18才のアベックは、別の場所にいた。
インドの中でも、都会の街の、観葉植物が飾ってある本屋だ。

外を見ると、11才ほどの女の子が、ふらふらと歩いている。
怪しげなスーツの男が話しかけていた。

「お嬢さん、どこから来たの?よければ、街を案内しましょうか?」
「いえ‥大丈夫です。ありがとうございます。」
「いやいや、そんなこと言わずに、一緒にきたまえ。」

「止めろ!」
アベックが言うと、女の子は振り返った。
「え‥。」

「僕の妹から、離れてくれないか?」
アベックが言うと、スーツの男は、どこかに行ってしまった。

「大丈夫かい?」
「はい。ありがとうございます。」
「だけど君、どこから来たの?」
「ニューデリーです。」
「そう。ニューデリーから、ここまでは、電車で一時間くらい?」
「はい。」
「君はまだ子供だ。1人かい?」
「ええ。お姉ちゃんの誕生日プレゼントを買うためです。」
「そう。プレゼントは、決まったのかな?」
「まだ‥。」

「良い店がある。来て、僕は安全だから。」
「うん!」

ミンティアは、1ドルほどの可愛いオブジェを買った。

「じゃ、気をつけてね。」
「はい。」
ミンティアは、電車で帰った。

ミンティアのことを気になったアベックは、ニューデリーに来た。
お母さんと手をつないで歩く、ミンティアと出くわした。
「あ。あの時の‥。」
「こんにちは。」
「あら、ミンティア。知り合いなの?」
「ええ。前に会った人なの。お姉ちゃんの誕生日プレゼントを選ぶのを、手伝ってくれた。」
「あらあら、娘がお世話になったようで‥。」
「いえ、とんでもありません。」
「よければ家で、お茶でもいかがですか?」
「いえ、僕は、これから用事があるので‥。」
「そう。残念だわ。」

アベックは、立ち去りながら、鼻をかいた。
ミンティアと会えたことが嬉しかったのだ。

その後アベックは、夕暮れの川を呆然と眺め、市場の食堂で食事をした。
あとは、酒場で、酒を飲みながら、タバコを吸った。

真夜中。
スラムの中にある、闇市に来た。
ここに、有名な占い師がいると聞いていたのだ。

爺さんが話しかけた。
「お前さん、こんな所で何を?」
「闇市に、有名な占い師がいると聞いてね。占ってもらいたくて‥。」
「おや、恋の悩みかい?恋はした方がいい。若いうちはね。」
「ところで、占い師を知っていますか?確か、名前は‥ダリティアン‥。」
「ダリティアン・レアン。アフリカ出身のキザな男。そいつに会いたいなら、このテントの奥だよ。」
「そうですか。ありがとうございます。」

アベックが歩いて、テントの中に入ると、そこには、乳飲み子を抱えた母親が1人と、狂暴そうな男が3人いた。
「客人かい?」
「え‥。」
「人の家に間違って入ってきたのかい?」
「すみません‥。」

アベックはテントから出ようとしたが、そこにも、狂暴そうな男が待ち構えていた。
お爺さんは、不気味な笑いをしている。
「だましたんですか?」
「だましてないさ。そこにいる男が、ダリティアン・レアンだ。」
「俺になんの用かな?」
胡散臭い男が、銃を持ってきた。

「捕らえろ。」
胡散臭い男が言った。

アベックは、悪の魔法の使い方を習得していた。
いくら防御といっても、防御は正の魔法だ。
だから、アベックは、乳飲み子を抱えた母親を狙うようにして、防御した。

「モミー!!」
胡散臭い男は、モミーに駆け寄った。
あとは、アベックが習得していたインド憲法で、狂暴な男達を倒した。
残るは、お爺さんだ。
お爺さんも、インド憲法の達人のようで、強かった。
アベックは悪の魔法を使ったが、お爺さんも目から光を出し、口から閃光を発射した。
お爺さんは、悪の魔法使いだったのだ。

「くそっ!」
アベックは、置いてあった大樽の影に隠れた。
お爺さんは我をなくし、目から光と口から閃光を発射し続けている。

「大丈夫か?」
アフリカ系の男が覗き込んだ。
「やめろ!」
男は体から緑の影を出し、お爺さんに緑の閃光を浴びせた。
お爺さんは突き飛ばされ、辺りは静かになった。

男の体には、緑の影がかすかに残っている。
「立てるかい?」
「ありがとうございます。」
「俺は、アラム・タン。」
「僕は、アベックです。アベック・メリックス。」
「よろしく。」

「安全な場所に行こう。」
アラムは、電灯に光をともしながら歩いた。
「あなたは魔法使いですか?」
「そう。俺は、正の魔法使い。君は?」
「僕は、悪の魔法使いです。」
「そうか。でも、悪の魔法使いは、強いらしい。」
「悪い奴には使えない。お婆さんは役に立つと言ったけど、使い方がよく分からない。」
「いずれ、分かる。答えは君の中にある。」
「みんなそう言う。そんなのは、鉄板の答えだよ。ダリティアン・レアン。ニューデリーイチの占い師が、そう言うならがっかりだ。」

「いつから、気づいた?」
ダリティアンは、細長い人差し指を、アベックに向けた。
「さぁ。会った時かな。」
「勘がいい。さすが、悪の魔法使い。ちょうど、僕の店についたよ。占ってあげる。」
ダリティアンの白いテントに入った。

「さぁ‥。」
ダリティアンは、タロットカードを机の上に広げてみせた。

「一枚とって。」
アベックが取ったカードは、黒い悪魔のカードだった。

「もう、一枚。」
次は、妖精のカードだ。

「ふん。悪魔は、年下の子に、恋煩いを?」
ダリティアンは言い、アベックは何も言わず、もう一枚のカードを引こうとした。
「あ、ダメ。」
「え?」
「今、もう見えた。女教皇。」
アベックは不審そうに、3枚目のカードを引いた。

「年下はダメ。あきらめろ。」
「あきらめられそうにない。」
「ダメ。絶対に。女教皇は怖いんだ。死神より怖い。」

「じゃぁ、頑張れよ!」
ダリティアンは、テントから顔だけ出し、手を振った、

アベックは、朝になったスラムを、疲れた感じで歩いて帰った。


3か月後。
大学の図書館で、大きな本をめくっていた。植物の本だ。
「植物に、興味があるんですか?」
白人の女の子が話しかけた。
「ん?ああ、まぁ‥。」
「そうなんですか。私、何を育てても、うまくいかなくて‥。」
女の子は、近くにあった植物図鑑を開いた。
「その本‥。」
「え?この本が何か?」
「俺のおばあちゃんが、執筆に関わっていて。」
「そうなの?」
女の子は、図鑑の後ろを見た。

「ルメリダ・メリックス。この人が俺のおばあちゃん。」
アベックが言うと、女の子は、指で、名前を触った。

図書館の窓は空いていて、カーテンがひらひらと揺れている。

「じゃあ、あなたに悪の魔法をくれたのは、この人ね?」
突然、大きな風が、図書館に入った。

「どうしてそれを。」
「あなたが、悪の魔法使いだってことは、知っていたわ。だって、金の腕輪をしているもの。」
「これ?こんなの、みんなしているじゃないか。」

「とてもめずらしいの。それに、これ、外せない。」
女の子は、金の腕輪に触れた。
金の腕輪は、金色のレースのような感じだ。

「魔女になりたいの。」
「魔女に?」
「お願い。」
「ダメだ。そんな危険なこと、させられない。」

「テラ?」
「こんにちは、オーファン。」
テラは、少し早口で挨拶した。

「誰?」
「アベック。悪の魔法使い。」

オーファンは杖を取り出し、しげしげとアベックを見た。
「君は‥、杖を使うのか?」
アベックは聞いた。
「いいや。護身用に持ち歩いているだけだ。」
背の高いオーファンは、アベックを見下ろしながら言った。

「まさか、と思うが‥。」
そう言い、オーファンは、テラをちらりと見た。
「テラを女にしていないな?」
「は?」
「いやいい。魔女になりたいんだ。テラは男なのに。」
「男?」
アベックは、テラを見た。
「今流行りの、性同一性障害ってやつだよ。」
「そうなんだ‥。」

オーファンはアベックから離れ、テラがオーファンの腕をとり言った。
「その手があったわ!女になる魔法があるのね?」
「いや、俺は知らないよ。魔女じゃなくて、魔法使いになら、多分、なれる。魔法をくれる魔女を見つければね。」
「魔法使い?」
テラは残念そうにした。
「そうさ。魔女は、男を魔法使いにしないと、早死にしてしまう。魔女の掟なんだ。」
オーファンとテラは、話しながら図書館から出て行った。

アベックが下を見ると、ミンティアが、ジャスミンとリリホワと共に、歩いて来ていた。
ジャスミンのオープンキャンパスに着いてきたのだ。

「私は、1人で大学を見たいんですからね。」
ジャスミンは言った。
「それはいいけど、男子大学生に声をかけられても、無視しなきゃダメよ。」
「だけどママ、男のスタッフだっているのよ!」
「ダメ。女性についてもらいなさい。」

アベックは下に降りた。
「こんにちは。」
「あら、こんにちは!この大学の学生だったのね。」
「はい。僕は医学部で‥。」
「あら、そう。優秀なのね。ジャスミン、ミンティア。アベック君を見習いなさい。」

「大ホールはあちらですよ。」
アベックは指さした。
「ありがとう。」
3人は大ホールへと向かい、ミンティアは振り向いて、アベックに手を振った。


現在のアベックが隠していたものは、ミンティアだった。
アベックは、ミンティアに布団をかけた。

ハッ。
オーファンは目を覚ました。
『ミンティアは、アベックの所にいるのか。』
テラの部屋を覗くと、テラはまだいびきをかいている。

上着を羽織り、散歩をすることにした。
朝5時のインドでは、赤と白の金のターバンをしたお爺さんがヨガをしたり、若者が水浴びをしたりしている。
白いラインが2本入った紺ジャージを着た、インド女性が走ってきた。
目が合ったので、オーファンは軽く会釈すると、インド女性はニコリと笑った。

汚い通りを歩く。
「うっ。」
「ごめんなさい。」
『いいよ。』
オーファンが当たってしまったのは、まだ若い男だった。
「すみません。」
オーファンは、その男から離れた。

先ほどのランニングのインド女性が後ろから来て、その男に声をかけた。
「ちょっと、タラルム。またここで寝ているの?」
インド女性は、仁王立ちで、男を見降ろした。
「ごめん。昨日、遅くまで飲んでて。」
「飲んでたぁ?!一体、誰と?」
「マッチ。」
「マッチ?」
「マッチ?」
インド女性と、その会話を聞いていたオーファンが言った。

「マチルダン。」
「ああ、マチルダンね。」
「人なのか‥。」
オーファンはつぶやき、また歩き出した。

「これさ、さっきの人が、落としたんだよね。」
タラルムが、ライターを出した。
「ああ‥。あの、すみません。」

オーファンは自分のことだと思わずに、歩いている。
「ちょっとそこの人!すみません!」
「え?」
「あなた、これを落としたみたいよ。」
「ああ。」

3人は、タラルムとインド女性が行きつけの食堂で、食事をすることにした。

「ここの麺はすごく上手いよ。」
タラルムが、フォーのようなものに唐辛子を入れながら言った。
「ああ‥。」
オーファンが麺を食べると、本当に美味しかった。

「2人は、付き合ってるの?」
「うん。ズータンとは、付き合って10年くらい。」
「ズータン?」
「タラルムとズトアム、名前が似ているだろう?だから、ズータンと呼んでいるんだ。」
タラルムは汁を飲み干し、インド女性ズトアムは、にっこりとしながら、麺を食べた。ズトアムの眼鏡は曇ってしまっている。

オーファンが残りの麺をたいらげようとした時、外にジャフカデが通るのが見えた。
『あ‥。』

「ちょっと、知り合いがいて‥。」
「え?そうなの?」
「はい。すみません、これ。」
「まいどありぃ!」
歯がかけた親父は、にっこりとした。

オーファンは食堂を出た。
「まだ残っているのに。」
タラルムとズータンは、目を合わせた。

「ジャフカデ!」
オーファンが呼ぶと、ジャフカデが振り返った。
ジャフカデは一呼吸置き、言った。
「ごきげんよう、オーファン。」
「ご、ごきげんよう。」
「何の用かね?俺はこれから仕事なんだよ。」
「仕事?仕事って何をやっているの?」
「俺は、霊媒師として働いている。」

「そうなんだ。」
「ああ。君の仕事は?」
「俺は、高校の教師をしている。」
「悪の魔法使いが教師とは。」
ジャフカデはニッコリとした。

ジャフカデは、話をしながら、歩きだした。
「ニューデリー1の黒の魔法使いと言われているが、俺は、正の魔法使いだ。」
ジャフカデはその後、悪霊の話をした。

「‥そうなんだ。ところで、君に言いたかったのは、ミンティアは、ロジーの所にいる。」
「王宮に?」
「ああ、そうだ。夢で見た。」

夢で。
ジャフカデは、何か分かったようにつぶやいた。
「ロジーは本物じゃない。知っているか?」
ジャフカデは聞いた。
「ああ、知ってる。入れ替わったのは確か‥ロジーが19の頃だ。今のロジーの本名は、アベック・メリックス。」
「入れ替わったか‥。本物はどこにいる?」

2人は立ち止まり、魔力で透視をした。

「ダメだ。見えない。」
ジャフカデは、指で目を抑えた。
オーファンには見えた。
本物の王子は、乞食として、スラムにいる。

「見えたか?」
「ああ、見えた。」

オーファンは、アベックと本物のロジーが入れ替わった時のことを思い出した。
19才のアベックは、7才年下のミンティアと恋人になれないことにいら立っていた。
アベックは、インド人だが色白のルタン・バラルスという男と、シェアしているアパートには戻らず、スラム街で野宿するようになる。

「大変だ、プシュカルでテロが起きた。」
アベックが目を覚ますと、親父達が新聞を持ち、話していた。
レタという親父が、アベックを起こした。
「アベック。プシュカルでテロだ。」
「ああ‥。」
レタは、アベックに新聞を手渡した。
どうやら、王政に対抗したインド人グループによる犯行らしい。

「王族が相手なら、どうしようもないな。」
「手段ならあるさ‥。」
アベックは目をキリっとさせた。

「王子だ!」
「王子様だ!」
そこに、スラム街の病人の見舞いをするために、ロジー王子が歩いてきたのだ。

「王子‥?」
テラと一緒に、スラム街のアクセサリーショップに来ていたオーファンが、ロジー王子を見た。

「王子!王子!」
スラムの親父達は新聞を持ち、王子に駆け寄った。
「心配ない。」
王子は、親父達をなだめた。
王子はテントに入った。
そこには、グスラマという少女が熱でうなされている。

「グスラマ‥。」
王子は、グスラマに薬を飲ませた。
「王子様‥ありがとうございます。」
グスラマの両親は、泣いて感謝した。

ロジー王子がテントを出ると、黒い杖を持ったアベックが待ち構えていた。
「どうした?」
「この国の王子は、お前ではダメだ。」
「何を言う!」

「俺と代われ。」
アベックは黒い影を出しながら、杖をロジーに向けた。

「王子様、早く中へ。」
グスラマの母親が呼んだが、
「大丈夫だ。」
ロジーは、マントの下に隠し持っていた赤とゴールドのピストルを、アベックに向け、発砲した。
しかしアベックは、魔法で銃を跳ね返し、包丁を持って出てきたグスラマの父親に当てた。

「お父さん‥。」
ロジーは、グスラマの父親の下にかがみこんだ。

アベックは、ロジーに杖を向けた。
「止めてくれないか。なんだってする。」
ロジーは言った。

民衆達は恐れた様子で、その光景を見ている。
王子の護衛は剣をぬこうとしたが、
「ダメだ!!危険すぎる。」
オーファンが止めた。

「アベック、止めろ!!」
オーファンはそう言って、杖を向けた。
正直、杖には意味はないが、格好がよくなるのと、狙いが定めやすくなる効果がある。

アベックは無視したまま、杖をしまい、手の平をロジーに向けている。
オーファンは、魔法が使えなかった。
この魔法は、正の魔法だからだ。

アベックとロジーは入れ替わった。
アベックは大地を揺らし、オーファンとテラ以外、全員の記憶を入れ替えた。
オーファンはテラの手を握り、テラを守ったのだ。

アベックは、ロジー王子となり、護衛と共にスラムを去った。

「アベック?大丈夫か‥?」
親父達が話しかけた。
「テロ組織だ‥。王子を狙って、騒ぎを起こした。」
レタはぼーっとしながら、ロジーに言った。

「あなた!あなた!」
「先生、ドスラムが‥。」
白衣を着た老医者がやってきた。

老医者は首を振った。

「そんな!!なんとかしてくださいよ!!」

「行こう。」
オーファンはテラの肩を抱き、背を向けた。

「お父さん‥。」
グスラマがテントから出てきた。

「グスラマ‥。」
「お父さん、死なないで。」
「グスラマ‥、我が娘よ、愛している。」
最後に、ドスラムがグスラマの手を握ると、グスラマに、薄紫にも青色にも光る、魔女の証の腕輪がはめられていた。

宮殿についたアベックは、王の椅子に座った。
部屋に入ってきた王を、魔法で突き飛ばし、記憶を入れ替えた。


「アベックが戻ってこなくなって、今日で3週間だ。」
ルタンはカレンダーに赤バツをつけた。
「どうしてだろう?」

「朝刊。」
紺色のガウンを着たルタンは、新聞を読みながら、窓際のテーブルに向かった。
小さなテーブルには、トーストとコーヒーが置いてある。

王子の写真を見たルタンは、コーヒーを吹きそうになった。
「アベック?!」
ルタンは、険しい目で、窓の外を眺めた。

王子になったアベックは、王室の車で、ニューデリーの街に来た。
アベックはサングラスを外し、見つけたミンティアを見た。
しかし、ミンティアは、アベックのことを見て、すぐに視線を外してしまった。

「ロジー様、お気に召す女はいらっしゃいますか?」
警護の者が聞いた。
「いない。」
「いない?いないでは困ります。」
「しいて言えば、あの娘だ。」
アベックは、リタルを指した。ミンティアを標的から外すためだ。
そのため、リタルが標的になってしまった。
宮殿の女達と遊んでいたのは、王や高官たちだった。
アベックは、宮殿の女には、手を出していない。


「遅かったわね。」
洋服を着たテラは、クッキーを焼いていた。
大きな手袋をはめている。

「どうしたの?」
「朝から、散歩して‥カップルに会ってさ。食堂に連れて行ってもらったんだ。」
「食堂に?じゃあもう、朝食はすんでいるのね?」
「うん、麺、なんだけど‥うまかった。」
オーファンは、にっこりと笑った。

「その後は、ジャフカデに会ったんだよ。」
「ジャフカデに?」
「ああ。覚えているか?宮殿にいる今の王子は、本物の王子じゃない。」
「ええ。アベックよね。」
「そう。今、ミンティアは、アベックの下にいるみたいなんだ。多分、魔法で眠らされている。」
「そうだったんだ‥。」


仕事を終えたジャフカデは、ジーニーのテレビ収録現場に来ていた。
「ジーニー・アーノルドの下半期星占い」である。

「みなさんの願いは必ず叶いますよぉ!まずは、体に気をつけることです。」
ジーニーはその後、決め台詞を言い、収録を終えた。

「お疲れ様でーす!」
スタッフの女性が、ジーニーからマイクをもらい、言った。

「ジャフカデ。どうしたんだ、こんな所に来て。」
「今朝、オーファンに会ったんだ。それで、聞いたんだが‥ミンティアは、アベック王子の下にいる。」

「え?アベック?オーファン?ちょっと待て。話が見えないが?」
「ジャスミンの妹のミンティアの魂が、黄泉の国に連れて行かれている。今、宮殿にいるロジー王子は、本物じゃない。アベックという男と、8年前に入れ替わったんだ。」
「そうだったのか。それは、初耳だった。」
ジーニーは胸をおさえ、言った。
ジャフカデは、神妙な顔で、ジーニーを見た。

「それで、オーファンというのは、誰なんだ?」
Caféに来たジーニーは、オレンジジュースを持ちながら聞いた。
「魔法使いのアベックでね。オーファンとテラ。まぁ、テラはまだ、魔法使いにはなっていないが‥。」
「魔法使いのアベックか。それなら‥タラルムとズトアムというカップルを知ってる。」
「タラルムとズトアム‥?聞いたことがない。強いのか?」

ジーニーは首をかしげた。
「実は‥俺も良く知らないんだ。ロジー王子が、アベックという男と入れ替わったことも今日知ったのだから。‥自分で思っているほど、俺は高尚な男ではないな。」
ジーニーは言い、ジャフカデは下を向いて、アイスカフェオレを飲んだ。


「だけど、久しぶりだわ。アルと2人きりになるのなんて。」
ジャスミンは、手すりのフラワーバスケットに水やりをしながら言った。
「あー‥うん。でも実は、ジュリアに連絡しちゃって‥。もうすぐジュリアが来るんだけど、いい?」
王子の服を着たアラジンが言うと、ジャスミンは振り向いて、少し残念そうに言った。
「仕方ないわね。でも、来るまでは、こうさせて。」
ジャスミンは、アラジンに抱きついた。

「う、うん‥。」
アラジンは、軽く、ジャスミンを抱いた。

「私達、いつか結婚できるかしら?」
「結婚っ?!」
アラジンは、ジャスミンの肩をつかみ、離した。
「ええ。私達、いつかは結婚するわよね?」
「OK!でも、もう少し、この国をよくしてからでないと、結婚はできないけど‥でも、俺だって、ジャスミンとずっと一緒にいたいさ!」
「アル‥。」
ジャスミンは、また抱きついた。
ピンポーン
「あら、ジュリアかしら?」
ドアを開けると、リリホワとペットの犬のチェリー、ジュリアが立っていた。
「ジュリア君とさっきそこで会ったの。リンドアーク君、久しぶりね!」

「どう?王子になった感想は。元々は主人のせいだから、心配で。」
リリホワが聞いた。
「いえ、楽しい毎日を送っています。」
アラジンは、白い歯を見せた。
「ところでおばさん、ミンティアの居場所は分かったの?」
ジュリアが聞いた。
「ミンティア?」
「ミンティアが、一週間前から、いなくなったの。」
アラジンが聞き、ジャスミンが答えた。

リリホワは顔を暗くした。
「実は、主人が言ったの‥。ミンティアは、主人の死んだ古い友人に、黄泉の国に連れて行かれたって。」


誠に勝手ですが、この物語をこれ以上、書くことができないので、
誰かに渡したいと思います。

Sky in Alove ~魔法使いのアベック

あとはよろしくお願いいたします。

Sky in Alove ~魔法使いのアベック

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更新日
登録日 2019-06-04

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