自決ネクタイ
スーツを着た俺の眼が、毒づいている。歩哨の動きで段着地点を正確に測らなければならない。
排出されるビル兵舎、自決ネクタイたち。昼間の局地戦。蛸壷のトーチカで点滅する液晶。矢継ぎ早に最前線の営業先からの連絡を伝達。その首筋に自決用の首吊りネクタイが装填されている命令の構造。上司は兵隊を選べるのだ。
上司を選べない兵隊たちの塞がれたデスクの滑稽。あの窓から見えるタワーは象徴的にこのオフィス街の愚劣な優秀で人間を配列させる。控えめに怒号。制裁はいよいよ滑稽な合法で自決ネクタイたちを数に貶める。
スーツは員数なのだ。昼休みに煙草をふかすこの屋上なら、ラーゲリを一抜けるためのコンクリートが分厚めに用意されている。
滑稽だ。
自決ネクタイをやや緩めながら、俺は執筆という抵抗を待った。
自決ネクタイ
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