I am happy?6
腰が重く感じた朝。
カーテンのすきまから透けた光が眩しくて、目をくらませた。
変わらない朝のはずだった。
変わろう。
私、変わったよ。
ねぇ先生。
「せん…?」
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先に行く
食べてけよ
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湯気のたったホットケーキがテーブルにあった。
重量感たっぷりのオシャレなはちみつの瓶がおいてあった。
景色は、色づいていた。
鮮やかで、眩しい。
「はよーっす。」
「おはよう。」
前の席は空いていた。
アマミは必ず、私よりもずっと早くに来ているはずなのに。
私は携帯を開いた。
そして、メール受信ボックスが空だったことに、不安を感じた。
焦りで手に汗が混じった。
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toアマミ
fromヒメノ
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いまどこ?
今日休むの?
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私は落ち着こうとして、イスに座った。
言葉にもしたくない不安が、心に巣をつくり、蝕んでいった。
時計の針はどんどん進む。
1時間目終わりのころに、ガラッと後ろの扉が開いた。
「アマミ!」
社会科Ⅱの先生が声を上げた。
私が振り向くときには、もうすでにクラス中がざわついていた。
襲いかけていた眠気が一気に飛んだ。
「うっす。」
こっちを見て右手を上げた。
顔のあちらこちらに、できてすぐの生々しい傷が出来ていた。
ガーゼじゃ覆えないほどの傷を作っていた。
手の拳には、包帯が巻かれていた。
「さーせーん、遅れましたー。」
「アマミ…。」
「…っ! あーいてー。」
「どうした。何かあったか。」
クラス中のざわつきが大きくなっていく。
「なんもないっすよ。ってか、どーぞ続けて。授業中でしょ?」
「まぁ…そうなんだが…。」
一瞬顔を曇らせた後、ツカツカと黒板のほうへと歩を進めた。
「ねぇ、アマミ…昨日、電話出れな…。」
「…なんでもねーよ。つか、そんな顔すんな。」
ポンと優しく、頭に手を乗せた時のアマミの顔。
そんな顔、しないでよ──────。
I am happy?6