九十九神1
初めての投稿なのでいたらぬ点もあると思いますが生暖かい目で見守ってください。
作品は短めでなんというか今回は第一章といったところです。
皆さんは物に神様が宿るという九十九神の存在を信じますか?
九十九神と言うのは物を大切にしていればその物に神様が宿るというものです。もしあなたが何か物を大切にしていればヌイグルミでも
パソコンでもその物には神様が宿っています。
でもそれは人間には見えません。
ですがもしも神様の悪戯でもしくは九十九神の願いで九十九神が見えるようになったとしたらあなたはどうしますか?
これはそんな事になったある高校生の物語・・・
「いや?俺もこれから一人暮らしか。てかこんな荷物どうすんだよ」
おれは家に置かれた大量の荷物を見て独り言をつぶやいた
まず自己紹介をしておこう。俺の名前は竹中 早雲(たけなか そううん)だ。
俺はこの春猛勉強して都立の進学校<桜坂南高等学校>に入学し高校生となった。
そして俺の実家は高級料理屋をじぃちゃんの代から受け継いでやっているのだが、なかなかの田舎にあるため一人上京してきたのだ。
そしてこの8畳一間のけっこうキテいるアパート故我荘(こわれそう)にきたのだ
高級料理屋が実家ならもっといいとこに住めばいいではないかと思われるだろうが、両親はそこらへんには厳しいので
「高校生にはこれくらいで十分だ」
と言いここに決まったのだ。
「愚痴を言っててもしかたない。ぼちぼち始めるか」
そう言って始めたのだが1時間と持たないうちに飽きてしまいテレビを見始めていた頃
「あ?!なによこれ全然方付いていないじゃない!」
家の扉が開く音が聞こえそんなキンキン声が聞こえた。
「なんだ?うるせぇ?な。あぁ?なんだ美紀か」
このいきなり入ってきた少女の名前は松尾 美紀(まつお みき)
まぁなんというか幼馴染である。
この春に同じ高校に入学し一緒に上京して同じアパートに住んでいる。
ちなみに201号室が美紀の部屋で202号室が俺の部屋だ。
まぁこいつは俗に言う おせっかい と言うやつだ
「”あぁ?なんだ美紀か”じゃないわよ!なんで一緒に引っ越してきたのに女の子で荷物の多い私が早く終わって、男で荷物の少ないあんたの方が終わってないのよ!」
「いやそれはお前が女の子のくせに荷物がダンボール一個しかないからだろ」
ものすごく小さい声で呟いたつもりだったのだが
「あぁ?なんか言った?」
「いえなんでもないです」
「んじゃ。始めるわよ」
「えっ手伝う気か?いいよ」
「うるさいわね早くやんないといけないでしょ。それにあんた、一人じゃなにもできないしね」
そう言いながらどんどんダンボールを開けていく。
「あぁ?いいよやんなくて。てか子供扱いすんのやめれ」
「あんたのことあんたのご両親から頼まれてんだからやらないわけにいかないでしょ」
「あぁ?そうかい。んじゃ頼むよ」
「それに早雲と一緒に居たいしね・・・」
「ん?なんか言ったか?」
「ん!?なんでもないわよ。早くやりましょ」
「うん?そうだな」
そして1時間くらいやってようやく最後のダンボールにとりかかった。
「よしこれで最後だ!」
「ふぅ?やっと終わったわね。それで最後のダンボールには何が入っているの?」
「あぁ?これだよ」
俺が取り出したのは柄がついていて、先は新聞紙にくるまれていた
「なにそれ?」
「これはな包丁だよ」
そういって俺は新聞紙をはずした。
そこに包まれていた包丁はとても手入れが行き届いていて、綺麗に光を放っていた。
「ものすごく綺麗ね」
「あぁこれはな、俺が1歳の頃に貰ったやつだ」
「なんで一歳のときに包丁なんてもらうのよ?」
「あぁそれは俺の家は料理屋をやっているだろそれで子供の頃から刃物に慣れさせるためだよ。だから俺とこいつは一心同体、てばなせないやつなんだ」
「へぇ?そうなんだ。だからそんなに手入れがされているのね」
「まぁそういうことだな」
早雲がそういうと美紀は立ち上がり
「じゃあそれで終わりみたいだから私は自分の部屋に帰るわね」
「あぁ。ありがとうな」
「えぇ。どういたしまして」
そういうと美紀は自分の部屋に帰っていった。
俺は包丁をテーブルの上に置き外を見た。
外はもう暗くなっており、時計を見ると9時を指していた。
「美紀のやつにけっこうやらしちゃったな」
そういってまた俺はテーブルの上の包丁に目をやった。
「じゃあまたよろしくな」
独り言を呟いたつもりだった。
「はい。よろしくお願いします早雲様」
「うん。よろしく。ってえぇぇ!!!!!!」
どこからともなくいきなり女の子の声がした。
「誰だ?どこにいるんだ?」
俺は周りを見回して叫んだ。
「ここですここ。早雲様」
「いやだからどこにいるんだ?」
「テーブルを見てください」
俺はテーブルを見てみたがそこには包丁があるだけである
「どこだ?」
「今見ているじゃないですか」
「まさかお前なのか?」
俺は包丁に話しかけてみた。はたから見たらものすごく異常な光景である。
「はい。そうです早雲様。今良く見えるようにしますね」
そう言うと包丁は光輝きだした。
「うぉ!まぶし」
包丁は人の形に変化し、蒼く長い髪に、大きな瞳。そしてスレンダーな体系。まぁ俗に言うこの女の子はめちゃめちゃかわいいのである。
「これからよろしくお願いしますね早雲様」
そうして包丁と俺の奇妙な生活が始まった。
九十九神1
楽しんでいただけたのなら幸いです