未知の銀河・所有者のいない惑星

 ニコル・アンダーソンがその惑星にたどり着いたのは、いまから一万年前になる。地球からの距離をコンピューターに計算させた結果そういう結果が出たので彼女はそう納得したのだ。ニコル・アンダーソンの日課は愚痴を吐く事であるそれは年下の姉妹に向けられたものである。そうはいってもニコルの姉妹たちは、そんな喧嘩にうんざりしている。考えてみればたやすいことだ、なぜ嫌悪感を抱くのか?同族嫌悪にすぎない。まあ、それは後に話す事にしよう。

 ニコル・アンダーソンの不満は一番弱くずるがしこい人間へと向けられている、つねにそうである、自分は立派な人間でそれらを他人からの評価が保障されているとしても彼女はやはり、弱くずるがしこい人間を嫌う、なぜならそれは、彼女いわく“高慢で高飛車”な性格であるからだ。人間そんなところは突き詰めれば出てくるものだ、そもそも一番偉そうなニコルがそれを言うか?と家族中の評判である。
 しかし彼女には人望がある、その星のほかの誰よりも、かといってニコル・アンダーソンにも短所がある。それは弱りやすく、いかりっぽく、疲れやすい、眠り安い、一日に10時間もの睡眠時間を必要とする、人間として彼女はいくらかの才能が欠落している。その自負はある、だが彼女は、ある惑星、小さな人間の集まりが暮すには、それでも少し広すぎるほどの、皆がてをつなげば惑星を一周できるほどの大きさの土地に移り住んだ。もう1万年前の地球はすでに滅びかけていたのだ。だから彼女は過去をふりかえらない、その代わりに、同じ顔、同じ性質をもつ、多くのニコル・アンダーソンを嫌う。

 ポットはひとつだった。ポットはロケットだった。そのポットはある技術を備えていた。ここで新しく詳しく説明する必要はない。なぜならこの星には大勢のニコル・アンダーソンがいて、その外の住人など一人もいないからだ。
 ニコル・アンダーソンは一人である、しかし彼女は一人ではない、100人は超えた。けれど序列と、それぞれにミドル・ネームをもつ。彼女の名は、ニコル・ルナ・アンダーソン。彼女はその惑星の王女である。

未知の銀河・所有者のいない惑星

未知の銀河・所有者のいない惑星

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-05-30

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