サヨナラアサヒ

死んでも

家の近くが海なので、内職に、金魚鉢に入れるような小さな石を拾っている。
観光客が来ると厄介だから、朝、涼しいうちや夕方静かになった頃に取りに行く。
砂浜を、しゃがんだままあっちにうろうろこっちにそろそろしていても、たいした小遣いにはならない。時々流木も拾う。
高校生らしい男の子たちが、時々歩いてくる。寄り添って、何か思い詰めたように何も語らず、向こうから歩いてきてあちらに去っていく。私は彼らに出来ることは何もないので、ただ、砂を掘って小石を探す。ああまた同じ彼らか。と思いながら、石や木の枝を探す。
いつもと同じ日が登り、山の向こうに沈んでいく。
彼らはあの日、あちらからあるいてきたのだが、向こうにむけて去っていく。真っ白な顔をして、肩と肩が触れあうような距離で歩いていった。遠い日が沈む日に。それきり彼らの姿を見ない。私はまた、明るくなると小さな白い石を探しに行く。

サヨナラアサヒ

サヨナラアサヒ

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-05-28

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