多久さんの事件簿【放火事件編】28

Shino Nishikawa 作

多久さんの事件簿【放火事件編】28

その日、アルプスは姿をくらました。

多久さんの事件簿【放火事件編】28
多久は、大ちゃんの夢に現れ、言った。
「また、大火事が起きました。」
大ちゃんも、体から、幽体離脱をして言った。
「僕が分かっている事は、ストリップが起きた場所で、火事が起こりやすいという事です。」

「実際に、現場に行ってみましょう。」

「ストリップと火事は関係しています。不倫が起きた場所では、首吊りですが‥。」
「そうなんですか。」
「もちろん、火事は、火の不始末が原因の場合もありますから。」

今回の大火事の現場は、ごみ置き場である。
パアア
多久は、霊能力で青白い魔法をかけた。

深夜徘徊をする一人の老人。
老人には愛している一人の若い娘がいた。
その若い娘カコは、芸能人になりたかった。
芸能人は誰でも、裏切れない老人を抱えている。
ただ、カコにはそれが分からなかった。
老人の小松に、カコは若い男と仲良くするところを見せつけた。
だから、芸能人になれなかった。

カコは犯罪を何度も起こしており、小松がそのたびに守ってきた。
「どちらが先に大罪を犯せるか、競争しない?」
カコは話を持ち掛けた。
「やめようよ。」
小松はずっと止めて、無罪を守ってきた。

小松は、愛するカコのいじめでストレスになり、深夜徘徊をするようになった。
ある日、ゴミ置き場を通りかかった時、ゴミの影に隠れる全裸の女性を見た。
全裸の女は、東京暮らしで、地方に呼ばれ、車の中でストリップさせられ、捨てられたのだ。
女は声を上げることが出来なかった。
今は冬で、夜は氷点下だ。
小松は、一度家に戻り、ゴミを捨てるふりをして、早朝に女を犯そうと考えた。
小松がその場で、声をかけ、警察を呼べばよかったのだが、小松はボケてきていた。

朝、小松がゴミ捨て場に行くと、女は息絶えていた。
小松はしばらく、ぼんやりと女の遺体を見て、警察を呼んだ。

空気が乾燥した5月、小松は、熟考してきた放火を試した。
詳しくは分からないが、虫に火薬を運ばせるやり方らしい。

放火は成功した。
しかし、成功までに、何度もの失敗があったと話している。
その日、アルプスは姿をくらました。

アルプスが姿をくらましたのを見たのは、初めてだった。
前日に、カコの過去を暴いたばかりだったので、奇妙に感じた。

カコと小松を守ってあげてほしい‥。
なぜなら、呪いを繰り返したカコがもらった魔法は、犯罪の魔法なのだから。


「虚しいですね。」
「はい。」
大ちゃんと多久は話した。

多久さんの事件簿【放火事件編】28

多久さんの事件簿【放火事件編】28

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • ミステリー
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2019-05-26

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