首鎖

二度と縛られぬようにと
一度外した黒い鎖を
首に巻いているのは何故という
素朴な疑問では真実は不明

その先へ行きたいのは
きっと光が射す青空の向こうへ行きたい理由と似ている
僕は僕だと皆自負しているが
その中できっと僕だけが
意味を成す価値のある人生を歩こうとしていた

あの瞬間 目の前で血が流れたのも
あの瞬間 目の前で何かが転げ落ちたのも
全てが終わる今日の始まりを示唆していた
あの瞬間 一生生きることは出来ないのに
あの瞬間 永遠と言う言葉を頑なに信じた
だから夏の影で影法師は静かに死んだ

二度と腐らさぬようにと
一度殺した黒い自分が
未だに生きているのは何故と言う
複雑な疑問では殺害は不可能

その前にしていたいのは
きっと明日へ行く前に今夜のうちに眠る理由と似ている
他人は他人だと皆自負しているが
その上でどうしても人間は
隣の芝生が青く見えると呟いていた

あの瞬間 目の前で血が流れたのも
あの瞬間 目の前で何かが転げ落ちたのも
全てが終わる今日の始まりを示唆していた
あの瞬間 一生生きることは出来ないのに
あの瞬間 永遠と言う言葉を頑なに信じた
だから夏の影で影法師は静かに死んだ

首鎖

首鎖

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-05-23

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