僕らはゾンビ対策官 青池穂色 γ
この話は「小説家になろう」にも載せています(2019,5,22より)
それから私は佐伯と共に殺所で働き始めた
私の働いている殺所の正式名称は『関東ゾンビ殺所場』と言うらしく、昔はゾンビの研究をする施設だったらしい。しかし設備の老化から研究所は閉鎖された。が、この牢獄部分だけは改修工事が行われ、今にいたる……とのことだ
関東ゾンビ殺所場、本館一階武器庫……
「青池さん。これを」
佐伯はそう言うと私にアタッシュケースを差し出した。なので私はそれを受け取ると佐伯に「何これ?」と聞いた。すると佐伯はこう言った
「開けてみれば分かるよ」
私はそう言われたため、アタッシュケースを近くにあった机に置き、開けようとした。しかしアタッシュケースには鍵が掛かっており、開かなかった
「これ鍵かかってない?」
私は佐伯を見るとそう言った。すると佐伯はポケットから鍵を取り出し、それを私に渡してきた
「これを」
佐伯にそう言われると、私は鍵を受け取った。そしてその鍵を使ってアタッシュケースを開けた。すると中にはサブマシンガンが入っていた
「え?」
私はそれを見るとそう言ってしまった。すると佐伯は私に「これを持って見回りとかするのよ」と言った
警視庁ゾンビ対策課はサブマシンガンどころか拳銃を撃つということすらなかった。なので青池はサブマシンガンを恐る恐る取り出した
「拳銃撃ったことあるよね?」
「えぇ、何度か……」
佐伯はの質問に私はそう返した。しかし私が拳銃を撃ったのは射撃場でのことで、実際に街中で撃ったことはなかった
「じゃあ今日は拳銃でもいいよ。サブマシンガンは色々と大変だからね」
佐伯はそう言うと私に拳銃を差し出してきた。その拳銃は警察官が使っている拳銃リボルバーとは違い、麻薬取締官や自衛隊が使う拳銃(自動拳銃)だった……
「ありがとう」
私はそう言うと拳銃を受け取った
「じゃあこれはしまうね」
佐伯はそう言うと、私は佐伯にサブマシンガンを渡した。すると佐伯はそのサブマシンガンをアタッシュケースにしまい、置いてあった場所に戻した
「それじゃあ殺所の見回りから教えるね」
佐伯はそう言うと壁に立て掛けてあったサブマシンガンを取り、部屋から出ていった……
それから数十日後、私は佐伯に仕事のやり方を教えてもらったため、簡単な仕事なら一人でも出来るようになっていた
そして佐伯は仕事のやり方以外にも、私に『ゾンビとの戦い方』も教えてくれた。なので私は佐伯にかなり感謝していた
本館一階……
「青池さん。ちょっと良い?」
そう言ったのは佐伯だった。なので私は佐伯のいる場所に急いで移動した
「何?」
私は佐伯にそう聞いた。すると佐伯はポケットから一枚の紙を取り出した。そしてその紙を私に見せてきた
「これを見て」
私はそう言われると、佐伯が持っている紙を見た。その紙には名前が書かれており、その数は十を越えていた
「これが何か?」
私は紙を見るとそう言った。すると佐伯は「よく見て!」と言った。なので私は紙を最初からじっくりと見直した。すると沢山ある名前の中に佐伯の名前があるのに気がついた。なので佐伯の名前のところを見てみると、そこには『佐伯蓮……東京本部、対策2、D班』と書かれていた
「異動になったの?」
私は佐伯にそう聞いた。すると佐伯は頷くとこう言った
「うん。実は前から対策部を希望しててね。やっと希望が通ったの」
「おめでとう。佐伯さん」
私は佐伯にそう言った。しかし佐伯は「ただ……」と言った
「ただこの異動で私は殺所を離れる。だから青池さんに紹介しておきたい人がいて……」
佐伯がそう言うと、突然私の肩が誰かに叩かれた。なので私は後ろを向くと、そこにはサブマシンガンを持っている女性がいた
「やぁ、貴方が佐伯の言ってた青池さんだね」
私は突然そう言われたものの、誰だか分からなかった。なので佐伯を見ると、佐伯はこう言った
「この人は南瀬さん。こんな感じの人だけど中等管理官だよ」
佐伯は私にそう言った。するとそれを聞いていた南瀬は佐伯に「こんな感じの人って何よ。憧れの管理官でしょ」と言いながら佐伯を肘でつついた
「ちょっと面倒なところがあるけど良い人だから、私が異動したあとは南瀬さんに色々聞いてね」
佐伯がそう言うと南瀬は「任せなさい!」と言い、自分の胸を強く叩いた。しかし強く叩きすぎたせいか、南瀬は咳き込んでいた
佐伯と出会ってからまだ一ヶ月も経っていないが、私には長くいた気がした。そしてもう少しで佐伯と一緒に仕事ができるのも終わりだった
なので私は佐伯の異動先である『東京本部、対策2』と手帳に書き込むと、南瀬に「よろしくお願いします」と言い、頭を下げた……
僕らはゾンビ対策官 青池穂色 γ
南瀬二亜 (みなせにあ)
中等管理官
武器……サブマシンガン
拳銃