いのちだけを待つ
千の罪科。僕はむしろ、希望を見出す。
明日の「おはよう」のなかに、どれだけのひとたちのいのちを覗くことになるのだろう。
きっと照れ屋ないのちもあれば、朝焼けに涙を飲むいのちもあるだろう。必然に、いのちは明日を迎える。
いのちの纏う罪科。今日の罪びとは明日の悔いびと。僕たちは何度も試す。何度でも試す。僕たちが尽きるまで。そして僕たちは明日の尽きるところをまだ知らない。
僕は「おはよう」のなかに尽きることのない明日のひとたちを守っていたい。
どんな朝焼けにも焦がれるひとたちの熱度がある。縛られた荒れ野からの咆哮を聴くだろう。僕になにができるだろうか。
僕はいのちだけを待つ。罪科を越えうるいのちを。
まもなく夜明け。
いのちだけを待つ
作者ツイッター https://twitter.com/2_vich