試練

試練

神は私に一体何をさせたいというのか。そしてどのような至練をお与えになりたいのでしょうか。
私とは一体どのような人間として生まれてきて、この世界で私には訳の分からない事をしてきたのでしょうか。
このような姿容をして生まれてきて、人間では無い私を生きるはめになってしまったのでしょうか。
私をこんな人間にしたあなたが、そんなにも悪かったというのか。
人間とは苦しみからぱっと楽しみに変わる時、人生を懐かしみ泣いて感動しなくてはならない。
世界の人々はそんなにもたやすく私をなめていいのでしょうか。
そんな人間には決してなりたくなかった。あなたは一体何を考えていたというのか。そんな、私を裏切った男がいたとは知りませんでした。
可哀想に、私は人間としてあなたにそんな罪を犯して、またひと夜に悩ませてしまったのでしょうか。
人間とは人生様々な経験をして悩んで苦しみをつき抜けてつき抜けなければいけない。
そして宇宙で初めて赤ちゃんは言葉を語るのか。
わかるそんな姿で、私は今夜も一たび化けなくてはならないのです。
あなたは人生にひとつの真理を与えて、人間の苦しみの意味をわからせた。
私は一体この夜孤独な人生の至練に耐えれるのでしょうか。
私はあなたの仕打ちにどのように耐えていかなくてはならないのか。私にはそれに答える自信がもう無いのです。
神はきっと私がこの至練を打ち克つ事ができるからお与えになったのです。私もその事はそれで、もういいのですと、にこっと微笑む。
お願いですから、人生に少しだけ苦しみの意味を、試練をお与えになる本当の目的と意味をわかりやすく伝えて下さい。なんなしにどうぞ、どうか安らかに世界で一番嬉しくときめかせて下さい。
人生の苦しみの意味がやっと何となくわかり初めたような気がしたその時、あなたがアダムとしてそこに立っていたのです。
人生でこのような至練もありなのかなと、必要以上に何気なくあなたをふっと想い返し、人としての倫理判断を正しく下した。何という愛する者を初めて知った事に気づいたのです。
人生とは今人想いに幸せのうちに死んだ方がいいのではないでしょうか。
何という喜怒哀楽の変化の高低差に、人生とは感銘の中にまた深く身を寄せて苦しみを共生して、ひとたび身をかがめて深く感じなければ、ああ人生はひとつの意味となって死んでいかなくては、ああ無情にひとつの愛が死んだというのか。
神は私にこのような至練に耐えさせるというのか。一人の人間はまた考えこまなくてはならないのです。
さあ、私は女として生まれてきて、このように愛を優美に語らなくてはならないのか。
女として生まれてきて、あなたとこんなにも凄く幸せな感情を感じれた。あなたは人生で何という美しい景色を見せてくれて、私の感情を揺さぶりこれ程までに美しく魅せてくれたのか。
あなたは私が女である幸せをこれ程までに強く感じさせた。
ああ、男の心を強く感じなければならないこの劇場は、一体誰が駒を転がしているのか私はわからなくなったのです。
私の心は人生で一体何を感じ多くの時間を費さなければならなかったのか。
私とはここまで人間の心というものを感じて想い、人間って結局生きてるんだなあと素晴らしさを教えられた。

そしてふわっと静かに死を選ぶ時が来たのです。
ああ、私は死ねるのです。あの方の元へと行く時が来たのではないかと自分の役割をふと振り返って想い初めるのです。
ああ、人間とはたかが生きて死んで何の意味なんてなかった。人生をすぐにでも死んでいたかったわ。
私自身を見つめた時に、私はすでに私ではなかったのです。
あなたはなぜにこんなにも苦しみを与えて私をお見捨てになったのでしょうか。
私をまだ人間のままでいさせて、もう少しの時間だけなのですから。
でも私はもうとっくに人間ではなかったのかもしれない。ふっとこのように私は苦しみをつき抜けた時、人間ではなくなっていったのです。
その人間の真実を知れた時にもうすでに私ではなかったのです。
私は一体この一度だけの人生はこれで良かったのでしょうか。はい、本当に幸せで良かったのだわ。

さあ、全ての苦しみを忘れる時間にしていきましょう、この世を全て忘れましょう。
何もかもそう全ては宇宙に一つだけの一つとしてない心を作り初めた。さあ、これも神様となった人間から一つの啓示を用意してくれたのでしょう。
ここに人間がいる。
それだけでいいのではないかしらと、どこまでも寛容な精神で乗り超える道が用意されて、ふと人生がたったひとつの感性に集約されていく。ああ、今までこれで良かったんだわ。
一人の人間を育てる時に、心という不思議さに、ふと人生がこの心に移ろいゆく意味を知ったのです。
神よ、きっと私だけに秘密の園を見せてくれた。私は宇宙に一つだけの一つしかない一つの移ろいゆく心というものを知ったのでしょう。
私とあなたはこんなにも美しい世界にいます。一つの心を私は生きて生きさせてこのように生きているのです。
こんな幸せな人生で明日死んでもいいとふと想えるのです。ああ、これで全てが幸せなのです。
もう何も死なんて怖くない。私の心で全てを感じ尽くして本当に良かったのではないかしら。
あなた、ありがとう。
女として人生で一つだけ、いいと想える事があったのですから。

試練

試練

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-05-21

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