神様

神様

神様は普段どのような情景を見ているのですか。こんな美しい想像をするのって本当に楽しくてわくわくするのです。不思議でミステリアスな御人ですね、あなたって本当に。
神はこの世界の人間の御姿を優しくじっと慈愛の心で見つめて、1人1人の遺伝子構造に基づいて人間が行動するその御姿がとても好きでした。人間をこよなく愛して助けたくてたまらない情熱の持ち主なのです。
神の好きなタイプの人間って一体どのような御姿で、何を思想し行動しているのでしょう。
おそらく私が見ても、この人っていいなあと思えるいい男、いい女であり、なるほど神から愛される魅力的な心と体を持っていたのです。この人生で一番に苦楽の人間の心を感じ尽くした精神の状態で、この天国の彼岸の世界を全身で表現するあなたは、神に愛されているとしか形容しようがないのです。
あなたをずっと見ていたい。もっとあなたの事を知りたいのかもしれません。
それでも私からそって逃げていきあなたは教会にこもり一人彫刻を彫り続けるのです。
人生で様々な感情を感じて何色の人間の世界があるのでしょうかと、一つ一つの色を数えてみた時、あまりにも美しく色とりどりで、人間とは単純か複雑かわからなくなってきました。
神はきっと可憐で単純なラインで飛翔させて自分の筆でキャンバスに描き、じっとその人間を観察しているに違いないのです。
ほらっ、青空の中には神が描いた絵画が浮かび上がり人類に鮮明に示されているんだから。
神はきっと明るい光の御姿で輝やく知性を持つ私を見るのが好きなのです。そしてこの私は神にミステリアスな微笑で誠心誠意に答えるのです。
神に「ねぇ、私みたいな人はお好きなのでしょう。」とチャーミングに両手を大きく広げてみせた。
もうとっくにこの世界で思想をしていない心象の中で無の生命となっていて、生きている存在には全く気づいていないのです。
私は神が愛した人間と関わるのが好きなのです。神のその静寂で無感情な表情に、私の中に全身全霊の愛を感じさせた。ああ、この遺伝子、最も神に近し人間とはそうまぎれもなくあなただったのです。
あなたの考えている事がずっと好きでした。じっとあなたの何とも高く伸び伸びとした形状の潔く高尚で気高いエレガントな身体が、私をじっと静かに見ていたのです。
あなたは私が片想いをしてしまったのに気づくのはもうそれほどに遅くはなかったのです。

神に愛された人間とは一体どんな表情をしているのですか。はたしてあなたは神に愛されているという真理を、お知りになっているのでしょうか。
神の見ている可憐な心象の世界をとうの昔から知っていたのです。
神の見ているエレガントな世界の5感情報の諸行無常に流れるゆく認識作用を感じて、ひそやかにコンタクトを取ってみるのです。
そして神に愛された驚異的な才能で教会のオルガンを弾きこなし、スコアに十字架を書きこんでいくのです。
神の愛した手をそっと優しく握りなぞっていく。その先に神が私に自分の存在を知らせようとしていたその優美な御姿は、まさにこの世とは思えない程の可憐な人間でした。その時私は何かの神の気配に気付いて、はっとして天空に心象を投げかけるのです。
神よ、あなたは私の御姿をずっと見ていてくれました。
私にはもうすでに神がそこにいることがわかっていました。
そしてそんな私の心すらもすでに初めから神にはお見通しでわかっていた。
ふわっと気持ちが明るくなって、私とした事が美しさに移ろいゆく人間の世界の中に我を忘れたのです。こんな幸せな気持ちになれるのは神のおかげかしら。それとなくさりげない呟きでそっと愛を告白します。
神はなぜそこまでこの一人の人間に興味を示すのか。この類い稀な驚異の才能を見れば、それとなくわかるような気がします。
無限に移ろう素粒子の回路が形成されたシンメトリーよ、私は神の言われた事を言われた通りに、ただこのように一生懸命に日々をこなしてきたのです。
もっと神から愛されたいが為に、言行を一致して頑張ってみせる。それが私のいじらしくて全く儚げなあなたへの愛する気持ちなのです。
神は私のこの調和した御姿のエレガントさを見て、にっこりと微笑み、何て美しいのでしょうと感嘆している。
私が持ち合わせた超対称性の物質が宇宙で唯一の存在となった姿に、神をものの見事に本気で虜にしてしまったのです。
この一人の奇跡の人間はこれから一体どこまで進化するのでしょう。
これ程までに魅力的な美しい人間だったのかと神でさえも感慨深く捉え、少しは理解できる部分はあるが、完全にはまだ理解できないでいた。
神が愛しそうな御方とは他の人間とは異なり、まさしく人間の素直な御姿をしていて、思想は純粋のエッセンスそのものだったのです。
これまで私は努力して試練を乗り越えて生きてきたのです。
この私にとって厳しい試練を与えられる意味も、神による愛の証拠だったのかしらと今ならそう思えます。神から愛された人間として、もっとこの世界で生きる事が好きになったのです。
そしてこの私が神の御姿をじっと見つめた時、神とは普通の人間ではない事を、なんとなく5感で認識する事ができたのです。

同時にぱっと一つの美しい啓示を受けたのです。ああ、なんという事なのでしょう。この私とは神と姿が一心同体のそっくりそのままの生き移した人間だったのです。
この私と神は全く同じ遺伝子を持っていたのです。ああ、私は初めて神を認識していた。
同じ神が、同じ人間の私が、じっと静寂の中で二人見つめあっているのが、何だかとても不思議だったのです。
私は人間なのでしょうか。それとも神様なのでしょうか。私は人間として生きてきたのでしょうか。それとも神様として生きてきたのでしょうか。

神様

神様

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-05-21

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