如・時処人故的世界

戦闘機が迫る
切り離される心、宙を舞う四肢(しし)
流れ出る血、錯乱(さくらん)した記号
意味は無いと叫ぶ者、文字を踏み潰した君
思い出話をしようか

時代と共に失われるものたちだった、いずれにせよ
長い時を経て確実に古く錆びて無駄な言葉に変わるもの
もう一度同じ時代を繰り返そうが再現されない程度の完成度
人を殺すか、神を殺すか、数年越しの議論、単調、滑稽(こっけい)
どうでもいいね

切り刻まれた感情が君に影を落とす
目覚めたのは獅子(しし)か?大地を貪る大鷲(おおわし)か?サイケを彩る巨象(きょぞう)か?
小さな花、摘み取る、また振り出しへ
砂まみれの背骨、折れる頃にはまた風が吹く
溶融、腐った扉

機関車、時代の残滓(ざんし)
最後に残ったのは幻影、発明家、何を守った?
木々たちの調べと同調する歯車、燃える星、白い犬
行方不明を探る手、性的衝動に巣を作る蜘蛛
人喰い草に牙を向けられていることも知らずに

解像度だけが問題だった美しい人形、拾われた愛情
必ず裏を見せるコイン、誰も知らない解、責任の処遇
情景の(とぼ)しい夢、涙の味は悪魔の舌より苦く
祭壇(さいだん)に語る君、音色を失う
ひまわり色の夜景

停滞にはもう飽きた
宇宙色の模様だけが生命(いのち)を占う
疾患にはあの孤独の蜜が効くと無色のカメレオンの噂話
誰もがその時を待っていた自分の向かう方角すらも忘れて
歌を、また今日も

後悔すら遠い記憶で太陽が海が全てを舐め回す
銃弾が君の心臓を貫いてケタケタと笑う未来はそこには無いのに
黒い絨毯(じゅうたん)を破いた熊が時計の全ての目盛りにキスをする
明日はないよその足元ごらん砂が金を(よそお)い派手に弾けて
また泣いている砕けた針金をかき集める死者の群れ空虚な怠惰(たいだ)

ヒトデの口から吐き出される攻撃的なイデオロギー通りを歩く馬
PTSDを配ろうあなたにはとっておきのサービスを添えて
身震いする廃墟の亡霊にはお似合いの天気模様
数列の遊び、不可侵を呪う
(ささや)き、崩壊

石板から伝う光、水の底に堕ちた文明
ハッキングされた脳、それは重要視されずに
遺伝子の洗剤、子供を食べる子供
誰もいないかくれんぼ、さあ逃げろ
洪水した世界、永遠のGPS、疑問符、未完成、君の存在

如・時処人故的世界

如・時処人故的世界

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-05-19

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted