約束だよ、・・・。

maoria 作

  1. 1.シャン・オーウィルの世界
  2. 2.町で噂の怖い男
  3. 3.その名もジャスティス

主な登場人物
シャン・オーウィル・・・6才の目の見えない孤児院にいる男の子。海が好き。
トム先生・・・シャンの親代わりとなった孤児院の先生。
カレン先生・・・トムと同じ孤児院の先生。
マイケル校長・・・孤児院の校長、トムのことをよく知っている。
ジャスティー・キル・・・恐ろしいといわれている強盗犯。
シャーロン刑事 ・・・ジャスティーを追う刑事。

1.シャン・オーウィルの世界

“目に見えるものが全ての答えではない”と誰かが言った。
真実はいつも見えているのが当たり前の世界という人もいるけど・・・でも、彼には見ることができない。
シャンから見える世界はいつも不思議だった。手で触って、頭の中で想像する。耳で聞いて想像する。
そう、彼は目が見えない。触って、聞いて、感じ取ることで想像を働かせる。
ざぁぁぁぁっいう音が近くで聞こえてくる。
「これが海よ」
「海?」
「そう、今あなたたちの目の前には海があるって想像してみて。シャンはこっちに来て」
優しい声、女の先生はシャンの手を握って少し歩かせ座らせる、何か冷たいものを触らせている。桶に入った冷たい水を触らせていることくらい、シャンにはわかっていた。他の子たちはテレビに映る海を見ながらただ黙っている。
「海って何色なの?」
「青よ。水よりも深い色で、大きな湖みたいなものね。後、ちょっと味もするのよ。塩っぽいね」
「塩?僕、塩は苦手だな」
シャンはしょっぱいものが苦手だった。
「ところで先生、僕のお母さんとお父さんは?」
「残念だけど、たぶんもう見つからないわ」
「そうなんだ」
捨てられたというよりはこの孤児院の前に彼がいたのだ。トムがあの日の夜、見つけて親代わりになったのだ。
あの日は酷く雨が降っていた。

***

五年前のこと、その日はこの町で珍しくひどい雨だった。こんなにたくさんの雨では川ができてしまうかもというくらいで、家から出る人はいなかった。いつも通り、孤児院の戸締り確認をしていたトムは、出入り口のドアを確認しに来た時だった。
赤ん坊のうめき声が聞こえた気がした。
いや、気のせいだろう。最近、疲れているから幻聴も聞こえるのか。ドアの部分を懐中電灯で照らしながら右手で、カギが閉まっているか確認する。その時、「おぎゃ、おぎゃ」また同じような声が聞こえた。しかも、今度ははっきりと聞こえた。
トムは閉まっていたカギを開けてドアを内側にひく。外は本当にひどい雨で、少し寒いし風邪をひいてもおかしくない。
足元を見ると、ゆりかごのようなかごが置いてあり、何かが動いている。そっと、しゃがんでは中を覗いてみると赤ん坊がそこにはいた。幸い、体が濡れてなかったのはこの玄関入り口にちょっとした屋根があったからだ。
「どうして、こんなところに子供が・・・」トムはゆりかごごと抱き上げると、孤児院の中に戻る。
カギをしっかりかけると、ゆりかごを自分の部屋までもっていくことにした。
二階の先生達の寝ている部屋の一番端っこ、それがトムの部屋だった。子供たちは一階の子供部屋というところで寝かせている。
ゆりかごを地面に置いて、赤ん坊だけを抱き上げる。きれいな海ような色をした目、こっちを見て不思議な顔をしている。
赤ん坊を自分のベッドに赤ん坊を移した後、ゆりかごの中をもう一度見ると、手紙が入っていた。
手紙は汚れているが文字は読める程度だ。
”すまない、彼の事を頼む。俺はいつもお前に迷惑をかけているけれど、今回ばかりはお前しかいないってそう思ったんだ。
俺には事情があってその子はあずかれない、だからお前に頼んだ。トム、お前が一番頼れる親友だ。
名前はシャン・オーウィルっていうんだ。こいつには親はいない、捨てられたとそう伝えてくれ ”
そこで手紙は終わっていた。名前も書いていないその手紙、でもトムには誰からの手紙かすぐに分かった。
「あいつ、いつも困ったことがあると俺のとこに来てたな」
ふぅーっとため息をつくと、眠っている赤ん坊を見つめる。
「シャン・オーウィルか、海みたいな名前だな」

その次の日、先生たちは会議室に集まって、昨夜の話をトムはした。もちろん、全員が驚いた顔をしている。
「その子を預かるのは構わないけど・・・きっと、盗まれた子なんじゃない?」
「そんなことないです。あいつはそんなことしません」
「親友だからってかばっているんじゃないの?でも、可哀そうな子」
「健康状態はどうなの?」
「それが、体は多分大丈夫だと今朝早く医者に診てもらったんだけど・・・どうも、目が見えないみたいなんだ」
そこで皆は黙って下を向いた。何と言っていいのかわからない。初めてのことだからだ。
ここにいる子供たちとは違った子、シャンは目が見えない子だった。
「僕たちが親代わりになるんだ」
トムはその日からシャンにいろいろ、文字や食べること全てを教えていくことにした。
そして、他の子たちも話を聞いてシャンを助けた。そう、ここにいる子共も元は虐待や世話ができないといって集められてきた子達だ。
時には引き取りたいといって養子になった子も数人いる。
その間でシャンの元の親も探してみたが手掛かりはなかった。情報もないのでシャンには5歳くらいになった時、捨てられたということを伝えた。
シャンは全く泣いたりもせず、代わりにこう笑顔で答えた。
「トム先生が僕のお父さんだね。じゃあお母さんと言えばカレン先生だね。ここは大きな家族」
両手を広げて笑っていた。
カレンとは、トムと同期に入ってきた先生でこの孤児院では若くて独身、あとは皆家庭持ちの先生ばかりだ。
そうやって、シャンは無事に6歳になった。誕生日はわからないから彼が来たあの日、5月29日を誕生日ということにした。

***

「シャン、一緒に絵を描こうよ」
同じ年の女の子が声をかけてきた。
「僕ともおもちゃ遊びしてくれる?」
一つ下の男の子もシャンのところに来る。彼は人気者だ。
前に初めて友達ができて、4歳の時、シェンが誘われてどっちと遊ぶのかちょっとした口喧嘩にもなった。カレン先生が喧嘩を止めようとしたその時、シェンは喧嘩している子二人の手を握って、「それじゃあみんなで遊ぼうよ。絵もおもちゃも一緒にやろう」と言って、喧嘩はすぐにやんだ。
その事をトムに話すと「優しい子なんだね」と言っていた。それ以降、喧嘩は全くなかった。
こんなに優しい子、誰が捨てたのだというのか。あの手紙を書いた人から連絡は取れてない。
トムは誰だかわかっていた。同期のカレン先生には、おそらく昔の親友からだろうと話しておいた。
その親友、根はいいやつなんだけど、困ったことがあるといつも押しかけてトムのところに来るという。
この孤児院でトムも育ち、その子も一緒に育ったという。カレンとしてはそんな話は初めてだと言った。
カレンは同期だけれど、彼女は孤児院で育ったわけではない。いわば、外から来た女性で昔務めていた会社がつぶれて、資格を取って入ったのだ。その時トムも同じころに入っていたのだ。トムの場合は一度孤児院から引き取られたんだけど、大人になってから戻ってきたのだ。この孤児院に努めたいと思ったからだ。
「そいつとシャンがきっと、家族関係にあるんだと僕は思うんだ」
「シャンには言わなくていいの?」
「いや、確信はない。それとここの子達と違う、事情で集められたここの子供たちは家族がいる。でも、シャンだけはちがうんだ。できれば、理由をあいつから知りたい」
「そうね。彼がどうしているか分かればいいのにね。そうしたら目の見えないことも話さなくちゃ。そういえばね、前に手術の話をしてみたの。家族が見つかったらきっと、会いたいって思うでしょ」
一度だけ、シャンに目が見えるようになる手術があること、もう少しだけ大きくなったら受けてみないかと誘った。
親の顔を見てみたいと思うだろうと考えていたが、シャンはそういう風には言わなかった。
「僕のお母さんとお父さんはここの先生だよ。僕は海が見えたらいいな」
「捨てられたって聞いた時のこと、受け入れているのかな。言わなきゃ良かったな」
そう話していると、先ほどの女の子と男の子が職員室に入ってきた。
「先生、見てみて。シャンの絵、すごくきれいなの」
渡された画用紙を広げてみると、紙いっぱいに青と深い色の青、魚のような形をした生き物が泳いでいる。
「シャンは絵が上手ね、海の中の絵を描いたのね」
「あの子がしゃべれる年になった時、名前が海みたいだねって言ったら“海の話して“と言ってさ、喜んでいたなぁ」
「シャンは他にも絵を描いたんだ。こっちも見てよ」
二人の子は大はしゃぎしながら見せ合いっこしている。
シャンが来てから、この孤児院は何となく明るくなった気がするのだ。先生達も不思議と彼といると安心する気持ちになった。
実をいうと彼が来る前まではこんなに明るくしゃべる子たちはいなかった。
みんな何かと距離というのがあった気がしたのだ。
「シャンの親ってどんな人だったのかしらね」
「優しい子なんだからきっと、そういう人だと思うよ」
職員室にシャンも入ってきた。他の子が彼の手を引いて、先生たちのところに来る。
「先生の絵も描いてあげるね」
シャンはクレヨンで画用紙に絵を描いていく。友達が肌色を渡している。他の子はこの色の説明をしている。
数分後、その職員室に他にも子供たちが集まってきた。みんな床に座って絵が完成するのを待っていた。
「シャンは魔法使いみたいだ」
耳で声をきいて、時折先生の顔を触っている。
にっこり笑うその先生たちの笑顔は、彼には見えないけれど絵の中の先生は笑っていた。

2.町で噂の怖い男

普段は賑やかなでも夜は静かになるこの町、路地裏で男は息を切らしていた。
近くでは数人の男たちが走り回っては、誰かを探している。
「おい、そっちへ逃げたぞ」
「くそっ。あいつ、どこ行ったんだ?」
警察官5人はある男を追っていた。その男は隣の町から逃げてきた強盗犯で、隣町で留守中を狙って強盗に入り、お金を奪った。
しかもたった一軒だけではなく10件近くはやっているという。
名をジャスティー・キル、彼は40代くらいで焦げ茶色の革ジャンに帽子をかぶっていて、ジーパンをはいている。
ここまで特徴も上がっているのに手口が手馴れていて、捕まえることができなかった。
「シャーロンさん、本当にあいつがやったんですか。例のあの事件・・・」
警察官の中に一人、50代くらいのスーツを着た刑事シャーロンがむっとした顔で煙草に火をつけた。
「俺は絶対そう思うんだ。指紋も残っているし、部屋にはあいつの写真もあった。他に思い当たる星はいない」
「でも、それだったら今までの強盗事件では人は殺してないですよね」
「あいつはそういう奴かもしれん。関係ない人は殺さない。金は多分生活のために使っているんだ。そのうち、尽きてくるころだろう」
「じゃあ、またこの町でも被害が起きますね」
「その前には絶対捕まえてやる」
吸った煙草を携帯用灰皿にしまうと、また走り出した。数分後、その男ジャスティー・キルはそっと路地から顔を出して、ため息をついていた。
壁に沿ってしゃがみこんでいる。
「まったく、ここには来るつもりなかったんだけどな」
胸ポケットからしわしわの写真を広げて、じっくりと眺めている。写っているのは10歳くらいの二人の男の子、施設のような建物がぼんやりと後ろに立っているが、はっきりとはわからない。
写真の中の男の子はとても仲がよさそうに肩を組んで、笑顔で写っている。
「トム、俺とんでもないことしちまった。お前は今の俺を見たらきっと、驚くだろうな」
写真を胸ポケットにしまうと同時に雨が降ってきた。

***

「ねぇ、聞いた?この町に強盗犯が逃げてきたらしいわよ」
昼の12時ごろ、町のスーパー近くでしゃべっている3人のおばあちゃん達はあたりをキョロキョロしていた。
「え、あの隣町の事件の強盗犯?怖いわね、プロだって噂でしょ」
「怖いわよね。うちの家は平気かしら?防犯カメラ付けなきゃ」
「指名手配はもう少ししたら紙が張り出されるそうよ」
スーパーの中ではカレンが買い物をしていた。今日のご飯の材料を探しては考え込んでいた。もちろん、先ほどの話し声も少しだけ聞き取れた。
不安な顔で、ひき肉をかごに入れていく。今日のメニューはハンバーグみたいだ。その近くをむっとした顔の男性が通り過ぎていった。

(ジャスティーがこの町に来ている⁉そんなはずはない)
12時頃、お昼の職員会議をしながら先生たちは昼食を取っていた。
ついさっき、ジャスティーという男が指名手配されたというニュースが流れて、皆は大騒ぎだった。
トムは信じられなかった。確かにあいつは、ちょっと昔からいたずらっこみたいなところがあったけれど・・・犯罪をするようなやつではない。
顔写真も上がっているが、トムの知っているジャスティーと違っているような気もする。
「ジャスティーは確かトム先生と孤児院(ここ)にいたんですよね?私たちは派遣されてきたから知らないけど、校長、どう思います?」
ここの先生たちの中では一番年上で、トムとジャスティーの子供の頃を知っている先生は校長のマイケルだけだった。
それ以外の先生は、退職したり、転職とさまざまな理由で辞めて行って、トム先生や派遣の先生、新人の何人、食堂のスタッフ数人だけがいる。
「わたしが覚えている限り、彼はそういう子ではない。ちょっといたずらっこみたいなところはあったし、やんちゃでしたが・・・。同姓同名ってことはないでしょうか?」
「でも、なかなか聞かない名前ですし・・・。もしかしたら過去に何かあったのかも。何歳までここにいたんですか?」
「確か・・・10歳で引き取られた。その夫婦はジャスティーの親戚で、幸せに暮らしているっていう手紙はもらった記憶があったなぁ。トム、彼とはもう連絡は取っていないのかい?」
一番仲良しだったのはトムだった。なんでも、公園に皆で遠足へ行った時、孤児院とは関係のない外の子にいじめられていたトムや他の子を助けたのが、ジャスティーだったという。そこから二人の友情は生まれた。
「僕が孤児院(ここ)をでる13歳まで連絡はとっていたけど、それからはとってない。僕も引き取られてから住所かわったこと教えてなかったし。でも、あいつはそんな奴じゃないんです。何か理由があるはず・・・」
それにシャンのことも引っかかっている。あの手紙は間違いなくジャスティーが書いたもので間違いはない。
そのことはカレン先生以外知らなかった。
「トム、あなたならどうします?」
校長は紅茶のティーカップを口に運んで一口飲むと、息を吐いた。
「彼に会いたい。会って聞き出せないかな・・・ところで、警察官はここには来るんでしょうか?ジャスティーは孤児だったという記録を知ったら何か聞きに来るはずだ」
「明日、来るそうですよ。シャーロンという名前だったかな。電話で昨日話しました。わたしは彼のことは悪い人だと思ってないですが嘘をつくわけにはいきません。トム、あなたが一番大変かもしれませんが・・・」
「わかりました」
チャイムが鳴って昼食の時間が終わると、子供の遊び時間になった。
「あと、子供達にはなるべく話さないように。明日刑事さんたちがきたら、見回りのお巡りさんという風に言っておきましょう。まだ、こういうことは理解するには早すぎる」
校長の最後の言葉を聞くと、先生たちは苦い顔をしながら食堂から出ていった。


その夜、孤児院は静まり返っていた。子供達は眠り、先生たちの見回りも終わって眠り始めたころのこと。
校庭の隅に立っている倉庫の裏から何か物音がしている。
金網をペンチで広げている男がいた。
「なんだ、ここは昔のままじゃないか。今夜だけ寝かせてもらうぜ」
ジャスティーは自分が通れるサイズまで広げると、そこから中に入った。
この金網の穴、実をいうと先生達も知らないジャスティーとトムだけが知っている秘密の抜け穴だった。子供の頃に外に行きたくてジャスティーが作ったのだ。結局は先生達に捕まってしまったけれど、嘘をうまくついたのだ。
「全然変わってないな。防犯のカメラもない、まぁそんなに広くないしな」
校庭を見回しながら、どこか懐かしい気分になっていた。歩いていると、ポツンポツンと頭に雫があたった。その雫はどんどん増えていき、とうとう雨になった。
「ちぇっ、なんだよ。構内に入るつもりはなかったんだけどよ」
走りながら一番近くの入り口から中に入った。廊下を歩くと足元には黄色点字ブロック音があった。昔はこういうのもなかったなぁ、きっと設備良くしたんだろう。あまり立てないようにそっと歩きながら、多目的室まできた。
本棚には年代に分かれた本、椅子が何個かあり、小さい子供が遊ぶ道具箱が置いてあった。
そして、壁にはかわいらしい絵が描かれており、シャンのためにつけられた手すりがついている。
「ここで止むまで待つとするか」
床に足を広げて座ると、ため息が出た。数分間、天井を見ていると後ろの方から音が聞こえてきた。
「ねぇ、誰かそこにいるの?」
声の方にジャスティーは振り返ると、6歳くらいの少年が手すりに掴まってそこにいた。
こっちを見ているようにも見えるが・・・どうもキョロキョロとしているようだ。
「僕、トイレから帰ろうとしていたんだ。そうしたら、音が聞こえてね、ここに来たんだ」
少年は手すりを頼りに壁際を歩いている。
その少年はシャンだった。シャンは目が見えないが、その代わりに耳がものすごく敏感だった。
(こいつ、目が見えないのか。ふぅー、危なかったぜ)
もし、目が見えていたら知らないおじさんがここにいると先生達に伝わってしまう。
「お前さん、目が見えないのか?」
「そうだよ、でも、耳はいいんだ。あと、鼻もね。おじさんは、どこから来たの?」
聞き覚えのない声だと思ったのだろう、でも怖がったり警戒はしていなかった。
「おじさんは外から来た。ちょっと雨宿りにな。雨が止んだらすぐに出ていくよ」
「そうなんだ。濡れちゃったら風邪をひいちゃうからね」
シャンはジャスティーのことが分からないけど、悪い人ではないということだけはわかった。
ジャスティーも自分が孤児だったのでここの子供を襲うようなことは考えなかった。
「自己紹介してなかったね。僕ね、シャンっていうの。シャン・オーウィルっていう名前なんだ。おじさんはなんていうの?」
「俺か?俺は…」
そこで一瞬黙ってしまった。本当の名前を言ってしまったら、何かの形でバレてしまった時に警察に捕まる。トムにも迷惑はかけたくなかった。
「どうしたの?名前、忘れちゃったの?」
こっちの方までシャンが歩いてくる、手すりから手が離れてゆっくりとした足取りで声を頼りに近くまで来た。
少し考えてからジャスティーはこう答えることにした。
「ジャスティスだ。そう呼ばれていた」
ジャスティーは昔、いじめっこからみんなを救った時につけられたあだ名を思い出した。
「ジャスティス?それじゃあ、おじさんの仕事は正義のミカタなんだね。すごいなぁ」
「どうかな、正義のミカタなんて名前、綺麗ごとだよ」
こんな自分の状況、誰がどう見ても正義のミカタではない。泥棒、犯罪者、クズな奴だといわれてもおかしくない。
「他の人にとって正義のミカタじゃなくても、誰かにとっては正義なんだよ」
「詩人みたいだな。お前さん、面白い奴だ」
遠くの方で何か音が聞こえ、立ち上がる。
「あ、誰か来る」
「ゆっくりしていられないな。ここを出るぜ、ちょっと雨もおさまったしな。俺と会ったこと内緒にしとけよ」
床から数センチ上の窓の近くまで来て開ける、丁度ジャスティーが通れる大人サイズだ。
「もう行っちゃうの?また、会いたいな」
「あぁ、そのうちな」
ジャスティーは窓から出てそっと閉めると、止みそうになってきた雨の中倉庫の穴まで走っていった。
歩いてくる音が多目的室まで来るとドアが開く。トム先生だ。
「なんだ、一階から音が薄っすら聞こえて来てみたらシャンじゃないか。どうしたんだ?誰かもう一人いたようにも見えるが・・・」
薄明りだが、多目的室の床には濡れた後が残っているのが見えた。ジャスティーは土足でここまで歩いたから、床のことなど気にもしなかった。
「何でもないよ。友達ができたんだ」
「友達?」
「うん、先生には秘密の友達」
そう言うと、シャンは手探りでトムのところまで来ると“もう寝ようよ”という風に手を引っ張った。
(あいつ、どこで何してるんだろうな)
ジャスティーが出ていった窓の外を眺めながら、トムとシャンは多目的室を出ていった。

3.その名もジャスティス

翌日、孤児院の朝は大忙しだった。それは刑事がここにきて、話をすることになっていたからだ。
子供達には見回りの警察官ということを説明しておいて、カレン先生と他の先生が誰も外へ行かせないように見張っていることになった。
一番大変なのは校長とトム、二人は唯一のジャスティーのことを知っているから他の先生よりも気持ちが落ち着かなかった。
約束の時間は12時半だ。
「カレン先生、今日はお外で遊べないの?天気もいいのに?」
「ごめんねルーシー、見回りのお巡りさんが来るのよ。最近は物騒だからね。あ、部屋から出るときは私に言ってね」
仕方なく皆は、本を読んだり、おもちゃで遊んだり、絵を描いたり、退屈すぎて寝ていたりと部屋の中でできることをしていた。
シャンは仲のいい男の子たちと本を読んでいる。シャン用に取り寄せた点字の絵本を呼んでいた。

12時半になると、校長室に向かう5人の男たちがいた。
相変わらずのむっとした顔をしているシャーロン刑事と他の刑事たちは、孤児院をじっくりと眺めながら廊下を歩いている。
校長室に着くとドアをノックした。
「はい、どうぞ」
「失礼いたします」
ドアが開いてシャーロン刑事達が入ってくる。校長室にはトムと校長の二人がいて、あとの先生は自分の仕事場だった。
「あなたがトム先生ですね?」
「はい、私はトム・ブラウンと言います」
「ブラウンさん、単刀直入に言いますが、ジャスティーのとはどういう関係ですか?」
一番聞かれると、正直に答えづらい質問が来た。ある程度はこの刑事も調べてはいるはずだ。
トムとジャスティーが友達で仲が良かったことぐらいわかっている。嘘をつくかどうか、試しているのだろうか。
「僕と彼は兄弟みたいに仲のいい関係でした」嘘をついてもしょうがない、あとから何か突かれたくはないのでここは正直が一番だと思った。
「ジャスティーのことは少し調べました。この孤児院で育ち、トムと仲が良かったということ。ジャスティーを引き取った彼の親戚からある程度は聞きました。彼は今おそらくこの町にいます。指名手配されているのを知っていますね。ここでの彼の様子・・・話していただけますか、彼がどんな人間だったかを」
大きく深呼吸をして、唾を飲み込んだ。マイケル校長はトムを見て頷く。
「ジャスティーは僕が来る前からここにいました。彼の元の両親は彼を可愛がっていませんでした。三人兄弟の中で末っ子の彼の家は学校の先生だったかな。後継ぎが必要だとか。でも、末っ子のジャスティーは二人と違って勉強があまりできなかったみたいで。だから、末っ子のことはいない二人の兄弟だけだって世間に言っていました。この話は彼から直接聞いたんです。仲が良くなってからお前だけに教えてやるって言われたのを覚えています」
「確か彼は家出をして、ここ孤児院に来たと聞きましたが・・・」
「それは私から話そう。トム、君には言わなかったけど、彼を拾ったのは私なんだよ。あの雨がすごく降った日、彼はね公園のベンチにいたんじゃ。
私が出張から孤児院に帰る途中、止まっているタクシーの中から外を眺めているときに見つけた」
マイケルは話を続けていく。タクシーを一旦降りて、公園の中まで走っていく。ちょっとした屋根があるベンチだったおかげで濡れていなかった。でも、体が震えていたという。事情は聴かず、そのまま連れて帰ることにした。
後になって彼から聞いた言葉は「家出しました」その一言だけだった。
「あんな家にずっといるのが苦痛だったから家出をしたっておかしくない。だから、両親と話してジャスティーを孤児院に移すことを話したら、なんとまああっさりと返事を返してきたんだよ。当時の私は怒って窓を壊した記憶がある。彼はねここに来た最初はあんまり友達も作らなかったんじゃ。むしろ警戒心の強い猫みたいじゃ」
「なるほど。では、ブラウンさんとはどうやって仲良くなったのでしょうか?」
トムは目を閉じて、一息ついては目を開ける。そしてジャスティーとの過去のことを話し出した。

***

「ジャスティー、ここでの暮らしはもうなれたかな?」
マイケル校長は木の下に体育座りしている少年に声をかけた。
「・・・あそこにいるよりはまし」
会話は全然続かず、いつもこういう調子ばかりだ。それでも、出会った時よりは全然、話すようになった。
その当時、ジャスティーは8歳くらいである。
「マイケル校長、ちょっといいですか?ジャスティー、調子どう?」
「まあまあかな」
男の先生がこちらに向かって走ってきた。この孤児院で一番偉い先生だ。
「じゃあ、またね」
二人は職員室に向かいながら先生は話し出す。
「あの子のことかな?トムだったかな。体調はどうかね?」
「元気にはなりましたよ。でも、どうかしてますよ、車の中に置いていくなんて」
ぶつぶつと文句を言いながら、頭をくしゃくしゃにかいている。
6日前に散歩途中の犬が何かを察知して、スーパーの近くの黒い車まで飼い主を引っ張ったあと、怒鳴るように吠えたという。
7月中旬で気温も少し熱い中、車の中には男の子が眠っていたのだという。歳は6,7歳くらいでよく見ると少し苦しそうだったのだ。
大急ぎで救急車を呼んだおかげで何とか助かった。ちょっとした熱中症になってしまったみたいだったのだ。
彼の名前はトム・ブラウン、親には連絡したのだが全くつかなかったのだ。それでこの孤児院に親と連絡がつくまで預かったという。
結局、連絡がついたのは3日前で親の元に帰そうとしたがトムが嫌がったのだ。
「僕は何回置き去りにされるの?」その顔は泣いていたという。
どうやら車の中の置き去りはこれが初めてではなかったみたいだ。
それで話をつけたところ、孤児院に来ることになった。
トムは外には出ず、部屋の中で遊んでいた。
「トム、元気かな?」
「校長先生、こんにちは。とても元気です」
丁寧な挨拶を返すと友達のところへ遊びいくと、ジャスティーに声をかけた。トムとの歳の差はジャスティーの方が二つくらいは年上である。
「ねぇ、鬼ごっこしようよ」
「俺は今そんな気分じゃない」
トムはこの日からずっとジャスティーに声をかけては遊びに誘っていた。でも、だいたい断られてしまう。
そうして、8月がきて遠足の日が来た。赤ん坊くらいの子たちは孤児院で留守番をして、6歳くらいから上の年の子は近くの公園へと先生達と出かける。
この町で一番大きな公園では他の子供たちも遊んでいて、先生達も行きなれていた。
狭い校庭から広い公園で遊べるのを楽しみにしていたかのようにみんなは、はしゃいでいた。
トムは友達と鬼ごっこをしていると、一人の男の子が大きな(12歳くらい)の子にぶつかってしまった。
「おい、前見て走れよチビ」
「ご、ごめんなさい」
声が震えて大きく出すことができなかった。トムの友達の中では一番背の低い男の子だ。
「聞こえないな?俺、ちゃんと耳あるからもっと大きな声で言えよ」
他の大きな子達も集まってきて、囲まれてしまった。トムと他の子はその子のところまで来ると頭を下げた。
「ごめんなさい、これからは気を付けます」
「お前には聞いてないんだよ、邪魔すんなよ」
片手で投げ飛ばすかのように押される。
「そんなやり方ないだろう」
トムもやり返したが力では彼らの方が上だった。トムの友達の一人は怖くなって走って先生を呼びに行く。
「生意気だな」
今度はグーの手で軽く同じようにナゲット飛ばすように押そうとしたとき、誰かの体がトムの前に来て体で受け止めた。
「もういいだろ。大事起こすなよ」
「なんだよ、てめぇ」
ジャスティーは相手の顔に勢いよく殴ってみせる。大きな男の子は顔を殴られて痛そうにしている。その子はしゃがんで大泣きしてしまった。
「やられたら、返すのが普通だから。さ、帰ろうぜ」
トムたちは殴られた子をチラッと見ながら「大丈夫かな」そう言った。
「手を出したのはあっちだろ」
後になってジャスティーがやったことはすぐに先生たちに知れ渡り、その子の親に謝った。
ジャスティーは先生から一週間の廊下とトイレ掃除しなくてはならなくなった。それでも本人はすっきりしていた。
トムは正直に「ジャスティーは悪くない、助けてくれたんだ」ということを伝えると、掃除当番は三日間だけということになった。
そして、彼はその一番小さい子から「ありがとう、ジャスティス」と呼ばれるようになって、皆で掃除を手伝ったという。
「ジャスティス?俺は正義じゃない」
「でも、僕たちあのままだったらぼこぼこにされていたよ」
「そうだ、ジャスティーはヒーローだ」
そのあだ名をつけられてから彼はもっと前よりも友達と遊ぶようになり、中でもトムとはとても仲良くなったのだ。

***

「10歳になったあいつが引き取られる話が舞い込んできたとき、僕たちも寂しくなりましたよ」
ジャスティーの親戚が元の母親の家に来ていた時にジャスティーの話を聞いて、「あんたそれでも親なの」って言うと自分が引き取ると言い出したのだ。
元々、子供ができない夫婦だったからジャスティーが来た時、とても可愛がられたとトムとの手紙に書いてあった。
「僕もその後には、元の母親に引き取られました。もう一度、やり直さないかって。それから今までちゃんと育ててもらいました。これで全部です。
でも、ジャスティーが強盗なんて信じられません」
「子供の頃と大人になってからでは環境によって何かが変わります。昔はいい男の子でも、強盗犯になってしまった事実は変らない。
詳しい話、ありがとうございます。さて、私達は帰りましょう。また何かあったら連絡してください」
シャーロン刑事から名刺をもらうと頭をお互いに下げて、警察官たちは校長室から出ていった。

「あの事件のことは話さなくていいんですか?」
「今の話を聞いていたが、人を殺すようなやつではないが・・・もう少し調べてみる必要があるな」
シャーロン刑事たちが孤児院の玄関まで歩いてくるとマイケル校長に別れの挨拶をする。
丁度、シャンがトイレに行こうとカレン先生に手をつないでもらって部屋から出るのが見えた。
「カレン先生、知らない人の臭いがするよ」
鼻も敏感なシャンはシャーロン刑事の香水の匂いに気がついた。
「ああ、お巡りさんよ。今から帰るみたい、手を振りましょ」
カレン先生は繋いでいない方の手を持って、しゃがむとシャーロン刑事の方に手を振るようにすると、そのように動かす。
警察官の何人かが降り返してもシャンにはわからず、手をずっと降っていた。
「あの子は?」
「あぁシャンですか。彼は目が見えないんですよ」
「そうですか。・・・差し支えなければですが、シャンの名前は何というのですか?」
「シャン・オーウィルです」
「シャン・オーウィル・・・」
「シャーロン刑事、オーウィルってもしかして」
「この話はまとまってからにしよう。では、マイケルさん」
シャーロン刑事たちは帰っていくと、マイケル校長は校長室に戻っていく。
カレン先生とシャンは、そのままトイレに向かうことにした。


孤児院に警察官が来た日から一週間が経つと、空き家の倉庫でラジオを聞いていたジャスティー。
指名手配されてしまって、刑事たちは孤児院に行ったと思う。
「トム、俺のことなんて話したかな。あいつ、正直者だから嘘とかつかなかったんだろうな」
天井を見上げると、木でできた倉庫なので板の色合いが腐っていた。
「出会った時は俺が助ける側で、引き取られてからあいつを頼るようになった。親戚だから不安だったし、頭もいいわけでもなく、何のとりえもないから受け入れてくれるだろうかも不安だった。手紙にその事書いたら、あいつは俺のところに行くって言ってたっけなぁ」
ラジオのニュースではジャスティーの特徴が事細かく前よりも明らかになっていた。
この町にも長くはいられない、これからどうしたらいいのか、あまり動き回ることはできなかった。
ふと、あの孤児院で出会った少年のシャンを思い出した。
自分にまた会いたいって言っていたけれど、もう自分のことが知られているかもしれなかった。もし行くなら、孤児院へ夜の時間しかない。
時計を見ると夕方の5時を回っていた。自分自身としても彼には会いたいと思った。
「約束したわけじゃないが、会いにいこう」
ラジオの電源を切って、立ち上がりドアをそっと開ける。
隙間から警察官や他の人がいないかを確認して、マスクをすると咳き込む真似をしながらその場から走っていった。
このマスクで一時しのぎ程度にしかならないがないよりはましだった。

夜の11時頃、消灯時間の8時は過ぎていて先生達も眠っていたが、交代で見回りをすることにしていた。
ジャスティーのことを信じてはいるが万が一何かあってはと思い、マイケル校長が一時半交代で見回りをする事にしたのだ。
ジャスティーはあの時と同じように倉庫の裏にある金網から入ると、忍び足で校庭を横切る。
子供たちが寝ている教室に来て、窓からそっと覗くと窓側近くにシャンは眠っていた。
そっと窓をトントンと、叩いてシャンを起こそうとする。
すると、目をゆっくり開けてキョロキョロとしている。もう少し大きめの音で他の子供を起こさないように軽く叩いた。
体をベッドから起こすと、窓の方を向きそのままベッドから降りて向かう。鍵のあたりを手探りで探して、開けてみるとジャスティーは声をかけた。
「俺のこと覚えているか?」
顔を両手で触ってからはっという口の形をした。
「ジャスティスのおじさん」
「そうだ、覚えていてくれたんだな」
この様子だとまだジャスティーのことはどうやらバレてはいないようだった。
「僕、聞いたことがある声はちゃんと覚えているんだ。中に入らないの?」
「今日は外でお話しないか?」
「行きたい」シャンは小声で言うと笑顔を作った。
シャンを抱っこしては窓を閉めて校庭に行く。校庭にはブランコと丸いジャングルジム、滑り台があった。
ジャングルジムの方が校舎から死角になるところにあったので、そこまで歩いてくる。
中にシャンを座らせると自分は外側の地面に座る。右手で軽く揺らしているとシャンが笑っていた。
「そんなにうれしいのか?」
「ジャングルジムに乗ったことないからうれしんだ。遊んでみたいって思っても、僕は目が見えないから校庭で、あんまり遊んだことないんだ。
お絵かきかおもちゃ、校庭で唯一の遊びは砂遊びなんだ。今みたいな感じで少しだけ遊ばせてほしいな」
「こうしたいって素直に言ってみたらどうだ?」
「前に言ってみて、一度はオッケーしてくれたんだけど・・・次の日になったらダメだって言われたんだ。どうしてかなぁ」
「このぐらいなら大丈夫って言っても、それをいうやつがいなかったら全てがダメになるんだ。言ってもいいのか状況にもよるけどな」
「僕、大人の人がわからないんだ。育ててくれたのはここの先生だけど、お母さんとお父さんは僕を捨てたんだ。大人の人ってよくわからないんだ。」
揺らしている手を止めるとシャンに真正面に向き合って「悪かった」と言った。
「おじさんはのことは平気、おじさんは正義のミカタだから」
「ありがとうな。シャンは強いんだな」
「強い?僕は強くないよ、体もまだ小さいし・・・」
「そういう方の強いじゃなくて芯が強いってことだ。捨てられたって聞いたら、受け入れるまで時間はかかるぞ。僕はいらない子だったんだって、
精神的に落ち込む子もいるしな」
「落ち込んだけど、僕には先生たちがいるんだって思ったから。お母さんとお父さんの顔は見てみたいとも思う。でも、僕には夢があるんだ」
「夢?」
「僕、海が見たいんだ。トム先生が僕を見つけたとき海みたいな名前だったって、教えてくれたんだ。それで海って何だろうって思ったんだ。
青くて、大きな湖みたいでお魚がいっぱい泳いでいるんだ。目が見えるようになったら海を最初に見るんだ」
「海か、海はいいよな。大きくて広いし、見ているだけで悩みだってふっとんじまうくらいだ。うーんと遠くには知らない島もあるしな」
「島もあるの?おじさんはなんでも知っているね。いいなぁ、僕も行きたいなぁ」
「・・・・」
ここまで逃げてくる途中に海を見かけたことがある。逃げるために国境を超えるって考えも持っていたからだ。
ジャスティーはシャンをジャングルジムから出して、抱ええては校庭を歩く。
「じゃあ約束しようじゃないか」
「約束?」
「目が治ったらないつか、二人で一緒に海を見に行こう」
「本当に?約束だよ、おじさん」
「ああ、約束だな」
二人は小指と小指を出して、指切りげんまんとする。二人は子供たちの寝ている部屋に戻ると、シャンを下した。
「じゃあ、また会おうな」
頭を優しくなでると窓をそっと閉める。シャンは自分のベッドに戻っていくと、窓をもう一度見る。見えないけれど、
まだジャスティーがそこにいるような感じがした。ジャスティーは窓からそっと校庭を歩きながら倉庫に向かう。
すると、倉庫に持たれるように立っている人影が見えると、一歩下がる。
「ジャスティーなのか?」
懐中電灯を持った男の声が聞こえてきて、こちらへと歩いてくる。
「ト、トムなのか?」
「久しぶりだな。よく俺のことが分かったな」
「この写真から雰囲気がそんなに変わってないなって思ったからだよ」胸ポケットから二人で写った写真を取り出した。
「何があったんだ?話してくれよ。友達だろ?」
久しぶりの友の再開、ジャスティーとトムはあれから何十年ぶりという時が経っても友と呼んでくれる友達がいることになんとなくほっとした部分があった。

約束だよ、・・・。

約束だよ、・・・。

孤児院にいる6才のシャン・オーウィルは目が見えない。 なぜ、自分が孤児院にいるのかわからない、先生は「孤児院の前で捨てられていた君を保護した」という。 ある日、町ではジャスティーという恐ろしい犯罪者が逃げ回っていた。

  • 小説
  • 短編
  • サスペンス
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2019-05-14

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