ジャスティス~君との約束~

maoria

  1. 1.雨の日の出会い
  2. 2.町で噂の男
  3. 3.その名はジャスティス
  4. 4.友との再開、そして
  5. 5.真実は手紙の中に
  6. 6.君の目になりたい
  7. 7. 大きくなったシャンへ

主な登場人物
シャン・オーウィル・・・6才の目の見えない孤児院にいる男の子。海が好き。
トム先生・・・シャンの親代わりとなった孤児院の先生。
カレン先生・・・トムと同じ孤児院の先生。
マイケル校長・・・孤児院の校長、トムのことをよく知っている。
ジャスティー・キル・・・恐ろしいといわれている強盗犯。
シャーロン刑事 ・・・ジャスティーを追う刑事。

1.雨の日の出会い

“目に見えるものが全ての答えではない”と誰かが言った。
真実はいつも見えているのが当たり前の世界という人もいるけど・・・でも、彼には見ることができない。
シャンから見える世界はいつも不思議だった。手で触って、頭の中で想像する。耳で聞いて想像する。
そう、彼は目が見えない。触って、聞いて、感じ取ることで想像を働かせる。
ざぁぁぁぁっという音が近くで聞こえてくる。
波の音、テレビで映っているのは大きな海の景色。
「これが海よ。この町から一番近くだと、隣町に行けば見られます。シャンはこっちに来て」
優しい声、女の先生はシャンの手を握って少し歩かせ座らせる、桶に入った冷たい水を触らせている。
「冷たいなぁ。ねぇ先生、海って何色なの?どんなところなの?」
「青色で水よりも深い色で、大きな湖みたいなものね。砂浜があって貝殻が落ちていて、気持ちのいいところ。後、ちょっと味もするのよ。塩っぽいね」
「塩?僕、塩は苦手だな」
シャンはしょっぱいものが苦手だった。
「ところで先生、僕のお母さんとお父さんは?何も情報はつかめないの?」
「残念だけど、たぶんもう見つからないわ」
「そうなんだ」
彼に両親がいない。捨てられたというよりはこの孤児院の前に彼がいたのだ。
トム・ブラウン先生があの日の夜、彼を見つけて親代わりになったのだ。
あの日は酷く雨が降っていた。

***

五年前のこと、その日はこの町で珍しくひどい雨だった。こんなにたくさんの雨では川ができてしまうかもというくらいで、家から出る人はいなかった。いつも通り、孤児院の戸締り確認をしていたトムは、出入り口のドアを確認しに来た時だった。
その時、赤ん坊のうめき声が聞こえた気がした。
いや、気のせいだろう。最近、疲れているから幻聴も聞こえるのか。ドアの部分を懐中電灯で照らしながら右手で、カギが閉まっているか確認する。その時、「おぎゃ、おぎゃ」また同じような声が聞こえた。しかも、今度ははっきりと聞こえた。
トムは閉まっていたカギを開けてドアを内側にひく。外は本当にひどい雨で、少し寒いし風邪をひいてもおかしくない。
足元を見ると、ゆりかごのようなかごが置いてあり、何かが動いている。そっと、しゃがんでは中を覗いてみると赤ん坊がそこにはいた。
幸い、体が濡れてなかったのはこの玄関入り口にちょっとした屋根があったからだ。
「どうして、こんなところに子供が・・・」トムはゆりかごごと抱き上げると、孤児院の中に戻る。
カギをしっかりかけると、ゆりかごを自分の部屋までもっていくことにした。
二階の先生達の寝ている部屋の一番端っこ、それがトムの部屋だった。子供たちは一階の子供部屋というところで寝かせている。
ゆりかごを地面に置いて、赤ん坊だけを抱き上げる。きれいな海ような色をした目、こっちを見て不思議な顔をしている。
赤ん坊を自分のベッドに赤ん坊を移した後、ゆりかごの中をもう一度見ると、手紙が入っていた。
手紙は汚れているが文字は読める程度だ。
”すまない、彼の事を頼む。俺はいつもお前に迷惑をかけているけれど、今回ばかりはお前しかいないってそう思ったんだ。
俺には事情があってその子はあずかれない、だからお前に頼んだ。トム、お前が一番頼れる親友だ。
名前はシャン・オーウィルっていうんだ。こいつには親はいない、捨てられたとそう伝えてくれ ”
そこで手紙は終わっていた。名前も書いていないその手紙、でもトムには誰からの手紙かすぐに分かった。
「・・・あいつの字だ。何かきっとあったんだろうな」
ふぅーっとため息をつくと、眠っている赤ん坊を見つめる。
「シャン・オーウィルか、海みたいな名前だな」

その次の日、先生たちは会議室に集まって、昨夜の話をトムはした。もちろん、全員が驚いた顔をしている。
「その子を預かるのは構わないけど・・・きっと、盗まれた子なんじゃない?」
「そんなことないです。あいつはそんなことしません」
「親友だからってかばっているんじゃないの?でも、可哀そうな子」
「健康状態はどうなの?」
「それが、体は多分大丈夫だと、今朝早く医者に診てもらったんだけど・・・。どうも、目が見えないみたいなんだ」
そこで皆は黙って下を向いた。何と言っていいのかわからない。初めてのことだからだ。
ここにいる子供たちとは違った子、シャンは目が見えない子だった。
「僕たちが親代わりになるんだ」
トムはその日からシャンにいろいろ、文字や食べること全てを教えていくことにした。
そして、他の子たちも話を聞いてシャンを助けた。そう、ここにいる子共も元は虐待や世話ができないといって集められてきた子達だ。
時には引き取りたいといって養子になった子も数人いる。
その間でシャンの元の親も探してみたが手掛かりはなかった。情報もないのでシャンには5歳くらいになった時、捨てられたということを伝えた。
シャンは全く泣いたりもせず、代わりにこう笑顔で答えた。
「トム先生が僕のお父さんだね。じゃあお母さんと言えばカレン先生だね。ここは大きな家族」
両手を広げて笑っていた。
カレンとは、トムと同期に入ってきた先生でこの孤児院では若くて独身、あとは皆家庭持ちの先生ばかりだ。
そうやって、シャンは無事に6歳になった。誕生日はわからないから彼が来たあの日、5月29日を誕生日ということにした。

***

「シャン、一緒に絵を描こうよ」
同じ年の女の子が声をかけてきた。
「僕ともおもちゃ遊びしてくれる?」
一つ下の男の子もシャンのところに来る。彼は人気者だ。
前に初めて友達ができて、4歳の時、シェンが誘われてどっちと遊ぶのかちょっとした口喧嘩にもなった。カレン先生が喧嘩を止めようとしたその時、シェンは喧嘩している子二人の手を握って、「それじゃあみんなで遊ぼうよ。絵もおもちゃも一緒にやろう」と言って、喧嘩はすぐにやんだ。
その事をトムに話すと「優しい子なんだね」と言っていた。それ以降、喧嘩は全くなかった。
こんなに優しい子、誰が捨てたのだというのか。あの手紙を書いた人から連絡は取れてない。
トムは誰だかわかっていた。同期のカレン先生には、おそらく昔の親友からだろうと話しておいた。
その親友、やんちゃな性格でぶっきらぼうなほうで、根はすごくいい友達だった。
この孤児院でトムも育ち、その子も一緒に育ったという。カレンとしてはそんな話は初めてだと言った。
カレンは同期だけれど、彼女は孤児院で育ったわけではない。いわば、外から来た女性で昔務めていた会社がつぶれて、資格を取って入ったのだ。その時トムも同じころに入っていたのだ。トムの場合は一度孤児院から引き取られたんだけど、大人になってから戻ってきたのだ。この孤児院に努めたいと思ったからだ。
「そいつとシャンがきっと、家族関係にあるんだと僕は思うんだ」
「シャンには言わなくていいの?」
「いや、確信はない。それとここの子供たちは家族がいる。でも、シャンだけはちがうんだ。できれば、両親がどうなったのか理由をあいつから知りたい」
「そうね。彼がどうしているか分かればいいのにね。そうしたら目の見えないことも話さなくちゃ。そういえばね、前に手術の話をしてみたの。家族が見つかったらきっと、会いたいって思うでしょ」
一度だけ、シャンに目が見えるようになる手術があること、もう少しだけ大きくなったら受けてみないかと誘った。
親の顔を見てみたいと思うだろうと考えていたが、シャンはそういう風には言わなかった。
「僕のお母さんとお父さんはここの先生だよ。僕は海が見えたらいいな」
「捨てられたって聞いた時のこと、受け入れているのかな。言わなきゃ良かったな」
そう話していると、先ほどの女の子と男の子が職員室に入ってきた。
「先生、見てみて。シャンの絵、すごくきれいなの」
渡された画用紙を広げてみると、紙いっぱいに青と深い色の青、魚のような形をした生き物が泳いでいる。
「シャンは絵が上手ね、海の中の絵を描いたのね」
「あの子がしゃべれる年になった時、名前が海みたいだねって言ったら“海の話して“と言ってさ、喜んでいたなぁ」
「シャンは他にも絵を描いたんだ。こっちも見てよ」
二人の子は大はしゃぎしながら見せ合いっこしている。
シャンが来てから、この孤児院は何となく明るくなった気がするのだ。先生達も不思議と彼といると安心する気持ちになった。
実をいうと彼が来る前まで、こんなに明るくしゃべる子たちはいなかった。
みんな何かと距離というのがあった気がしたのだ。
「シャンの親ってどんな人だったのかしらね」
「優しい子なんだからきっと、そういう人だと思うよ」
職員室にシャンも入ってきた。他の子が彼の手を引いて、先生たちのところに来る。
「先生の絵も描いてあげるね」
シャンはクレヨンで画用紙に絵を描いていく。友達が肌色を渡している。他の子はこの色の説明をしている。
数分後、その職員室に他にも子供たちが集まってきた。みんな床に座って絵が完成するのを待っていた。
「シャンは魔法使いみたいだ」
耳で声をきいて、時折先生の顔を触っている。
にっこり笑うその先生たちの笑顔は、彼には見えないけれど絵の中の先生は笑っていた。

2.町で噂の男

普段は賑やかなでも夜は静かになるこの町、路地裏で男は息を切らしていた。
近くでは数人の男たちが走り回っては、誰かを探している。
「おい、そっちへ逃げたぞ」
「くそっ。あいつ、どこ行ったんだ?」
警察官5人はある男を追っていた。その男は隣の町から逃げてきた強盗犯で、隣町で留守中を狙って強盗に入り、お金を奪った。
しかもたった一軒だけではなく10件近くはやっているという。
名をジャスティー・キル、彼は40代くらいで焦げ茶色の革ジャンに帽子をかぶっていて、ジーパンをはいている。ここまで特徴も上がっているのに手口が手馴れていて、捕まえることができなかった。
「シャーロンさん、本当にあいつがやったんですか。例のあの事件・・・」
警察官の中に一人、50代くらいのスーツを着た刑事シャーロンがむっとした顔で煙草に火をつけた。
「俺は絶対そう思うんだ。指紋も残っているし、部屋にはあいつの写真もあった。他に思い当たる星はいない」
「でも、それだったら今までの強盗事件では人は殺してないですよね」
「あいつはそういう奴かもしれん。関係ない人は殺さない。金は多分生活のために使っているんだ。そのうち、尽きてくるころだろう」
「じゃあ、またこの町でも被害が起きますね」
「その前には絶対捕まえてやる」
吸った煙草を携帯用灰皿にしまうと、また走り出した。数分後、その男ジャスティー・キルはそっと路地から顔を出して、ため息をついていた。壁に沿ってしゃがみこんでいる。
「まったく、ここには来るつもりなかったんだけどな」
胸ポケットからしわしわの写真を広げて、じっくりと眺めている。写っているのは10歳くらいの男の子達、施設のような建物がぼんやりと後ろに立っているが、はっきりとはわからない。
写真の中の男の子はとても仲がよさそうに肩を組んで、笑顔で写っている。
「トム、俺はとんでもないことしちまった。お前は今の俺を見たらきっと、驚くだろうな」
写真を胸ポケットにしまうと同時に雨が降ってきた。

***

「ねぇ、聞いた?この町に強盗犯が逃げてきたらしいわよ」
昼の12時ごろ、町のスーパー近くでしゃべっている3人のおばあちゃん達はあたりをキョロキョロしていた。
「え、あの隣町の事件の強盗犯?怖いわね、プロだって噂でしょ」
「怖いわよね。うちの家は平気かしら?防犯カメラ付けなきゃ」
「指名手配はもう少ししたら紙が張り出されるそうよ」
スーパーの中ではカレンが買い物をしていた。今日のご飯の材料を探しては考え込んでいた。もちろん、先ほどの話し声も少しだけ聞き取れた。
不安な顔で、ひき肉をかごに入れていく。今日のメニューはハンバーグみたいだ。その近くをむっとした顔の男性が通り過ぎていった。

(ジャスティーがこの町に来ている⁉そんなはずはない)
12時頃、お昼の職員会議をしながら先生たちは昼食を取っていた。ついさっき、ジャスティーという男が指名手配されたというニュースが流れて、
皆は大騒ぎだった。
トムは信じられなかった。ジャスティーは犯罪をするようなやつではない。
顔写真も上がっているが、トムの知っているジャスティーと違っているような気もする。
大人になった彼を始めてみたのは、指名手配の写真だった。
なんとなく目元はあの子共の頃の面影がある。
「ジャスティーは確かトム先生と孤児院にいたんですよね?私たちは派遣されてきたから知らないけど、校長、どう思います?」
ここの先生たちの中では一番年上で、トムとジャスティーの子供の頃を知っている先生は校長のマイケルだけだった。それ以外の先生は、退職したり、
転職とさまざまな理由で辞めて行って、トム先生や派遣の先生、新人の何人、食堂のスタッフ数人だけがいる。
「わたしが覚えている限り、彼はそういう子ではない。ちょっとぶっきらぼうでしたが・・・。同姓同名ってことはないでしょうか?」
「でも、なかなか聞かない名前ですし・・・。もしかしたら過去に何かあったのかも。何歳までここにいたんですか?」
「確か・・・10歳で引き取られた。その夫婦はジャスティーの親戚で、幸せに暮らしているっていう手紙はもらった記憶があったなぁ。
トム、彼とはもう連絡は取っていないのかい?」
一番仲良しだったのはトムだった。
なんでも、公園に皆で遠足へ行った時、孤児院とは関係のない外の子にいじめられていたトムや他の子を助けたのが、ジャスティーだったという。
そこから二人の友情は生まれた。
「僕が孤児院をでる13歳まで連絡はとっていたけど、それからはとってない。僕も引き取られてから住所がかわったこと教えてなかったし。
でも、あいつはそんな奴じゃないんです。何か理由があるはず・・・」
それにシャンのことも引っかかっている。あの手紙は間違いなくジャスティーが書いたもので間違いはない。
そのことはカレン先生以外知らなかった。
「トム、あなたならどうします?」
校長は紅茶のティーカップを口に運んで一口飲むと、息を吐いた。
「彼に会いたい。会って聞き出せないかな・・・ところで、警察官はここには来るんでしょうか?ジャスティーは孤児だったという記録を知ったら何か聞きに来るはずだ」
「明日、来るそうですよ。シャーロンという名前だったかな。電話で昨日話しました。
わたしは彼のことは悪い人だと思ってないですが嘘をつくわけにはいきません。トム、あなたが一番大変かもしれませんが・・・」
「わかりました」
チャイムが鳴って昼食の時間が終わると、子供の遊び時間になった。
「あと、子供達にはなるべく話さないように。明日刑事さんたちがきたら、見回りのお巡りさんという風に言っておきましょう。
まだ、こういうことは理解するには早すぎる」
校長の最後の言葉を聞くと、先生たちは苦い顔をしながら食堂から出ていった。

その夜、孤児院は静まり返っていた。子供達は眠り、先生たちの見回りも終わって眠り始めたころのこと。
校庭の隅に立っている倉庫の裏から何か物音がしている。
金網をペンチで広げている男がいた。
「なんだ、ここは昔のままじゃないか。今夜だけ寝かせてもらうぜ」
ジャスティーは自分が通れるサイズまで広げると、そこから中に入った。
この金網の穴、実をいうと先生達も知らないジャスティーとトムだけが知っている秘密の抜け穴だった。
子供の頃に外に行きたくてジャスティーが作ったのだ。結局は先生達に捕まってしまったけれど、嘘をうまくついたのだ。
「全然変わってないな。防犯のカメラもない、まぁそんなに広くないしな」
校庭を見回しながら、どこか懐かしい気分になっていた。歩いていると、ポツンポツンと頭に雫があたった。
その雫はどんどん増えていき、とうとう雨になった。
「ちぇっ、なんだよ。構内に入るつもりはなかったんだけどよ」
走りながら一番近くの入り口から中に入った。廊下を歩くと足元には黄色点字ブロック音があった。昔はこういうのもなかったなぁ、きっと設備良くしたんだろう。音をあまり立てないようにそっと歩きながら、多目的室まできた。
本棚には年代に分かれた本、椅子が何個かあり、小さい子供が遊ぶ道具箱が置いてあった。そして、壁にはかわいらしい絵が描かれており、シャンのためにつけられた手すりがついている。
「ここで止むまで待つとするか」
床に足を広げて座ると、ため息が出た。数分間、天井を見ていると後ろの方から音が聞こえてきた。
「ねぇ、誰かそこにいるの?」
声の方にジャスティーは振り返ると、6歳くらいの少年が手すりに掴まってそこにいた。
こっちを見ているようにも見えるが・・・どうもキョロキョロとしているようだ。
「僕、トイレから帰ろうとしていたんだ。そうしたら、音が聞こえてね、ここに来たんだ」
少年は手すりを頼りに壁際を歩いている。
その少年はシャンだった。シャンは目が見えないが、その代わりに耳がものすごく敏感だった。
(こいつ、目が見えないのか。ふぅー、危なかったぜ)
もし、目が見えていたら知らないおじさんがここにいると先生達に伝わってしまう。
「お前さん、目が見えないのか?」
「そうだよ、でも、耳はいいんだ。あと、鼻もね。おじさんは、どこから来たの?」
聞き覚えのない声だと思ったのだろう、でも怖がったり警戒はしていなかった。
「おじさんは外から来た。ちょっと雨宿りにな。雨が止んだらすぐに出ていくよ」
「そうなんだ。濡れちゃったら風邪をひいちゃうからね」
シャンはジャスティーのことが分からないけど、悪い人ではないということだけはわかった。ジャスティーも自分が孤児だったのでここの子供を襲うようなことは考えなかった。
「自己紹介してなかったね。僕ね、シャンっていうの。シャン・オーウィルっていう名前なんだ。おじさんはなんていうの?」
「俺か?俺は…」
そこで一瞬黙ってしまった。本当の名前を言ってしまったら、何かの形でバレてしまった時に警察に捕まる。トムにも迷惑はかけたくなかった。
「どうしたの?名前、忘れちゃったの?」
こっちの方までシャンが歩いてくる、手すりから手が離れてゆっくりとした足取りで声を頼りに近くまで来た。
少し考えてからジャスティーはこう答えることにした。
「ジャスティスだ。そう呼ばれていた」
ジャスティーは昔、いじめっこからみんなを救った時につけられたあだ名を思い出した。
「ジャスティス?それじゃあ、おじさんの仕事は正義のミカタなんだね。すごいなぁ」
「どうかな、正義のミカタなんて名前、綺麗ごとだよ」
こんな自分の状況、誰がどう見ても正義のミカタではない。泥棒、犯罪者、クズな奴だといわれてもおかしくない。
「他の人にとって正義のミカタじゃなくても、誰かにとっては正義なんだよ」
「詩人みたいだな。お前さん、面白い奴だ」
遠くの方で何か音が聞こえ、立ち上がる。
「あ、誰か来る」
「ゆっくりしていられないな。ここを出るぜ、ちょっと雨もおさまったしな。俺と会ったこと内緒にしとけよ」
床から数センチ上の窓の近くまで来て開ける、丁度ジャスティーが通れる大人サイズだ。
「もう行っちゃうの?また、会いたいな」
「あぁ、そのうちな」
ジャスティーは窓から出てそっと閉めると、止みそうになってきた雨の中倉庫の穴まで走っていった。
歩いてくる音が多目的室まで来るとドアが開く。トム先生だ。
「なんだ、一階から音が薄っすら聞こえて来てみたらシャンじゃないか。どうしたんだ?誰かもう一人いたようにも見えるが・・・」
薄明りだが、多目的室の床には濡れた後が残っているのが見えた。ジャスティーは土足でここまで歩いたから、床のことなど気にもしなかった。
「何でもないよ。友達ができたんだ」
「友達?」
「うん、先生には秘密の友達」
そう言うと、シャンは手探りでトムのところまで来ると“もう寝ようよ”という風に手を引っ張った。
(あいつ、どこで何してるんだろうな)
ジャスティーが出ていった窓の外を眺めながら、トムとシャンは多目的室を出ていった。

3.その名はジャスティス

翌日、孤児院の朝は大忙しだった。それは刑事がここにきて、話をすることになっていたからだ。
子供達には見回りの警察官ということを説明しておいて、カレン先生と他の先生が誰も外へ行かせないように見張っていることになった。
一番大変なのは校長とトム、二人は唯一のジャスティーのことを知っているから他の先生よりも気持ちが落ち着かなかった。
約束の時間は12時半だ。
「カレン先生、今日はお外で遊べないの?天気もいいのに?」
「ごめんねルーシー、見回りのお巡りさんが来るのよ。最近は物騒だからね。あ、部屋から出るときは私に言ってね」
仕方なく皆は、本を読んだり、おもちゃで遊んだり、絵を描いたり、退屈すぎて寝ていたりと部屋の中でできることをしていた。シャンは仲のいい男の子たちと本を読んでいる。シャン用に取り寄せた点字の絵本を呼んでいた。

12時半になると、校長室に向かう5人の男たちがいた。相変わらずのむっとした顔をしているシャーロン刑事と他の刑事たちは、孤児院をじっくりと眺めながら廊下を歩いている。校長室に着くとドアをノックした。
「はい、どうぞ」
「失礼いたします」
ドアが開いてシャーロン刑事達が入ってくる。校長室にはトムと校長の二人がいて、あとの先生は自分の仕事場だった。
「あなたがトム先生ですね?」
「はい、私はトム・ブラウンと言います」
「ブラウンさん、単刀直入に言いますが、ジャスティーのとはどういう関係ですか?」
一番聞かれると、正直に答えづらい質問が来た。ある程度はこの刑事も調べてはいるはずだ。トムとジャスティーが友達で仲が良かったことぐらいわかっている。嘘をつくかどうか、試しているのだろうか。
「僕と彼は兄弟みたいに仲のいい関係でした」嘘をついてもしょうがない、あとから何か突かれたくはないのでここは正直が一番だと思った。
「ジャスティーのことは少し調べました。この孤児院で育ち、トムと仲が良かったということ。ジャスティーを引き取った彼の親戚からある程度は聞きました。彼は今おそらくこの町にいます。指名手配されているのを知っていますね。ここでの彼の様子・・・話していただけますか、彼がどんな人間だったかを」
大きく深呼吸をして、唾を飲み込んだ。マイケル校長はトムを見て頷く。
「ジャスティーは僕が来る前からここにいました。彼の元の両親は彼を可愛がっていませんでした。三人兄弟の中で末っ子の彼の家は学校の先生だったかな。後継ぎが必要だとか。でも、末っ子のジャスティーは二人と違って勉強があまりできなかったみたいで。だから、末っ子のことはいない二人の兄弟だけだって世間に言っていました。この話は彼から直接聞いたんです。仲が良くなってからお前だけに教えてやるって言われたのを覚えています」
「確か彼は家出をして、ここ孤児院に来たと聞きましたが・・・」
「それは私から話そう。トム、君には言わなかったけど、彼を拾ったのは私なんだよ。あの雨がすごく降った日、彼はね公園のベンチにいたんじゃ。私が出張から孤児院に帰る途中、止まっているタクシーの中から外を眺めている時に見つけた」
マイケルは話を続けていく。
あの日、タクシーを一旦降りて、公園の中まで走っていった。ちょっとした屋根があるベンチだったおかげで、彼は濡れていなかった。でも、体が震えていたという。事情は聴かず、そのまま連れて帰ることにした。
後になって彼から聞いた言葉は「家出しました」その一言だけだった。
「あんな家にずっといるのが苦痛だったから家出をしたっておかしくない。だから、両親と話してジャスティーを孤児院に移すことを話したら、なんとまああっさりと返事を返してきたんだよ。当時の私は怒って窓を壊した記憶がある。彼はね、ここに来た最初はあんまり友達も作らなかったんじゃ。むしろ警戒心の強い猫みたいじゃ」
「なるほど。では、ブラウンさんとはどうやって仲良くなったのでしょうか?」
トムは目を閉じて、一息ついては目を開ける。そしてジャスティーとの過去のことを話し出した。

***

「ジャスティー、ここでの暮らしはもうなれたかな?」
マイケル校長は木の下に体育座りしている少年に声をかけた。
「・・・あそこにいるよりはまし」
会話は全然続かず、いつもこういう調子ばかりだ。それでも、出会った時よりは全然、話すようになった。
その当時、ジャスティーは8歳くらいである。
「マイケル校長、ちょっといいですか?ジャスティー、調子どう?」
「まあまあかな」
男の先生がこちらに向かって走ってきた。この孤児院で一番偉い先生だ。
「じゃあ、またね」
二人は職員室に向かいながら先生は話し出す。
「あの子のことかな?トムだったかな。体調はどうかね?」
「元気にはなりましたよ。でも、どうかしてますよ、車の中に置いていくなんて」
ぶつぶつと文句を言いながら、頭をくしゃくしゃにかいている。
6日前に散歩途中の犬が何かを察知して、スーパーの近くの黒い車まで飼い主を引っ張ったあと、怒鳴るように吠えたという。
7月中旬で気温も少し熱い中、車の中には男の子が眠っていたのだという。歳は6,7歳くらいでよく見ると少し苦しそうだったのだ。
大急ぎで救急車を呼んだおかげで何とか助かった。ちょっとした熱中症になってしまったみたいだったのだ。
彼の名前はトム・ブラウン、親には連絡したのだが全くつかなかったのだ。それでこの孤児院に親と連絡がつくまで預かったという。
結局、連絡がついたのは3日前で親の元に帰そうとしたがトムが嫌がったのだ。
「僕は何回置き去りにされるの?」その顔は泣いていたという。
どうやら車の中の置き去りはこれが初めてではなかったみたいだ。
それで話をつけたところ、孤児院に来ることになった。
トムは外には出ず、部屋の中で遊んでいた。
「トム、元気かな?」
「校長先生、こんにちは。とても元気です」
丁寧な挨拶を返すと友達のところへ遊びいくと、ジャスティーに声をかけた。トムとの歳の差はジャスティーの方が二つくらいは年上である。
「ねぇ、鬼ごっこしようよ」
「俺は今そんな気分じゃない」
トムはこの日からずっとジャスティーに声をかけては遊びに誘っていた。でも、だいたい断られてしまう。
そうして、8月がきて遠足の日が来た。赤ん坊くらいの子たちは孤児院で留守番をして、6歳くらいから上の年の子は近くの公園へと先生達と出かける。
この町で一番大きな公園では他の子供たちも遊んでいて、先生達も行きなれていた。
狭い校庭から広い公園で遊べるのを楽しみにしていたかのようにみんなは、はしゃいでいた。
トムは友達と鬼ごっこをしていると、一人の男の子が大きな(12歳くらい)の子にぶつかってしまった。
「おい、前見て走れよチビ」
「ご、ごめんなさい」
声が震えて大きく出すことができなかった。トムの友達の中では一番背の低い男の子だ。
「聞こえないな?俺、ちゃんと耳あるからもっと大きな声で言えよ」
他の大きな子達も集まってきて、囲まれてしまった。トムと他の子はその子のところまで来ると頭を下げた。
「ごめんなさい、これからは気を付けます」
「お前には聞いてないんだよ、邪魔すんなよ」
片手で投げ飛ばすかのように押される。
「そんなやり方ないだろう」
トムもやり返したが力では彼らの方が上だった。トムの友達の一人は怖くなって走って先生を呼びに行く。
「生意気だな」
今度はグーの手で軽く同じようにナゲット飛ばすように押そうとしたとき、誰かの体がトムの前に来て体で受け止めた。
「もういいだろ。大事起こすなよ」
「なんだよ、てめぇ」
ジャスティーは相手の顔に勢いよく殴ってみせる。大きな男の子は顔を殴られて痛そうにしている。その子はしゃがんで大泣きしてしまった。
「やられたら、返すのが普通だから。さ、帰ろうぜ」
トムたちは殴られた子をチラッと見ながら「大丈夫かな」そう言った。
「手を出したのはあっちだろ」
後になってジャスティーがやったことはすぐに先生たちに知れ渡り、その子の親に謝った。ジャスティーは先生から一週間の廊下とトイレ掃除しなくてはならなくなった。それでも本人はすっきりしていた。トムは正直に「ジャスティーは悪くない、助けてくれたんだ」ということを伝えると、掃除当番は三日間だけということになった。
そして、彼はその一番小さい子から「ありがとう、ジャスティス」と呼ばれるようになって、皆で掃除を手伝ったという。
「ジャスティス?俺は正義じゃない」
「でも、僕たちあのままだったらぼこぼこにされていたよ」
「そうだ、ジャスティーはヒーローだ」
そのあだ名をつけられてから彼はもっと前よりも友達と遊ぶようになり、中でもトムとはとても仲良くなったのだ。

***

「10歳になったあいつが引き取られる話が舞い込んできたとき、僕たちも寂しくなりましたよ」
ジャスティーの親戚が元の母親の家に来ていた時にジャスティーの話を聞いて、「あんたそれでも親なの」って言うと自分が引き取ると言い出したのだ。
元々、子供ができない夫婦だったからジャスティーが来た時、とても可愛がられたとトムとの手紙に書いてあった。
「僕もその後には、元の母親に引き取られました。もう一度、やり直さないかって。それから今までちゃんと育ててもらいました。これで全部です。でも、ジャスティーが強盗なんて信じられません」
「子供の頃と大人になってからでは環境によって何かが変わります。昔はいい男の子でも、強盗犯になってしまった事実は変らない。詳しい話、ありがとうございます。さて、私達は帰りましょう。また何かあったら連絡してください」
シャーロン刑事から名刺をもらうと頭をお互いに下げて、警察官たちは校長室から出ていった。

「あの事件のことは話さなくていいんですか?」
「今の話を聞いていたが、人を殺すようなやつではないが・・・もう少し調べてみる必要があるな」
シャーロン刑事たちが孤児院の玄関まで歩いてくるとマイケル校長に別れの挨拶をする。
丁度、シャンがトイレに行こうとカレン先生に手をつないでもらって部屋から出るのが見えた。
「カレン先生、知らない人の臭いがするよ」
鼻も敏感なシャンはシャーロン刑事の香水の匂いに気がついた。
「ああ、お巡りさんよ。今から帰るみたい、手を振りましょ」
カレン先生は繋いでいない方の手を持って、しゃがむとシャーロン刑事の方に手を振るようにすると、そのように動かす。警察官の何人かが降り返してもシャンにはわからず、手をずっと降っていた。
「あの子は?」
「あぁシャンですか。彼は目が見えないんですよ」
「そうですか。・・・差し支えなければですが、シャンの名前は何というのですか?」
「シャン・オーウィルです」
「シャン・オーウィル・・・」
「シャーロン刑事、オーウィルってもしかして」
「この話はまとまってからにしよう。では、マイケルさん」
シャーロン刑事たちは帰っていくと、マイケル校長は校長室に戻っていく。
カレン先生とシャンは、そのままトイレに向かうことにした。


孤児院に警察官が来た日から一週間が経つと、空き家の倉庫でラジオを聞いていたジャスティー。指名手配されてしまって、刑事たちは孤児院に行ったと思う。
「トム、俺のことなんて話したかな。あいつ、正直者だから嘘とかつかなかったんだろうな」
天井を見上げると、木でできた倉庫なので板の色合いが腐っていた。
「出会った時は俺が助ける側で、引き取られてからあいつを頼るようになった。親戚と言っても母方のおばさんだから不安だったし、頭もいいわけでもなく、何のとりえもないから受け入れてくれるだろうかも不安だった。手紙にその事書いたら、あいつは俺のところに行くって言ってたっけなぁ」
ラジオのニュースではジャスティーの特徴が事細かく前よりも明らかになっていた。この町にも長くはいられない、これからどうしたらいいのか、あまり動き回ることはできなかった。
ふと、あの孤児院で出会った少年のシャンを思い出した。
自分にまた会いたいって言っていたけれど、もう自分のことが知られているかもしれなかった。もし行くなら、孤児院へ夜の時間しかない。時計を見ると夕方の5時を回っていた。自分自身としても彼には会いたいと思った。
「約束したわけじゃないが、会いにいこう」
ラジオの電源を切って、立ち上がりドアをそっと開ける。隙間から警察官や他の人がいないかを確認して、マスクをすると咳き込む真似をしながらその場から走っていった。このマスクで一時しのぎ程度にしかならないがないよりはましだった。


夜の11時頃、消灯時間の8時は過ぎていて先生達も眠っていたが、交代で見回りをすることにしていた。ジャスティーのことを信じてはいるが万が一何かあってはと思い、マイケル校長が一時半交代で見回りをする事にしたのだ。
ジャスティーはあの時と同じように倉庫の裏にある金網から入ると、忍び足で校庭を横切る。
子供たちが寝ている教室に来て、窓からそっと覗くと窓側近くにシャンは眠っていた。
そっと窓をトントンと、叩いてシャンを起こそうとする。
すると、目をゆっくり開けてキョロキョロとしている。もう少し大きめの音で他の子供を起こさないように軽く叩いた。
体をベッドから起こすと、窓の方を向きそのままベッドから降りて向かう。鍵のあたりを手探りで探して、開けてみるとジャスティーは声をかけた。
「俺のこと覚えているか?」
顔を両手で触ってからはっという口の形をした。
「ジャスティスのおじさん」
「そうだ、覚えていてくれたんだな」
この様子だとまだジャスティーのことはどうやらバレてはいないようだった。
「僕、聞いたことがある声はちゃんと覚えているんだ。中に入らないの?」
「今日は外でお話しないか?」
「行きたい」シャンは小声で言うと笑顔を作った。
シャンを抱っこしては窓を閉めて校庭に行く。校庭にはブランコと丸いジャングルジム、滑り台があった。
ジャングルジムの方が校舎から死角になるところにあったので、そこまで歩いてくる。
中にシャンを座らせると自分は外側の地面に座る。右手で軽く揺らしているとシャンが笑っていた。
「そんなにうれしいのか?」
「ジャングルジムに乗ったことないからうれしんだ。遊んでみたいって思っても、僕は目が見えないから校庭で、あんまり遊んだことないんだ。お絵かきかおもちゃ、校庭で唯一の遊びは砂遊びなんだ。今みたいな感じで少しだけ遊ばせてほしいな」
「こうしたいって素直に言ってみたらどうだ?」
「前に言ってみて、一度はオッケーしてくれたんだけど・・・次の日になったらダメだって言われたんだ。どうしてかなぁ」
「このぐらいなら大丈夫って言っても、それを賛成するやつがいなかったら全てがダメになるんだ」
「僕、大人の人がわからないんだ。育ててくれたのはここの先生だけど、お母さんとお父さんは僕を捨てたんだ。大人の人ってよくわからないんだ。」
揺らしている手を止めるとシャンに真正面に向き合って「悪かった」と言った。
「おじさんはのことは平気、おじさんは正義のミカタだから」
「ありがとうな。シャンは強いんだな」
「強い?僕は強くないよ、体もまだ小さいし・・・」
「そういう方の強いじゃなくて芯が強いってことだ。捨てられたって聞いたら、受け入れるまで時間はかかるぞ。僕はいらない子だったんだって、精神的に落ち込む子もいるしな」
「僕だって悩んだけど、僕には先生たちがいるんだって思ったから。お母さんとお父さんの顔は見てみたいとも思う。でも、僕には夢があるんだ」
「夢?」
「僕、海が見たいんだ。トム先生が僕を見つけたとき海みたいな名前だったって、教えてくれたんだ。それで海って何だろうって思ったんだ。青くて、大きな湖みたいでお魚がいっぱい泳いでいるんだ。目が見えるようになったら海を最初に見るんだ」
「海か、海はいいよな。大きくて広いし、見ているだけで悩みだってふっとんじまうくらいだ。うーんと遠くには知らない島もあるしな」
「島もあるの?おじさんはなんでも知っているね。いいなぁ、僕も行きたいなぁ」
「・・・・」
ここまで逃げてくる途中に海を見かけたことがある。逃げるために国境を超えるって考えも持っていたからだ。
ジャスティーはシャンをジャングルジムから出して、抱ええては校庭を歩く。
「じゃあ約束しようじゃないか」
「約束?」
「目が治ったらないつか、二人で一緒に海を見に行こう」
「本当に?約束だよ、おじさん」
「ああ、約束だな」
二人は小指と小指を出して、指切りげんまんとする。二人は子供たちの寝ている部屋に戻ると、シャンを下した。
「じゃあ、また会おうな」
頭を優しくなでると窓をそっと閉める。シャンは自分のベッドに戻っていくと、窓をもう一度見る。見えないけれど、まだジャスティーがそこにいるような感じがした。ジャスティーは窓からそっと校庭を歩きながら倉庫に向かう。すると、倉庫に持たれるように立っている人影が見えると、一歩下がる。
「ジャスティーなのか?」
懐中電灯を持った男の声が聞こえてきて、こちらへと歩いてくる。
「ト、トムなのか?」
「久しぶりだな。よく俺のことが分かったな」
「この写真から雰囲気がそんなに変わってないなって思ったからだよ」胸ポケットから二人で写った写真を取り出した。
「懐かしい写真だな。ジャスティー、何があったんだ?話してくれよ。友達だろ?」
久しぶりの友の再開、ジャスティーとトムはあれから何十年ぶりという時が経っても友と呼んでくれる友達がいることになんとなくほっとした部分があった。

4.友との再開、そして

校庭にあるベンチに座ると、トムから話を切り出した。
「手紙、あれから送れなくてごめん。僕も元の家族の所に戻ったんだ。忙しくて住所も言えなかった」
「いや、いいんだ。校長から引き取られたことは、手紙で聞いていた。お前が幸せでよかった」
「家の人はどうしているの?」
「・・・。元気にはしているさ」
「刑事がお前のこと、親戚から聞いたって言ってた。ずっとあそこにいたのか?」
「いや、俺が20の時にまた元の家族の方に戻ったんだよ。気分屋な俺の母親が泣きながら、訪ねに来たんだよ。お芝居もうまいからさ、俺は元の家に戻って暮らした。ガキの時よりは暮らしはまともになった。仕事もしてたし、家から出ていることが多かったしな」
トムはそれを聞くと泣きだしそうになった。
「おいおい、何も泣く事ないだろ。知らせなかっただけだよ」
「強盗事件起こしたのはストレスか?」
「・・・そうだな、きっとそうだ」ふと、辺りを見回すとなんとなく校庭の外に何人かの人の気配を感じた。
「逃げる気はない。トム、お前は正しい選択をした」
両手を挙げて降参したように地面に膝をつく。倉庫の裏からシャーロン刑事たちが入ってきた。
トムは、校庭にいるジャスティーを見つけて警察を呼んでおいたのだ。
それから、彼らが到着するまで、ジャスティーが逃げないよう話をして時間稼ぎをしていたのだ。
「怒らないのか?」
「怒るかよ、誰だってそうする。お前は間違ってないさ」手錠をかけられて立ち上がると、玄関出口の方へ歩いていく。
トムもついていくと、白い警察の車が止まっていた。ただし、もう夜遅いのでサイレンは鳴っていなかった。
「最後に一つだけ聞かせてくれ」
車の前まできたジャスティーとシャーロン刑事、立ち止まって振り返る。
「シャンのこと・・・なんか知っているのか?あの手紙、お前が書いたんだろ?」
「いや、知らないな。あいつと会ったのは多目的室の時とさっき以来だよ。手紙って何のことだよ」
この前の多目的室に残っていた水の足跡は、ジャスティーの靴跡だったのだ。
「本当なのか?シャンはお前が連れてきたんじゃないのか?」
「・・・あいつにはしばらく会えないと伝えてくれ」
「いくぞ」
二人が車に乗り込むと、ドアが閉まって走り去っていった。トムはその車の後ろ姿をずっと見つめていた。

5.真実は手紙の中に

ジャスティーが警察に行ってから次の日、昼食を皆が済ませた後にトムはシャンを自分の部屋に連れてきた。ベッドの方に座らせると自分は机の方の椅子に座る。
「シャン、あの多目的室で会ったのはジャスティスかな?」
「ジャスティスおじさんのこと知っているの?」
「ジャスティスは僕の一番の親友だった。実を言うと、彼からしばらくは会えないと言われたんだ」
「それってもしかして、正義のお仕事?」
本当のことを言うべきなのか迷っていた。6歳の子供にはまだ理解できないことがたくさんある。嘘をつきたくはないけれど、今ここで警察に捕まったと言ってもわからないだろう。
「そうだなぁ、お仕事が忙しくなるからだって」
「そっか。でも、仕方ないよね。誰かの救いになるならお仕事頑張ってほしいなぁ」
もう少し、大きくなってそういうことが理解できる年頃になったら話そう。
それまでは正義のミカタってことにジャスティーもしているんだ。でもきっと、この子なら真面目に受け止めて、冷静になる方だと思う。冷静になれなくて反抗的になってしまう人がほとんどだけど、シャンなら大丈夫な気がする。
「そういうことだから、また会える時が来たら教えるよ」
トムは立ち上がると、ベッドからシャンを下ろして部屋のドアに向かう。
「トム先生も正義のミカタだったの?」
「僕?僕はむしろ、彼に救われたんだ」
「やっぱり。ジャスティスおじさんは正義のミカタなんだ」
笑っていつもの笑顔でいる彼を見ると、どこかほっとする。本当にジャスティーはこの子を知らないのだろうか。誰の子でどこから来たかもわからない、あの日にトムが見つけて出会った。ジャスティーはあの日、この子をどうしてここに連れてきたんだろう。
この子の親はどうしているのだろう。たくさんの思いが考えるだけ考えると増えていくばかりだった。
ドアに手をかけて開けると、二人は部屋から出た。
「今度、ジャスティスおじさんの絵を描いてあげよう」
(それは喜ぶと思うよ。あいつは自分を描いてほしくなかったからな)
似顔絵を描きあいっこする授業の時は欠席して、校庭の隅にしゃがんでいたっけな。マイケル校長に後で聞いたら、家族でいない子扱いされていたから自分の存在に意味がないと思っていたんだ。トム自身もその気持ちはわかる。置き去りにされた自分とジャスティー、僕たちはきっと似ていたんだ、同じ匂いがした気がしたから仲良くなれたんだ。

***

ジャスティーはシャーロン刑事と一緒に取調室にいた。一人がパソコンで何かを打ち込んでいる。
やけに落ち着いている、慌てるそぶりもない。これがとても怖いとも思える。何か感情を起こさないのは、
確かに取り調べではやりやすいほうだけど・・・ここまで普通でいるっていうのはどうかと。
「強盗の方に関して嘘はないな」
「あぁ、間違いなく全部俺がやった。ちょっと生活していくのに足りなかっただけだよ」
「一人で生活のために?」
「もちろん、一人さ。他に誰かいたか」
シャーロン刑事は立ち上がると、ポケットから何枚かの写真を灰色机の上にきれいに並べて乗せていく。
「この写真を見てどう思う?」
「いや、まったくわかりませんな」
赤ん坊が載っている一枚の写真に指をさして
「ジャスティー、お前が強盗をして逃げ回っていたのは彼と一緒にいたからじゃないのか。
でも、ずっと逃げていたら怪しまれると思ってあの日、彼をどこかへ置いていったそうだろう?」と問いかけると、ジャスティーは首を振っている。
「知らない子だね」
「証拠は出ているんだぞ。大きくなっていたらちょうど6歳くらいだ。この写真の子、五年前に行方不明になっているんだ」
「俺とその子がどういう関係だと?親は?」
「いい加減にしろ。お前が殺したんだろ。それから泥棒がやったと見せかけるために部屋も荒らして、あの子をさらってあの孤児院に置いてきた。孤児院に行くまでの生活費として強盗したり、別れてからも強盗を続けた」
「刑事さんすごくいい推理だけど、指紋まで残っていたってこと?仮に俺がその犯人だったとしよう、動機がないだろ?」
「その子の名前はシャン・オーウィル。ジャスティー、キルという苗字は親戚に引き取られてからだろう?本当の名はジャスティー・オーウィル。オーウィル家の末っ子のお前は一番上の長男、ビル・オーウィルを殺した。そうだろ?」
そこでジャスティーは静かになった。もう隠していてもしょうがないと思っていた。ジャスティーは引き取られる前、オーウィル家の息子だった。長男のビル、二番目のジョージ、そして一番下のジャスティー。
ビルには息子ができて、その子がシャン、ジャスティーはシャンのおじさんになるということだった。
「お前は家族にいない子扱いされていた、それがきっと募り募ったストレスで殺したんだろ?兄だけ幸せな家庭を持ち、自分だけ見放されたと」
「兄貴のことは二人とも好きじゃなかった。あいつら二人も親もみんな嫌だった。殺すとまでは思わないが、仕返しはしたいと思ったことはあったがな。母親の方の姉(おばさん)は俺を引き取って大事にしてくれた。おばさんとその旦那からはなれて、また元の家族に戻った時は、マシだったとはいえ息苦しかったな」
「ならばなぜ、ビルだけでなく母親も殺したんだ?幸せがそんなに羨ましかったのか」
「あぁ、そうだよ。あの日、結婚記念日だからと言って自慢話がてらに俺を家に呼んだんだ。腹が立ってたんだよ。一番俺をいじめていたんだからな。だが、赤ん坊に罪はない。だから、あいつだけは生かすことにした。これが真実だよ」
「やっと、本音が出たか。お前の処罰はまだ先だがいずれわかる。お友達にも話しておかなくてはな」
「刑事さん、こういう俺でも面会ってできるのか?トムには自分の口から言いたい」
「上に聞いてみるとしよう。それまでお前は牢屋行きだ」
シャーロン刑事は立ち上がり、部屋を出ていく。パソコンを打っていたもう一人も片づけを始めた
そして手錠を取り出すと、ジャスティーの方に立ち上がらせる。ジャスティーはおとなしく両手を出して、手錠を閉めると部屋を二人で出た。
(本当の真実を話したところで、俺を信じてくれる奴なんていないだろうな。トムだってきっと強盗以外に殺人までしたって聞いたら、悪人扱いするだろうな)
ジャスティーはゆっくりと歩きながら少し、下を向いて鼻をすすった。


翌朝になると、トム宛に手紙が届いた。そこに書かれている内容を読むと、全身の力が抜けたような気分になった。
親友が殺人犯だったこと、本当に信じられなかった。マイケル校長にも手紙は届いていて事情は把握している。他の先生にはまだ口外しないことにした。
(ジャスティー、どうして)
手紙をくしゃくしゃにしながら床にたたきつけると、部屋を出る。カレン先生と共に子供たちは朝ご飯の時間だった。手を洗って教室に戻っていく。
シャンを見守りながらカレン先生はトムの方に行った。
「事情は聴かないけど、大変だったのね」
「もう彼を信じていいのかわからなくなった」
「面会には行った方がいいわ。きっと、彼だって何か理由があるはずよ」
「そうしてみようとは思うけど、対応の仕方がわからないんだ」
シャンの両親を殺したということに怒りとジャスティーらしくないという悲しみ、どちらの方で行けばいいのだろうか。
「先生」
シャンが点字ブロックの上を歩きながらこちらに来る。
「ジャスティスおじさんに会うの?」
いつかはこのことを言わなくてはならないのだろうか、シャンが大きくなって「君の両親は死んだんだ。犯人は僕の親友だった」て言ったらさすがにショックを受けるのではないか。それで、「言わなきゃよかった」と後悔しなくてはならないのか。
そんな未来は描きたくはない、でも隠し通せたとしてもいつかはわかる日が来るかもしれない。
「ダメだよ。悲しいお顔じゃおじさんも困っちゃうよ」
なぜ、悲しい顔をしているとわかったのだろうか。気がつくと目から涙が出ていた。
「どうしたらいいのかな。先生、どんな顔で会いに行けばいいのかな」
「どんな顔でも受け入れてくれるのが友達でしょ?」
トムはしゃがむとシャンを優しく抱きしめた。カレン先生も泣いていて、シャンにはよくわからなかった。
ガラッと教室のドアが開いて子供が一人出てきた。
「先生、早くしないとご飯冷めちゃうよ」
「あぁ、ごめん。今から行くから」カレン先生は先に行くねという風に手を振った。
「シャン、おじさんに何か言いたいことあるかい?」
「あの約束、必ず海に行こうねって伝えておいて」
「必ず伝えておくよ」
トムはシャンと一緒に教室に入っていった。

***

一週間が経ってから気持ちも少し落ち着いたトムはジャスティーの面会に行くことにした。
マイケル校長が一緒に行こうかと、心配そうに言ったが「大丈夫です」といつもの顔でそう言った。
トムはまず、孤児院からでると駅に向かう。ここから五つくらいの駅で降りて、バス停まで行って、ジャスティーのいるところまでバスで30分も乗っていく。
バスには一般のお客が乗っていて、孤児院の子達と同じくらいの子供も乗ってきた。
端っこの席で外を眺めながら、うとうととし始めていた。


「トム、明日でお別れだな」
「ジャスティー、最後に君と写真が撮りたい。あと手紙も必ず書くよ」
「俺たちはずっと友達だよな」
「何かあってら教えてくれよ。内緒なんてなしだからな」
「もちろんだよ」
「二人とも、こっち向いて。写真とるよ」
「あ、俺も撮る」
「僕も僕も」
たくさんの子供たちが集まってきた。
校庭の景色がだんだんとぼやけてきて、「お客様、お客様」と声が聞こえてくる。
目を覚ますと、バスの中だった。
どうやらトムは、孤児院でジャスティーが引き取られる前の日の夢を見た。
「最終駅です」
「あ、すいません。刑事施設はもう過ぎちゃいましたか?」
「一個前のとこですが、ここからそう遠くはないですよ。降りていただいて、10分歩いたら着きますよ」
「ありがとうございます」
トムはバスから降りて辺りを見回すと、刑事施設の名前が書いてある看板を見つけて、その方向に歩いていった。

刑事施設に着くと、シャーロン刑事が入口で待っていた。
「ジャスティーはどうですか?」
「事情聴取をして以来はずっとぼっとしている。あまり話さなくなったな」
ふと、小さい頃のジャスティーを思い出した。
あの頃もそんなにしゃべらず、校庭の木の下に座ったり、寝ていたりしていた。
二人は廊下を歩きながら一つの部屋の前に着いた。
トムは大きく深呼吸して、シャーロン刑事がドアを開けると、穴の空いたガラス越しの向こうにジャスティーがいた。
逮捕されたあの時より少し痩せて見える。
「私は少し外に出ているよ」
シャーロン刑事がドアを閉めると、トムとジャスティー、ジャスティーの近くの見張りの刑事だけになった。
「元気か?少しやせたんじゃないか」
「あぁ、なんていうか。食欲がないんだよ。面会の最初がトムでよかった。明日には二番目の兄貴が来るんだよ。母親も一緒らしい。会いたくないって言ったんだけど、向こうから会いに行くっていうからさ」
「そうか」
うまくあの話に切り出すことができない。考えてみたら、ジャスティーのことを責めることになる。この場でもめ事にはしたくない。
それを察知したのか、ジャスティーの方から話を出した。
「聞いたんだろ。俺の事、どんな風に言われたって仕方ねぇよな。トム、俺がどう見える?」
「シャンがね、ここに来るときに僕になんて言ったと思う?“いつもの顔を見せてあげて、困った顔は友達が悲しむって“。あんな子に正直に言えないよ」
「トム、いつかは事実を言わなきゃいけない」
「わかっているさ。どうして・・・殺人なんかしたんだよ。やっぱり、恨みなのか?」
ジャスティーは黙った。やっぱり、そうなのかとトムは思った。
動機がその理由でシャンの両親を殺した。決して許されることではない。
でも、どうしていいのかわからない。
「本当に恨みだけなのか?お前らしくない、他に理由があるはずだ。僕に教えてくれよ」
大きく深呼吸をしたジャスティー、目を閉じてしっかりとトムを見た。
「俺が話すことに嘘はないって言ってくれるか?」
「ジャスティー、君は嘘なんてついたことないだろ。やんちゃでぶっきらぼうでも汚い嘘はつかない。話してくれないか?」
「面会時間過ぎるくらい、長い話になるからな・・・手紙を書いて渡す。あのシャーロン刑事にも同じ手紙を書く」
「わかった。まだ、判決は決まってないんだろ?」
「どうなるかは知らないが、俺に何かあったらシャンには引越ししてどこか遠くへ行ったと、今は伝えてくれ」
トムが頷くと、シャーロン刑事が部屋に入ってきた。そろそろ、面会時間が終了するようだ。二人が同時に立ち上がる。
「仕事があるから短くなってごめんな」
「じゃあ、またな」
「シャンが必ず、海を見に行こうねって」
ジャスティーは何も言わず、部屋を出ていった。
トムとシャーロン刑事は部屋を後にして廊下を歩いた。
ジャスティーの言っていた真実とは何なのだろうか。
恨み目的で殺人を犯した奴には思えない。
はっきりとそう思えるのは、まだどこかで親友という気持ちを捨てていなかったからだ。
トムは入り口まで見送ってもらうと頭を深々と下げて、バス停まで歩いていった。


次の日、ジャスティーのところに二番目の兄ジョージと母親が面会に来た。
ジャスティーの母親はひどく痩せこけていた。目の下にクマができて、ずっと泣いてばかりだった。
「私、どこで何を間違ったのかしら。最初からわかっていたら・・・」
「やめろよ、母さん。悪いのは俺たちじゃないし、育て方とかそういうことじゃない、悪いのはこいつなんだ。兄さんが死んだって聞いた時、真っ先にお前を疑ったよ」
ここまで面会に来ても、ジャスティーには芝居にしか見えなかった。
いつもそうだった。
自分が生まれて家族と違うってわかった瞬間、扱いが急に変わった。
成績もよくなかったけど、努力だけはしていた。
でも、どんなに頑張っても両親は完璧を求めていたので、相手にされなかった。
兄たち二人は自分をいじめていた。
殴るとかけると言ったそういういじめではなく、嫌ないじめだった。
一番嫌な思い出で、覚えているのはビルが万引きをしたとき、真っ先に両親はジャスティーを叱った。
ジャスティーはもちろん否定はしたが、ビルを疑うやつはいなかった。
そうやって長い間、ジャスティーは耐えてきたけどあの雨の日、マイケル校長に会った日が限界の日だった。
「お父さんはね学校の教師を辞めたのよ。この子も学校で噂された。私たち一家はこの町にはもういられないわね」
「おばさんはどうしているの?」
「姉はあなたに会いたがっていたわ。でも、私が辞めたほうがいいって言っておいたの。きっとショックを受けるわ」
やっぱり、会いたいと思って自分をわかってくれたのは、おばさんとおじさんだけだった。
あの二人にはとても申し訳ない気持ちでいっぱいだ。自分を本当の子供のように大事にしてくれた。
本当の両親よりもおばさんといたときの方が、“家族“って感じがした。
引き取られたときは不安だったけど、大きくなってからは感謝しまくった。
(あの二人には悪いな)
「ジャスティー、お前は死刑だ。判決が出る前に俺が裁いてやる」
二番目の兄がガラス越しで大泣きしながらこっちを睨んでいる。ジャスティーは気づいていた、兄の口元だけは泣いていなかった。
それでも、ここで自分が何か怒ったら悪いのは全て自分。そのままの表情を崩さず、ただ黙っていることにした。
「そろそろ時間です」
面会時間もそろそろ終了と来た。時計を見ると、14時だ。
二人は立ち上がると、部屋を出ていった。ジャスティーも出ていくと、シャーロン刑事が外にいた。
「あの二人の目つきでわかる。だが、どう言えばいいか」
「刑事さん、もういいよ。どんな判決が出たって受け入れるよ」
シャーロン刑事は気づいていたのだ。ジャスティーが家族からあまり愛されていなかったこと、目を見ただけですべて悟ったのだ。
二週間後、ジャスティーの判決が出る。裁判でどんな結果が出ようと覚悟は決めていた。

***

ジャスティーは牢屋の中で手紙を書いていた。
見張りが行ったり来たりと歩き回っては時折、中をのぞいてくる。
「おい、お前、、何やってんだよ」
向かいの牢屋に入っている年上の男が声をかけてきた。
「なんでもねぇよ」
「どう足掻いたって、俺たちは死刑だよ。今頃、本当のことを言ったって何の意味もない。俺たちはただ、一日を大事に過ごすのさ。ちなみに俺も人殺しだ。いじめられっ子だった俺は復讐で殺人を犯した。どんなことがあっても悪いことは悪いこと、一緒に地獄で仲良くしようぜ」
「一緒になんざ行きたくもないね。俺が行くなら、お前とじゃないとこに行くよ」
「まぁ、遺書にならないようにな」
もうそこで言い返すのはやめた。
ジャスティーは窓から見える月を見上げながらトムとシャーロン刑事に手紙を書く。
これを読んだところで、信じてほしいとは思っていない。
誰かに“ジャスティーは悪くなかった”と思わせるために書いているわけではない。
ただ、伝えたい。せめてトムといつか大きくなるシャンには伝えたい。
仮に自分と会えなくなる日が来た時に、お互い知らないままよりも伝えてしまった方がいい。
(約束は守れなかったな)シャンの笑顔を思い出した。

6.君の目になりたい

二週間後、孤児院の朝。まだ、裁判の判決は出ていない、どういう結果が来るかもわかっていなかった。
シャンがトムの部屋で聞いたのは、ジャスティーにもう会えないことだった。
「ジャスティスは、引っ越さなきゃいけなくなったんだって。仕事の関係でね」
「そうなんだ。お仕事だから仕方ないよね」
裁判までの時間はあと少し、もし死刑だったらシャンには二度と会うこともできない。
それをいうことになるいつかを想像すると・・・自分は苦しくなりそうだった。
「先生、大丈夫?」
「あぁ、ごめんね。そういうわけだから、何かあったら僕から伝えるよ」
シャンは何かを思い出したかのようにトムの手を引っ張った。
「僕のロッカーまで一緒に来て」
二人は廊下を出て多目的室に来た。みんなのロッカーが後ろの方に並んでいる。シャンは扉の近くだった。
ロッカーの中から画用紙を取り出すと、トムにそれを渡した。
中を開くと、男の人の絵が描いてあり星みたいな柄がまわりに描いてあった。
「これは?」
「おじさんの顔、あの日に触った感覚で描いたんだ。似てるかな」
ジャスティーの顔と雰囲気が似ている絵、正義のミカタのイメージで星を描いたのだ。
「ジャスティスおじさんに渡してくれる?いつか目が見えるようになったら会おうねって」
トムは泣きたくなったのをこらえて息を吸うと、「わかった。渡しておくよ」と笑顔で答えた。
「トム先生、あなた宛てに郵便が届いているわよ」
小走りで廊下を渡り、カレン先生が二人のいるところに丁度きた。

***

裁判の時間が来ていた。ジャスティーは両手に手錠をして、裁判官を見ている。
シャーロン刑事はジャスティーの傍にいて、とジャスティーの家族も来ていた。
「ジャスティー・オーウィル、判決は死刑だ」
それを聞いた時、力が抜けそうになった。けれど、表情は崩さずただ黙っていた。
「これにて裁判を終える」
裁判官が帰っていくと共にそこにいる家族も部屋を出る。兄のジョージがジャスティーの方を見て、口元に笑みを浮かべたのを見逃さなかった。
「これで本当のお別れだな」
ジャスティーの方はむしろ、すっきりしていた。死が怖いとは思うけれど、あの家族ともう会えなくなるのならそっちの方がいいとも思っていた。
「刑事さん、ちょっといいかな」
「話だけは聞いてやる」
部屋から出ると、牢屋に向かう途中でジャスティーが話だした。
「俺が死んだら遺体はどうなるんだ?」
「火葬されるか、私にもわからない」
「俺の目をさ、シャンにあげられないかな」
ジャスティーはシャンのドナーになろうと考えていた。
どうせ死ぬのなら最後にシャンを助けたいと思っていた。
「殺人犯の目が入っているなんて知ったらどうなる?」
もちろんドナー者の答えは言ってはいけないけれど、何かしらでそう感じ取った時にシャンがどう思うのか。
「殺人犯が最後に人を救いたいって思っちゃいけないのかよ」
「そう思うならなぜ、こんな事件を起こしたんだ?」
ジーパンのポケットから白い紙を出した。
「トムにはもう郵便で出しておいた。これは刑事さん宛だよ」
その白い紙を受け取ると、あらかたざっと中身を把握して顔をあげた。
「おい」
そう呼びかけるころには牢屋の方にジャスティーは向かっていた。


トムが手紙を読み終わる頃には、ジャスティーの死刑判決が届いていた。
マイケル校長も少し悲しそうな顔をしている。
「トム、ジャスティーのことじゃが」
「分かっています。この手紙を読んで、やっぱりあいつは悪い奴じゃないっておもいました。殺人は悪いことです。でも、彼がそれをしなかったらシャンは今ここにいなかった」
「私も面会に行くことにした。どんなことがあっても、ここで育った子には変わりはない。みんな私の子みたいなもんじゃ」
トムは泣きながらマイケル校長と抱き合った。
「僕も最後に会いに行きます。これを渡さなくちゃ」
シャンから預かったジャスティーの似顔絵、処刑の日までには渡しておきたい。
渡しても、いずれ死んでしまったらトムのところに戻ってくるけれど、見せてあげたいと思った。初めての彼の似顔絵はかっこよく書かれていたからだ。
「トム、ジャスティーからの手紙を私も読んでもいいかな」
内緒だとは言われてもいない、マイケル校長はジャスティーの引き取り主だ。
他の先生達には伝えないでもマイケル校長だけは知っていてもいい。
「他の先生には口外しないでください。手紙にそう書いてありました」
「約束しよう」
二枚の白い手紙を受け取ると、校長室の机の椅子に座って読み始めた。
それはシャーロン刑事にも書いた同じ手紙、ジャスティーがシャンの両親を殺したあの日のことが書かれていた。

***

“トム、俺がこの手紙を書いてお前のところに届くころには、裁判で判決が出ているころだろう。死刑になると思うがまあその時は仕方がない。
シャンに会えなくなるのは寂しいが現実は厳しいな。
約束だけは守ってやりたかった。
話は戻すけれど、俺はあの日シャンの両親を殺した。
その日は結婚記念日だった。俺は結婚式には自分から欠席したが兄貴が新築に来いと言ったんだ。それで、仕事も休みだった日に会いに行ったんだ。
俺の実家から隣の隣町で、子供もできたと聞いていた。
「結婚おめでとう。お祝いは花でよかったかな」
「ジャスティー、来てくれたのか。さぁ上がってくれないか。我が家にようこそ。リビングで待っていてくれないか」
玄関から上がって、リビングに来るとひどく荒れていた。
壁には引き裂いたような敗れた後、ごみが散乱していて少し匂う。
「これは一体どういうことなんだ?」
誰かが暴れまわらない限りここまでひどくはならない。
「うちの子を連れてきた。シャンだ」
抱きかかえられた子には、腕には痣ができていた。
「奥さんは?」
とりあえずはこういうことには触れないでおこうと思った。もし何か言って下手に刺激してしまったら、この子共が危ないそう感じ取ったのだ。
「いるよ。二階にね。連れてくるからこの子を」
ジャスティーはシャンと名乗る子を抱っこする。青くきれいな目をした男の子、一体どうして痣ができたのか。
転んだにしては不自然な場所にある。
まさかとは思うがあいつがやったのか?実の息子なのに?
数分後、ビルが二階から母親を連れてきた。
奥さんはなんだかおかしかった。顔は笑っているけれど、目元は笑っていない。
「私の子、シャン。私の子、た・・・た・・・たす」
何か聞き取れない言葉でジャスティーに言っているけれど、わからなかった。
「緊張するよな、子供を見せたのはお前が初めてなんだ。家族には生まれたってことだけ話したんだ。どうだい?お前に似ているんだよ。できそこないなところがな」
「は?お前今なんて」
「こいつ、目が見えないんだよ。それを医者に聞いた時、完璧じゃないって思ったんだ。ほら、覚えているだろ。お前だって完璧じゃなかった。勉強もできない、何も取り柄がない。誰かさんにそっくりだって。だから、行動で教えるのが一番なんだ」
そう言えば、子供の頃にビルの友達が家に遊びに来ていたことがあったなぁ。
ジャスティーが孤児院に行く前、その子が内緒で教えてくれたんだけど(ビルはトイレに行っていてジャスティーがどんな友達が来たのかなと様子を見に来た時)、ビルとは偽りの友達らしいということを言った。実はこうやって一緒にいることになったのは、自分が学校で起こした小さな過ちからだった。
その子たちはちょっといたずらで先生の車に落書きをしたのだ。
その先生はけっこう厳しくてみんなからあだ名をつけられるくらいだからだ。
その落書きで、ふと間違えてビルの父親の車にもやってしまったのだ。
これがたまたまビルにバレて、内緒代わりに家来になれと言われたのだ。
「ひとつ言わせてもらうが、この痣はその“行動とやら”なのか?」
ビルは指をさして唾を飛ばしながら大きな声で話し出した。
「体には叩き込むのが一番だと思ってな。トイレの時にな。ママがあわてんぼうでできなかったから俺が教えてやったのさ」
奥さんはずっと黙って何かぶつぶつと言っている。
「結婚する前は明るくて素敵な人だったが、一緒に暮らしてからおっちょこちょいってわかったのさ。まあ、こいつお嬢様だしな」
奥さんはビルが大学の時に出会った同級生で、ずっと付き合ってきたのだ。
それなりにいいお嬢様で彼女は保育士になるのが夢だったという。
大学を出た後、ビルは教師、彼女は仕事に就いてしばらくは会えないまま連絡だけは取っていた。保育士の仕事をやめてからビルと結婚したのだ。
「暴力じゃない、これは教育だ。ほら、昔はおしりを叩いてでも教えるとかあっただろ。だから、太ももに軽くつねったのさ。そしたら言うことを聴くようになったのさ」
「最低だな」
小声で小さく答えると、ビルがこっちに近づいてジャスティーの胸ぐらをつかむ。
「あぁ?なんだって?教育っていうのは家庭によって違うだろ」
「お前は多分一からやり直した方が良かったのかもな」
「偉そうに言うな、なにもできないくせに。頭が悪くて、成績も悪くて、性格も悪くて悪いことだらけじゃないか」
大きな声で怒鳴るとシャンが泣いてしまった。
ビルはリビングに行くと、酒を持ってきて一気飲みした。
いつからだろうか、アルコール依存症になっていたのだ。
「できない母親、できない子。気づいた時には遅かったのさ」
シャンをジャスティーから自分の腕に戻そうとしたがジャスティーは渡さなかった。
「おいおい、冗談よしてくれよ。俺の子なんだぜ」
「嫌だってよ」
ビルはリビングの近くにあるキッチンからナイフを取り出すと、こちらに向けてきた。
「どうするつもりだ?」
「お前を呼んだのは他でもない、その子と一緒に死ぬべきだと。似た者同士、寂しくないようにな」
ナイフでジャスティーを煽るように脅す。
「この子には何の罪もないだろ」
シャンを地面に置いて、ビルの方に向かうとナイフの方の手を抑えた。
「前から嫌いだったんだよ、お前がな。生まれてこなきゃ楽しい家庭だった。お前が生まれてから一転した。災いの子だったのさ」
「黙れ、黙れ」
ジャスティーの背丈はビルより低かったが、力の差はジャスティーの方が強かった。
ジャスティーの仕事は工場で力仕事をしていたので体力は強かった。
抑えた手からナイフが地面に落ちた。ビルも負けてはいられなかった。
押し倒してはナイフを拾って刺そうとする。
またもやシャンが大きな声で泣き出した。
「最初がいいみたいだな」
ジャスティーから離れると、シャンの方に行く。ジャスティーはシャンの方に急いで向かうと前に立ち、もう一度ビルを抑える。
そして、ナイフを取り上げると咄嗟に刺してしまった。真っ赤な血がたくさんそこらに飛び散り、刺さったのは心臓の部分なのですぐにバランスを崩すとその場に倒れた。
「おい、嘘だろ」
ナイフを投げ捨てて、ビルの体をゆすったが動かなかった。
「あ」
母親がこちらに来ると投げ捨てたナイフを取って自分に向けた。
「馬鹿なことはやめるんだ」
「私はこの子が生まれたとき、幸せでした。可愛い私の子・・・でも、ビルは二人で暮らすうちにだんだん変わってきて、生まれるってときにこの子を見ては医者に目が見えないことを聞いた時、もっと怖くなりました。いつかは私が殺してやろうと思いましたが、ダメでした。お願いです、この子を代わりに育ててください。私には無理です」
「子供には母親ってもんが必要なんだ」
「私のこの体(Tシャツをめくって背中を見せた。)には育てられません。もうだっこする力もないの。(自分の腹を突き刺した)。あなたが育てられなかったら誰かのところで・・・生きてね、わ・たし・の・・・シャン」
二人が死んだあとはシャーロン刑事から聞いた通り、部屋を荒らして、シャンを連れて逃げた。すぐに今あるお金でシャンに新しい服(飛び散った血がついたので)と、粉ミルク、おむつを買った。
生活的には困ったから強盗して、住む家がないから空き家で過ごした。そうして暮らしているときにトムのことを思い出したんだ。
マイケル校長が前にトムが孤児院で勤めてるって教えてくれてさ。
特にこの子はちゃんとした暖かいところにいさせてやらなきゃと思って、あの雨の日に連れてきた。
この話は信じなくてもいい。誰も知らないし、お前と刑事さんにしか話してない。
俺は死刑になってもいいと思った。その子のためならな。
判決はわからないがこの手紙が遺書になっちまうかもな。
自分の名前が口外されるときはキルの方にしてと、刑事には頼んだ。
犯罪者と同じ名前なんて知ったら悲しいだろ。
でも、いつかは知ることになるだろうな。
もし俺が死んだら、シャンに俺の目をあげたかった。
じゃあな、トム。元気でな。
いつかこの話を大きくなったシャンには、お前からうまく伝えてくれ。
海を一緒に見たかったなぁ。
                        ジャスティー・オーウィル”


「トム」
「マイケル校長」
気づいたらトムはまた泣いていた。
「ジャスティーを今でも友と思っているのかね?」
「もちろんです。できれば彼の言うとおりにシャンを幸せにしたいです」
「ジャスティーは幸せじゃのう。こんなにいい友はいない、普通なら誰しも離れていくはずじゃ。でも、今でもあの子は私の大事な子だと思っておる」
「ありがとうございます。マイケル校長」
二人は抱きしめ合うと互いに涙を流した。
処刑の日までまだ時間はある。最後には悲しい顔でお別れはしないように。

7. 大きくなったシャンへ

ザクッ、ザクッ、ザクッ、砂の音がする。
ざあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっと大きな波の音、大きく深呼吸すると潮の香りがする。
「これが海なんだ」
貝殻を拾って、耳にあてると波の音が聞こえてきた。
「気持ちいな」
青い目の向こうには、青い海が広がっていた。

***

あれから5年が経って、シャンは11歳になった。
目の手術を受けて、やっと見えるようになるまでは時間がかかった。
その間、仲の良かった友達は引き取られて、孤児院も長くは続かなかった。
マイケル校長が亡くなったのだ。
ジャスティーの死刑が執行になって翌年に後を追うかのように・・・。
しばらくは、残った先生達で子供達と一緒にいたが経営に厳しくなり、近くの別の孤児院と合併することになった。
カレン先生は引越しすることになり、孤児院を辞めてしまった。
「引越し先はここから遠くなるし、孤児院もない街なの。でもね、ベビーシッターになろうと思っているの。ここで学んだことだって、きっと役に立つはず」
「そうだね、僕はここに残るよ。約束は守らなきゃってね」
「シャンのことね。時間ができたらここにまた来るわ」
「ありがとう。元気でね」
合併して一週間後にカレン先生は町を出ていった。
シャーロン刑事はというと、死刑執行からは連絡は取っていない。
シャンの描いた絵は渡したと、その一言を最後に会うことはなかった。
手紙のことは口外せず、トムとシャーロン刑事の中にしまっておき、ジャスティーが死んでテレビで放送されたときは、“キル”の方の名前だった。
ジャスティーのお墓に花を添えにも行った。
「僕の友達、ジャスティー・・・ジャスティス」
かつての友達だろうか、それとも育ててくれたおばさんとおじさんだろうか。
お墓にはトム以外の花も飾られていた。
それからトムのお金で、シャンの目を手術することにした。
ドナーが誰なのかはわからない、知ってもいけない。提供してくれた人には感謝しなきゃな。
シャンも目が見えるようになったときは、鏡を何度も見返して「この顔が僕なの?」ってトムに言った。
「シャンの顔だよ」
すごく、すごく不思議だったのだ。似顔絵は触って描いていたけれど、実際目で見えるようになると、違う部分はある。
でも、まずは言わなきゃいけないことがある。
「ありがとう先生。ありがとうお医者さん、ありがとう、僕の目の人」
その日はとてもいい天気だった。

***

「僕ね大きくなったから絵を描く人になろうと思っているんだ。僕みたいに困った人たちに勇気を与えられるような絵をね、描きたいんだ。あの人みたいに・・・」
しゃがみこんでは何か文字を書いている。
「シャーン」
トムが大きな声で叫んだ。振り返ると、トムと新しくできた友達が砂浜の向こう、海の家の近くにいた。
そうだった、今日は孤児院(年長者)の遠足だった。
シャンは立ち上がると、先生たちの方に走っていった。
砂浜に描かれた“THANKS”、波によってさぁっと消えてしまった。

ジャスティス~君との約束~

今回はミステリーっぽく書いてみました。
初めてなので全然、ミステリー感がない気がします。
登場人物が多いですが、悪魔でも主人公はシャンとジャスティーです。
特に考察はないですが、ちょっとした解説です。
ジャスティーとマイケル校長が出会った日とシャンとトムの出会った日は、同じ日なんです。
雨の日という言葉で表現しています。
名前もうまくなるようにしてみました。シャンは海、ジャスティーは正義、シャーロン刑事はシャーロックホームズメインの三人はそうしてみました。
あと、長男のビルは悪魔を英語にしてみたら意味が分かります。
ジャスティーの言った「シャンに目をあげたい。救いたいと思って悪いのか」、もしもシャーロン刑事側の立場になったらどうしますか?
この答えは心の中で問いかけている風に書きました。
最後の砂浜の文字”THANKS”はどういう意味なのかは考察とします。
波に消えていったがヒントです。簡単だと思います。
次回はまた霊子さん風の奇妙な雰囲気を書こうと思っています。
後ほど、あらすじだけはあげます。
では、おしまい

ジャスティス~君との約束~

孤児院にいる6才のシャン・オーウィルは目が見えない。 なぜ、自分が孤児院にいるのかわからない、先生は「孤児院の前で捨てられていた君を保護した」という。 ある日、町ではジャスティーという恐ろしい犯罪者が逃げ回っていた。

  • 小説
  • 短編
  • サスペンス
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2019-05-14

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