Burn it Down!
このお話を読むにあたっての注意
①米印は、ト書きです。読まないでください。
②米印のないカッコは、読んでください。登場人物のキャラクターを表しています。
③男女比が2:2の、4人用、プチ声劇です。
Burn it Down!
〔登場人物〕
男性:健介(けんすけ)、竜司(りゅうじ)
女性:由梨(ゆり)、順子(じゅんこ)
(※ここは、とある高等学校。放課後、教室に一人残って、黙々と作業をしていた健介。すると、そこにやってきたのは、担任の順子。)
健介「…あ、ちょ、先生。なんで取り上げるんですか!!
僕、何か悪いことでもしましたか??」
順子「ちょっと、健介くん?これは、一体、何のマネかしら?(怒)
謎の印刷物を手に、制作しているようだけど…。」
健介「あ、先生。これ、ですか?
これは、僕の知人のために作っているんです。」
順子「それはわかったけど、作っているものの正体は何かしら?
危険なモノだったら、即没収で、親を呼び出すわよ?(※イライラ)」
健介「そんなに危険なモノじゃないですよ。
これは、“フュエルグレイターズ”と呼ばれる、対戦型のカードゲームです。久しぶりに、やりたいなと思い、1から、自分流に、手作りをしているんです。…あ、別に、販売するとか、そういうものじゃないですよ?個人で楽しむものとして作ってますから。」
順子「…ならいいけど。(ハァ…)
健介くん。貴方、分かっているわよね?この高校は、全国でも指折りの進学校だってこと。本当は、遊びなんてもんは全てほかって、常に勉強モードにいてほしいってわけ。一切、ホビー関係のことをするのはやめてほしいところだけど、それはそれで、メンタル面に悪いからね。
やってもいいけど、ほどほどにしなさいね?それと、もうすぐ、施錠(せじょう)の時間だから。」
健介「はーい。」
(※時を同じくして、別の高等学校。この学校に存在する、カードゲーム部の一員であった竜司。既存のカードゲームを、海外のも含めて、ほぼコンプリートしていた彼は、新たな試みを模索していた。)
竜司「…はい。はい。先輩、そのことに関しては十分に承知しております。ですが、いずれのカードゲームも、自分の中ではやりつくした感がありまして。以前、実際に、私のカードゲームコレクションをお見せしましたよね?写真でもそうですし、実物を持って来て紹介したりと。
言葉を変えると、“飽きが来ている”のです。ですから、どうもやる気が入らなくて困っているんです。
…え?『手作りカードゲームというものを知っているか?』ですって??
…はい。自分も、何度か言葉は耳にしたことがありますし、知人で、実際にそれを行っている方がいらっしゃり、そのカードを直接触れたこともあります。ですが、それは、自分の中では“カードゲームにおける異端(いたん)”だと私は考えています。“カードゲームは、販売しているものが全てである“というのが、カードゲームにおける正当な考え方だと思っているので。
『そんな口答えはどうでもいいから、自作カードを製作しろ。』ですって?『しかも、それをしないのであれば、この部活から、強制追放させる。』ですと?じゃあ、何を模倣すればよいのでしょうか?先輩?
『試しに、フュエルグレイターズをやってみるといい。』ですって?
…わかりました。やってみます。」
(※帰宅後、インターネットで、噂のブツがどんなものなのかを調べ漁る竜司。どうやら、結構簡易的なブツであり、誰でも作れそうなようだ。)
竜司「これが、先輩方が口に出していたブツか。凝って(こって)いるものはそれなりに力を入れているのであろうが、俺は、そこまでガッチガチにはしないからな。あくまで、参考程度に。
…んで?共通してみられるルールとしては、“カードは、角を丸めるとよいが、角ばっていてもかまわない。ただし、サイズは、本物と同じであれ。”そして、“テキスト文章は無くてもよいが、HP(エイチピー)や能力、効果は、最低限でも載せること”ね。
いっちょ、やってみっか…。」
(※翌日。健介は、大学のAO入試の願書を提出し、勉強もやり、やっぱり作成。)
順子「健介くん。貴方、これで5束目(たばめ)よ?どれだけ製作したらいいのかしら?」
健介「まだまだ足りませんよ。
…よし。これで、5束目完成!枚数換算させて、400枚!10束くらいは作って、スペアカードとして、ハーフデッキくらいかな?」
(※ここでの“ハーフデッキ”とは、20枚のことである。)
順子「え?!まだ作るの?!」
健介「…えぇ、はい。」
順子「アンタ、いい加減にしなさいよ!(怒)
AO入試には受かるかどうかすらわからないのに、そんなんでいいの??これ以上やるなら、本当に没収しますから!!今回だけは、大目に見てあげるから。
わかったわね?!(※ガチギレ)」
健介「は、はい…。
(後は、家でのんびりとやっておきますか…。これ以上、面倒になる前に。)」
(※あれから、2週間が経過し、長期休暇に突入。部活動も引退し、健介と竜司は進学先が確定。
そして、ここは、竜司の自宅。愛する彼女である、由梨が遊びに来た。ちなみに、彼女と彼の進学先は同じである。)
由梨「りゅうちゃん♪こっち、む・い・て? ちゅ♡」
(※りゅうちゃんとは、竜司のこと)
竜司「由梨♡ ちゅ♡」
由梨「今日も今日で、熱心に作ってるねぇ。」
竜司「…よし、パーフェクト!!これで完成!!」
由梨「は、早っ!」
竜司「勉強の合間に、少しずつ作ってたからね。これで、何とかなったぜ。」
由梨「それで?どうするの?そのカードたち。」
竜司「一度、自分の作ったデッキ同士を戦わせてみたいんだ。“テストプレイ”をしたいってわけ。
丁度、雨も降ってきちゃったし。1、2時間くらいで止む(やむ)らしいから、“俺と、付き合ってくれよ”。」
由梨「“だ~め♡”って言ったら?」
竜司「…、こうしちゃう!
モフモフ!ワシャワシャ!」
由梨「もぉ~♡
私も、やり返すんだから♡」
(※軽く2人でじゃれあった後、手作りカードをプレイ。)
竜司「シールドトリガー発動!『ハイパースパーク』!相手の場の、すべてのモンスターカードをタップさせる!」
由梨「くっ…、ターンエンド。」
竜司「俺のターン。ドロー!」
由梨「(やばい、このままだと負けちゃう。)」
竜司「(なんでこのタイミングで、このカードなんだよ…。全然使えないじゃん。手札の呪文も、使えそうにもない。)
マナをためて、ターンエンド。」
由梨「私のターン。ドロー!
(やったやった!これで、全て決められる!)」
竜司「(あ、出しちまったか…。)」
由梨「マナコストを払って、進化!『精霊の騎士(せいれいのきし) セルリウス』!
これで、竜司は、光のカードしか出せないよ♡
…確か、今の、そのデッキには、光のカードが山札にはないよね?
さぁ!いっくよ~!!」
(※竜司のシールドがすべてはがされて0に。)
由梨「セルリウスで、とっどめ♡」
竜司「負けたぁ~。」
由梨「勝った勝った! 今夜は、りゅうちゃんのおっごり~♪」
竜司「はいよ。セイテリアにでも行こうか。」
由梨「わぁ~い!やったぁ~!」
竜司「テストプレイに付き合ってくれて、ありがとう。良いデータが取れたよ。
それに、由梨には弟がいるから、一緒にプレイをしていて、ゲームのルールを知っていてくれていたから、本当に助かったよ!食事の後は、ケーキでも買おうか。」
由梨「ケーキ! わぁ~い!」
(※おもむろに、外を眺める竜司。雨が上がり、日が射してきた。)
竜司「さぁ、雨もやんだし。 行こっか?」
由梨「うん!行く行く!」
(※一方、その頃。健介は、デッキ、及びスペアカードを作成して以降は、勉強に一辺倒。順子先生に言われたとおり、通学中も食事中も、単語集や一問一答集を肌身離さなかった。)
健介「…あ、“フェイルブック”のダイレクトメールに、何かメッセージが来ている。
どれどれ…?
…あ!竜司からだ!」
竜司『ケン、久しぶり。大学進学、決まったんだろ?俺も決まったさ!
要件なんだけど、いっちょ、カードバトルでもしないか?“手作り”カードでな!お前も、先生にあーだこーだ言われながら作ってたんだろ?俺も、部活動の先輩に、“強制的に”やらされたけどな。(笑)
久しぶりに会うついでに、手合わせをしようってわけだ。一週間以内に回答をくれたら、助かる。よろしくな。』
健介「よし。
『リュウ、久しぶりだな。三日後の土曜日はどうだ?ちょうど、その日は何もないし、翌日も暇。俺の家に来いよ。彼女のいるお前とは違って、独身の生活さ。親も、旅行でどっかに行っちまうから、泊まり込みでも構わないさ。何なら、御前の彼女も連れて来いよ。料理が上手いんだろ?キッチン、使わせてやるよ。
それじゃあ。』」
(※そして、当日。インターホンが鳴り、それに応じる健介。現在、午前8時。)
竜司「来たぜ、久しぶりにな。」
由梨「…あ、ど、どうも。」
健介「よぉ、リュウ。久しぶり。
そして、彼女さんも、ようこそ。ゆっくりしていってくれ。」
由梨「健介さん、初めまして。由梨と言います。よろしくお願いします。」
健介「由梨さん。こちらこそ、よろしくお願いします。」
竜司「中、入っていい?」
健介「あぁ、いいとも!どうぞどうぞ!」
(※カップルの荷をまとめ、早速、遊び始める2人。)
健介「さぁ、やるか!」
竜司「OK♪早速始めよう!」
由梨「はい!私、審判やりま~す!」
竜司「しっかりと、見ていてくれよ!」
由梨「うん!」
健介「おいおい。いきなりいちゃつくのは、ナシだぜ?」
由梨「健介さん、用意はいいですか?」
健介「準備オッケー!いつでもどうぞ!」
由梨「りゅうちゃん♡始めてもいい?」
竜司「いいお♡ゆりたん♡」
健介「お前らー!今から対決するのに、なぁにいちゃついとんじゃー!(怒)
(# ゚Д゚)ムキー!」
由梨「頑張ってね♡ ちゅ♡」
竜司「うん!頑張る! ちゅ♡」
健介「(もう、頭に来た。この試合、絶対に勝って、ギャンギャン泣かせてやる。。
…俺が勝って、あんたらを焼き焦がし(やきこがし)たるわ。)」
由梨「ゴホン。(※軽く咳き込む)
では、健介さんの先行(せんこう)で、試合、開始!」
健介「アイツらを、燃やし尽くせ!俺!」
竜司「燃え尽きてしまうのは、貴方ですよ!」
(※その後、由梨のお手製ランチに舌鼓〈したつづみ〉をうちつつ、健介は、母からのメールを見る。
両親とは別の家で暮らしている健介。旅行に出るということ以外は、何の話も聞いていなかった。)
順子「健介、ごめんね。
母の私は、ダーリンと、三泊四日で、四国の方に行ってきます。行き先のことはまだ伝えてなかったから、このメールで伝えるわね。何か、お土産を買ってくるから、それで許してね。家で友人を呼んで楽しむのは自由だけど、お酒を飲むことや、たばこを吸うなんてことは、絶対にしないでちょうだい。
それじゃあ、楽しんでくるわね。
愛してるよ♡けんちゃん♡」
(※けんちゃんとは、健介の事。)
健介「www」
竜司「ん?どうかしたか?健介。」
由梨「?」
健介「おいw。これ、見てくれよw。」
(※竜司と由梨が、健介のメールを見る。)
竜司・由梨「wwwww」
健介「はぁ…。(※溜息)」
竜司「すまんがワロタw」
由梨「マザコンなの?w」
健介「うっせえわ!お前ら!w
(…結局、俺だけが燃え尽きちまったじゃねぇかよ。
…俺も、早く彼女探さなきゃ…。)」
END
Burn it Down!
訂正情報
・7月19日(金) 権利情報を変更