僕は過食する。

僕は今日も、過食する。
何で、と言われても分からない。
きっと、心の中が崩壊していて、空っぽだからだろう。
僕は、色味のない瞳で、頭上を見上げる。
空は青くて、汚れもない。
まるで僕とは、大違いだ。
僕の汚れは、取れることがない。
こびりついていて、こすりとっても、
洗い流そうとしても、決して取れない。
僕はくりかえしくりかえし、同じ夢を見る。
誰かをきずつける夢だ。
そうして明日がくる。来なくてもいい、明日が。
僕を幽閉して、罰し続ける無限の朝が。
僕は掌を合わせて、祈りを捧げる。
決して受け入れられることのない祈り。
拒まれ続ける、祈り。
それでも僕は生きている限り、許され続けなければならない。
誰かに「もう、いいよ。」と、言われても
祈り続けなければならない。
きっと僕が許されることなどないだろう。
きっと生まれてしまったそれ自体が、
許されない根源的な原因なのだから。
ならば死ねばいいか、といえば
人は嘲笑うだけでそれは真っ当な命とは言えないから、
僕は今日も、狂い、息をする。


母親がまるで感情の窺い知れない瞳で、僕を見る。
僕はまるで学習していない無知な瞳で彼女を見る。
僕はその罪で、母親からぶたれる。
気持ちが傷となって、叩かれた後に、蓋ができる。
そうして、僕と家族は同じことを繰り返す。
何も変わっていない。何も変わらない。
何も変わることはない。
ならば、早く、外へ出よう。
そうして、あの見えない誰かの背中を追い続けよう。


僕は、生きている。
そうして、空を見る。
空には知らない鳥が、滑空していて。
僕の知らない風景が、そこにはあった。

僕は過食する。

僕は過食する。

作者が頻繁に過食するもので、決して慣れたり楽になったりするものではないのですが、 「それでも頑張って生きてるよ。」といった感情を込めた文章です。 読んで頂けると、幸いです。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-10-16

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