一分小説 家畜
一分――で読み終わりますかねこれ。
2010年1月1日。
南極の奥底で、氷漬けになった謎の生命体が発見された。
その生命体はとにかく白かった。球体を本体とし、それを中心に六つの触手が伸びている。それはうねったまま氷漬けになっており、元の動きを予感させる。
今見たら空色になっていた。
色が変わっているのであった。白、空色、茶色、海色、緑色、白、淡く光る黄色……。妙な周期で色が変わっていた。それは、この生物が生きていることを主張しているかのようだった。
そして、先程この生命体の風貌を記したが、それは『僕にとっての』見た目だ。
どうやら人によって変わるようだ。ゾウに見える者、母親に見える者、髭を蓄えた老人に見える者、……多種多様だ。
カメラで撮影してみたところ、そこには『白い靄』だけがあった。これは本当に生命体なのか?
発見から六日目。その生命体を研究するため、人々は氷を溶かし始めた。その生命体はゆっくりと姿を空気にさらしていき、全ての氷がなくなったところで、球体の真ん中にある眼が開いた。
「寝ていた」
脳内に声が響く。この生命体の声だとすぐに分かった。
「今は何日目かね?」
近くにいた作業員がビクンと鯱張った。そして指折り数えてこう答えた。
「……六日の、午前です」
「そうか。休むにはあと1行程だ」
空に『白い靄のようなもの』が大量に増えていく。それは生命体によく似ており、後々『雲』と呼ばれるのだがこのことはすぐに忘
一分小説 家畜
読み終わりました?
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