元号あやかり神経症


 美しく咲き乱れていた桜も緑の葉に変わり、新入生や新社会人がそろそろ新生活にも慣れ始める時期。毎年のように訪れる時期なのだが、今年の場合は少し違っている。



 もうすぐ元号が変わるらしい。



 何かにつけて人は「平成最後の○○」と言い、いつも通りの出来事をまるで神聖化するかのように名付けているのだが、それが街中のありとあらゆる場所で、はたまたネット上やテレビでも目にするようになると正直薄ら寒いと感じるのは、僕が一般の人間とは異なる捻くれた感性を持つからなのかもしれない。


 平成が終わったら今度は「令和最初の○○」なんて日本中で言い出すのだろうと考えると、世間との関わりを絶って一ヶ月ほど山にでも篭ってしまおうかと思うレベルでもう見たくない表現だった。美味しくもない料理を無理矢理食わされて満腹になったようなものだ。胃がもたれる。


 食べ過ぎると吐きたくなるというのが人間の体の一般的な反応なので、僕も例に漏れず思わず吐き出してしまった。












「今日を平成最後のSNS閲覧日にしよう」

元号あやかり神経症

元号あやかり神経症

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-04-29

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