あと、もう少しだから……
この作品は、マグネットの企画に投稿した物ですが。
余りのアクセス数の無さに、見切りを付けて星空に投稿し直した物です。
(星空よりも酷いアクセス数に、結局、マグネット自体を辞めてしまいましたが)
星空に投稿する作品としては、前作と内容がモロ被りしてしましますが。
どうか御容赦くださいm(_ _)m
春も深まった、5月のある日の夜。
(ガサゴソ、ガサゴソ)
「あれ〜、無いなぁ〜」
私は自分の部屋で、机に座り。
引き出しを開けて、捜し物を探していた。
「無いな〜、ん?」
(ゴソッ)
「へえ〜、懐かしいなぁ」
机の引き出しを全部開け、引き出しの奥を探っている内に。
何気なく出てきた物を見て、思わず声を出した。
**********
(コンコンコン)
「イイよぉ〜」
机から出てきた物を持って、私はある部屋へと向かう。
そして、ドアをノックしたら、丁度いたらしく中から声がした。
(ガチャッ)
「あれ?
姉さん、どうしたの?」
ドアを開け中に入ると、部屋の中には人が座っていた。
中に居たのは、男の子で。
目が僅かに垂れたのが特徴の、整った顔立ちの男の子で。
そんな子が、ベッドに背を凭れながら、本を見ていた。
ドアを開けた途端、私を見た男の子が。
私を見て、そう言う。
「陽ちゃん、何かしていた?」
「ううん、ただ本見ていただけだから。
どうしたの?」
「さっきね、捜し物をしていたら。
机の引き出しから、これが出てきたの」
「あっ、それヒョットして」
「そっ、万華鏡。
それも、あの時のね」
私が男の子に、持ってきた物を見せたら。
それを見た男の子が尋ねてきたので、そう答えた。
・
・
・
男の子の名前は、陽太くん。
私の弟である。
弟と言っても、血の繋がりは無く。
義理の姉弟であるが。
あれは、私が小学三年生、彼が小学一年生の頃。
私は母から、“あなたに合わせたい人が居るの”と言われて。
初めて、後の父親となる人と会う事になった。
その時見た相手の感想は、良い人そうで。
“やっと、お母さんも幸せになれるんだな”と思ったけど。
特に、それ以上の感情は湧かなかった。
しかし、一緒に来ていた、相手の息子と言う子を見た時。
私は衝撃を受けてしまった。
なぜなら、昔から、弟が欲しかった私は。
目の前の子が、私の好みに“ド真ん中ストレート”で有ったからだ。
そして、それ以降、私は彼に心を奪われ続けていたのであった。
・・・
初めて会ってから暫くして、両親の結婚を機に。
私達親子は、父親となる人の家へと引っ越す事になった。
肝心の陽太くんはと言えば、私の母とはギコチ無いとは言え、何とか会話をしていたが。
私とは距離を置いて、ナカナカ近付こうとはしなかった。
だが、決して嫌われていた訳ではなく。
興味はあるが、話すキッカケが無いので。
恥ずかしがり屋の彼は、どうしたら良いのか分からない様だ。
だから私は、まるでシャイな子犬に近付くが如く。
少しずつ距離を縮めていった、そんなある日の事。
「あれ、それヒョットして万華鏡?」
(コクリ)
ようやく、間近にまで近付いた頃。
陽太くんが床に座り、何かを覗き込んでいたのを見た私が。
意を決して尋ねてみる。
どんな反応をするか、不安になっていたが。
思ったより素直に、反応してくれた。
「……おねぇちゃ……」
「ん? どうしたの」
「……おねぇちゃんも、みていいよぉ……」
続けて彼が、小さな声で何かを言った様なので。
聞き返したら、陽太くんがそう言いながら、手に持っていた物を私に差し出した。
「“おねえちゃん”って、言ってくれたの?」
(コクリ)
意外な彼の行動に、私が再び尋ねると。
陽太くんが、恥ずかしそうに頷いてくれる。
「陽太くん、ありがとう〜」
そんな彼の返事が嬉しくて、思わず感謝の言葉を言えば。
言われた本人は、耳まで赤くして俯いてしまった。
それ以降、陽太くんは私と話がしたい時は、その万華鏡を持ってきて。
そんな彼の意図を察した私が、万華鏡を話題にして、陽太くんと話をするようになった。
そうやって段々と、打ち解けて行き。
その内に、万華鏡なしでも私と話が出来るようになったのである。
・
・
・
この万華鏡は、仲良くするキッカケが無かった。
私たち姉弟をキッカケを与えてくれた、思い出の品である。
「へぇ〜、まだ有ったんだ〜」
陽ちゃんがそう言いながら、近くに座った私から万華鏡を受け取った。
「おっ、まだ見られるね」
陽ちゃんが、万華鏡を回して中を覗いている。
まだ使える事に驚きながらも、昔の様に嬉々として万華鏡を見ていた。
まるで子供の様にハシャグ、彼を見た私は。
何だか、とても可愛く思えてしまい。
(そ~っ)
自然と陽ちゃんへと、手が伸び。
そして、彼の頬を両手で包み込む。
一方の陽ちゃんも、私の行為を受け。
持っていた万華鏡を脇に置き、私の成すがままになっていた。
「「……」」
私は彼の間近に、身を躙り寄されると。
陽ちゃんの唇に、自分の唇を重ねた……。
**********
私は、初めて陽ちゃんを見た時から、心を奪われていて。
ハッキリ言えば、彼の事を愛してしまっていた。
かと言って、陽ちゃんと姉弟になった事を、不運には思わない。
なぜなら、彼の事を、姉弟として深く深く愛すれば良いのだから。
とは言え、イキナリ突拍子もない事をすれば。
陽ちゃんが姉弟関係に拘っていた場合、最悪、仲が壊れる可能性も有る為。
長期間かけて、徐々に慣らしていった。
最初は時折、ホッペタにキスをする事から始め。
次第に回数、頻度を増やしていき。
それもホッペタだけでは無く、額から鼻の頭など顔中をキスして。
そして、彼が小学五年生になった頃、ファーストキスを奪ったのである♡
ファーストキスを奪われた時、陽ちゃんは予想外の事に驚いたが。
そうかと言って跳ね除ける様な事はせず、私の成すがままになっていた。
最も、体だけでは無く、精神的にも慣らしていたのもあったのだが。
「はぁ……」
唇を触れた状態から、更に深いキスに移行して、しばらくした後。
ユックリと離れると、キスをされた陽ちゃんが、ボンヤリとしたまま溜息を吐いた。
陽ちゃんのファーストキスを奪った後も、ただ唇を触れるだけで無く。
次第に、恋人同士でする様な、濃厚なキスをするようになるが。
しかし、それでも彼は、全て受け入れてくれた。
「おねえちゃ〜ん……」
(ゾクゾクゾク)
(ガバッ!)
「んんん〜」
陽ちゃんが、焦点の合わない瞳で見ながら、私を呼ぶ。
中学に入ってからは、私の事を“姉さん”と呼ぶようになったけど。
私が可愛がっている時などは、本心が出るからだろうか、昔のように“お姉ちゃん”と呼んでくれる。
そんな彼を見て、体が震えるほど可愛く思えた私が。
激情のまま、陽ちゃんを胸に抱き締め。
私の胸に、顔を埋める形になった陽ちゃんが。
呻き声を出しながらも、私を抱き返している。
(なで……、なで……)
「……はぁ……」
続いて、陽ちゃんを抱き締めたまま、背中を擦ってやると。
彼が、気持ち良さそうな溜息を、再び吐く
この様に私は、肉体的に慣らすだけで無く。
精神的にも、陽ちゃんを可愛がったり甘やかしたりして。
慣らすと言うよりも、私に依存する様に仕向けてきた。
その甲斐あって、彼も私に執着するシスコンになっており。
だから、エスカレートする私の行為も、受け入れていたのである。
唯一心配だったのが、反抗期の事だけであったが。
予想していた様な、険悪な関係にはならず。
それよりも、第二次性徴を迎えてからは、私の人より大きめな胸や、細い腰、丸いお尻に興味を持つ様になったみたいだ。
私は、その事に対しては、嫌悪感は微塵も持たず。
むしろ逆に、それを心から歓迎していた。
なぜなら私は、最終的に“身も心も陽ちゃんと一つになる”のが、目的であるからだ。
だから、これらの事を、長期的に執念を持って行っていたのである。
その目的の為なら、どんな障害だって私は排除する。
陽ちゃんが、高校に入り早ひと月になるが。
彼は、身内の欲目を除いても、とても可愛い男の子である。
すると当然、彼を狙う女も出てくるけど。
そんな女たちを、私は尽く潰してきた。
その為、どうやら影では、私の悪評が広がっている様だが。
私には、陽ちゃんだけ居れば良いから、問題は無い。
「(あと、もう少し。
あと、もう少しだから……)」
(なで……、なで……)
私は、目的に近付いて居る事に、満足しながら。
その日の事を夢見つつ。
私の胸で、甘えている陽ちゃんを、可愛がっていたのであった。
あと、もう少しだから……