僕がホストになった理由(わけ) (0:2)

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葵(女) ・・・女の子なのに、女の子にモテたい女の子。基本人の話を聞かない。
レイ(女)・・・葵の友人。つっこみ体質。

所要時間:10分程度

※おっぱい連呼あり。

※※※※※

葵:ねぇねぇレイちゃん! 僕、聞いて欲しい話があるんだけど。

レイ:ピザ食べようかな、ああでも甘いのもいいよね、ケーキとか。 あ、このパフェ期間限定? おいしそう。

葵:ねぇねぇねぇねぇ、きいてきいて!

レイ:あ、しまった。今月金欠なんだった。

葵:僕ちょっと悩みがあるんだよね。

レイ:最近体重もやばめだし、がまんするべきよね。

葵:そのことばっかり考えちゃうんだけど答えが出なくて……

レイ:んー、まあ、コーヒーにしとくか。でも、紅茶だとポットで来るのか。どうしようかな。

葵:レイちゃん、わざと無視してるよね?

レイ:うん。

葵:なんで!?

レイ:いや、なんでって。葵の「お話」が普通の話だったことがある? 毎回毎回、よくまあそこまでネタがあるなーってくらい、変なこと言い出すから、その度に、私頭痛になるんだから。……どんぐりを大量に拾い食いしたらお腹壊したとか。

葵:イケると思ったのにな……。だって、栗は生でもいけたし、どんぐりクッキーって聞いたことあったから、てっきり食べれるのかなって。いっぱい落ちてて、やった!食べ放題って思っちゃって、つい。

レイ:こないだは急に電話してきたと思ったら、ハシビロコウと「動かない対決」したら負けたーって!なにそれ! そもそもハシビロコウってなに?

葵:え、知らないの? 鳥だよ鳥! いや、アイツまじ動かねんだもん! 2時間までは頑張ったんだよ? こう、じーっと睨みあってさ。でも、トイレ行きたくなっちゃって……戻ってきたら、いなかった……。タイム!って言ったのに、ひどい! あんまりだ!

レイ:なんで鳥に謎の闘争心燃やしてるのよ。

葵:いや、やっぱさ、勝負は負けたくないじゃん? 男として。

レイ:女の子じゃん。

葵:ひどいレイちゃん! ぴえん! ぴえん通り越して、忍法ぴえん侍!

レイ:……「忍法ぴえん侍」ってなに? 忍者なの? 侍なの? ……はあ、つっこみ疲れた。すでに頭が痛い。 

葵:で、本題なんだけど。

レイ:普通に話進めないでくれる? 聞かないってば。

葵:えー! 聞いてよー!

レイ:ことわる。

葵:まあ、聞いてなくても勝手にしゃべるけど。

レイ:だと思った。

葵:ほんとに悩んでるんだって! 友達でしょ! 聞いてよ!

レイ:ええー……

葵:本当に、聞いてくれないの?

レイ:……はあ、わかった。「どうしたの?」

葵:うん、それがね、本気でどうしたらいいかわからなくて。

レイ:なにが

葵:おっぱいが揉みたい

レイ:え?

葵:だから、おっぱいが揉みたい

レイ:え?

葵:僕は、おっぱいに、埋もれたい!

レイ:連呼するな!

葵:だってレイちゃんが聞くから。

レイ:私のせいじゃないでしょ。葵どうしたの、頭おかしくなったの? いや元からおかしかったけど、ついに全壊(ぜんかい)した?

葵:え、きわめて正常だよ? ただおっぱいが揉みたいだけ。

レイ:いやいやいや、急におっぱいとかおかしいでしょ! おっぱいとか!

葵:レイちゃんも言ってるじゃないか。なんでって、うーん、なんでだろう? ほら、登山家の人が山に登る理由は「そこに山があるから」って言うじゃない? おっぱいが揉みたいのは、そこにおっぱいが存在するから! そういうもんだよ、きっと!

レイ:あーなるほどね……って、いやいやいや、なんの説明にもなってないから! ……ん? ちょっとまてよ? 葵、もしかして、そうなの? ……まあ一定数いるっていうし、そういうことなら。

葵:(さえぎって)ううん、違うよ、彼氏いるし。

レイ:……だよね、めっちゃかっこいい彼氏いたよね。たしか。

葵:大丈夫、レイちゃんにもいい人が見つかるよ!

レイ:だまらっしゃい! 彼氏いるのに、なんでそうなるのよ!

葵:えー、彼氏いるけどおっぱいは揉みたいんだからしょうがないじゃないか。 ……(ため息)おっぱい、おっぱい、僕のおっぱい、どこにあるの……どうしたら揉めると思う?

レイ:いや、女の子なんだから、自分ので我慢しなさいよ。

葵:え?

レイ:え?

葵:(泣きながら)僕おっぱいないもんー! なのに、自分ので我慢しろとかあんまりだー! ひどーい! ひどーい! ひどーい! 僕が、僕が、まな板なの見ればわかるじゃないか! お風呂だって一緒に入ったことあるじゃないか! なのになのに、自分ので我慢しろとか、えーん、えーん……

レイ:ああもう、わかったわかった、確かにそれは私が悪かったから! わかったから泣くな、うるさいから! 迷惑だから!

葵:じゃあ、どうしたら僕がおっぱいを揉めるか一緒に考えて。

レイ:どうしよう……考えたくない。激しく考えたくない。

葵:……ところで話変わるけど、レイちゃんて何カップ? ちょっとだけ

レイ:(さえぎって)断る。

葵:まだ何も言ってないのに。

レイ:嫌な予感がした。

葵:冗談だよー、レイちゃんはかわいいしタイプだけど、友達でいたいし、今の関係が壊れるの怖いしね。

レイ:生々しい発言やめて? 絶対、一度、想像してるよねそれ。

葵:そっか、わかった! 彼女を作ればいいのか!

レイ:いや、ちょっとまって? なんでそうなった? レベル上がってるよ!?

葵:あーでも、それじゃ浮気になるかー。彼氏、好きだしなー。はあ、彼氏は女の子にモテるのに、なんで僕はモテないんだろう。ずるいなあ。

レイ:しょうがないでしょ。葵の彼氏、ホストなんだから。

葵:それだ! 僕もホストになればいいんだ! よし、面接申し込んでくる!

レイ:ちょっとまって?

葵:いらっしゃいませ、お嬢様。今日だけ僕の彼女になってくださいませんか? 僕と甘い夜をすごして、できればおっぱいを……うん、いけるな!
じゃ僕行ってくる! レイちゃんまたねー!

レイ:ちょっと、どこいくのよ! 代金は置いていきなさいよ! ……はあ、あたま、いたい。すみません、とりあえずお水ください。


≪END≫


補記:台本「僕はホストだ」へ続く。

僕がホストになった理由(わけ) (0:2)

僕がホストになった理由(わけ) (0:2)

葵ちゃんシリーズ 上演時間 約10分

  • 小説
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-04-26

CC BY-NC-ND
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CC BY-NC-ND