搔き暗す雨夜の月より

渡逢 遥

宵のあひだのみ

すがたをあらはす点滅信号

わたしはそれをわたらない

ちがうところをさがしもしない

点滅は幾度となく繰り返し

清明心を蝕む(ここであらはれる点滅は動悸のメタファーではない)

恥にも似つかぬ過去罪悪が

だれにもわからぬこころのなかみが

ひとりでに闊歩してゐる

ひとりの時間は善くないことか

ひとりのじぶんに問ひかける

応えも答えも行方不明

だれもおしへては呉れないのだ

この白き病床は

汝自身のこころの如く

しづかなところにいざなはんとす

そうだろう

背を向けてゐるノスタルジアよ

しからずんば 窓に憧れこの身打ち捨つ

並列回路の関係に於いて

ひとはみなじぶんを殺してゐる

こころを持たぬ こころは保たぬ

ここは個室で五月蝿いノイズが鳴り響く

わたしはその色覚を遮るために

目を瞑りながら空を想ふ

搔き暗す雨夜の月より

搔き暗す雨夜の月より

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-04-25

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