ナツメ球に乗って

ナツメ球に乗って

嗄鳥鳴夏

唇を噛んで泣いたよ
誰にもバレないように
腹を殴って泣いたよ
何かを押し殺すように
目を閉じて聞いたよ
母の安らかな寝息を
耳を澄まして聴いたよ
古びた旋律や歌詞を

夜は長くて震えたよ
今日も生きていることに
ナツメ球に乗って行ったよ
誰も見たことの無いとこに
夜は怖くて震えたよ
明日も生きていることにも
ナツメ球の上で知ったよ
現実だけが世界ではないことを

いつまでだって泣いたよ
夢は夢であることに
花が枯れても泣いたよ
何にも諦めきれずに
手を繋いで聞いたよ
母の安らかな寝言を
口を塞いで聴いたよ
自分のすすり泣く声を

夜は長くて震えたよ
毛布は一枚しか無くて
ナツメ球に乗って言ったよ
「もう一度行こうあのとこへ」
夜は怖くて震えたよ
それでも引き剥がされて
ナツメ球の上から落ちたよ
ピエロはすぐさま手をふるよ

ナツメ球に乗って

ナツメ球に乗って

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-04-22

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