感傷と耳鳴り

向かい風が連れ去った僕らの春が

背後でナイフを逆手に見下ろしている

体育館の錆びたバスケットゴール

軋むカーテンレール

危険だよって言われた睡眠薬を噛んで

ボール一杯のもやしで腹を満たした



猫背の君は外を見ていた

誰もいないグラウンド








ここではいつか誰かが死んだよ











畑の骨は今日も肥やしに

僕の支援も金持ちの肥やしに

救われない? 知 ら な い よ そんなこと

自己満足で余命を売り渡した

時間を金に換えたんだ




目が醒めると神のいない世界

帰る時間ぐらい置き手紙してよ

約束だよ

約束だよ



         小指を切って!






旧校舎の建て替え

中身は別の校舎に入るんだって

本当かな? 誰も知らないんだ

前世の記憶なんて信じない






僕は今を生きているんだよ

燃料は食べ物と大量の本

これまで読んだ本で暖を取って

でもそれももう尽きそうで






「間も無く終点です」

って、聞こえた

感傷と耳鳴り

感傷と耳鳴り

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-04-22

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