感傷と耳鳴り
向かい風が連れ去った僕らの春が
背後でナイフを逆手に見下ろしている
体育館の錆びたバスケットゴール
軋むカーテンレール
危険だよって言われた睡眠薬を噛んで
ボール一杯のもやしで腹を満たした
猫背の君は外を見ていた
誰もいないグラウンド
ここではいつか誰かが死んだよ
畑の骨は今日も肥やしに
僕の支援も金持ちの肥やしに
救われない? 知 ら な い よ そんなこと
自己満足で余命を売り渡した
時間を金に換えたんだ
目が醒めると神のいない世界
帰る時間ぐらい置き手紙してよ
約束だよ
約束だよ
小指を切って!
旧校舎の建て替え
中身は別の校舎に入るんだって
本当かな? 誰も知らないんだ
前世の記憶なんて信じない
僕は今を生きているんだよ
燃料は食べ物と大量の本
これまで読んだ本で暖を取って
でもそれももう尽きそうで
「間も無く終点です」
って、聞こえた
感傷と耳鳴り