死ね
《死ね》
「お前、死ね」
喧嘩のたびに、掛けられた言葉。
子供の僕は、その言葉をただの悪口として受け止めていた。
周りの大人も特に咎めていなかったから。
でもある時、何気なく口にしたんだ。
「それなら、死のうかな」って。
「死んでもいいかな」って。
途端に周りの大人たちから、火が付いたように怒られた。
「そんなこと、簡単に言うもんじゃない!」って。
僕はわからなくなったんだ。
「死ね」という言葉。
言った奴は悪くなくて、言われた奴が悪くなるのはどうしてなんだろうな、って。
だって思ったんだ。
あの子は、僕に死んで欲しいんでしょ、って。
死ね