カーディガンを買ったから

カンカンカン・・・

けただましくなるこの階段も
もう随分とサビだらけになったな。


何度この階段を歩いたんだろう。

日当たりの良くない私の部屋までの
階段は人が歩くと必ずわかった。
彼の足音は特にわかった。


海がみたいな。
ふと、思った。



最近買った黄色いカーディガンと携帯、財布をもって飛び出した。


あぁ、やだなぁ。

階段の音。
この音を聞くといつも現実に戻る。


波の音が恋しくて、
さよならが悔しくて、
彼の好きだった黄色を思い出して、

戻ってきてと口にしてしまうのだった。

カーディガンを買ったから

カーディガンを買ったから

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-04-22

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