昼の森
完璧な相続人達の夢がこころみられ郵便を俟つ様に弔電を打つ、驟驟と過りゆくものを私達は知らない
鉄塔には鳩の唾が従順な電気工事夫の護謨靴を解剖している
畏怖の昼窓には一斉に紫陽花の指が死が礫となって濡れている
私は私の死を何処に擱き忘れたのだろう
一群の舫舟に幾多の腕が展ばされ
声は咽喉を失い
一切の閑却に塊として 椅子に燃える端端の壁紙の花は
静かな哂いのなかに
そして緑の菱花に
押され窪みつつ
観察眼と鼠、その食餌記録は蠍の棘に充ち
子供達の飯事の跡には
腐敗した
死の麦と血の麦が秤に掛けられ
黒黴びた磔像が
復
昼の麓に殺害される
昼の森