はじめまして!ゲームキャラ!!はじめまして!現実世界!!
1.ゲーム好きな男の子
ここは、日本の、
「宙霧県・彩夢町そらぎりけん・さいむちょう」。
そこには、「鳥翔小学校とりかけしょうがっこう」に通う
ゲーム好きな小学6年生の男の子
「夢尾遊舞ゆめおあそぶ」がいる。
彼は、最近、発売された、
「Partnersonパートナーソン」という据え置きゲーム機の
「Limitless Chance!(リミットレスチャンス)」という
格闘ゲームに熱中している。
ゲーム機の名前の
「Partnersonパートナーソン」とは、
「相棒」を意味する「Partnerパートナー」と
「人間」を意味する「Parsonパーソン」を
掛け合わせた造語であり、
「単なるゲーム機ではなく、ゲームを遊ぶ人にとっての
相棒の人物のような存在」という意味が込められている。
そして、「Limitless Chance!(リミットレスチャンス!)」は、
ストレートな名前だが、その名の通り、
「無限の可能性」という意味が込められている。
2.正月を満喫する遊舞
2020年1月1日(水)、2019年が終わり、新しい年が
やって来ると同時に、2020年代が幕を開けた。
あたりはもう、門松や鏡餅や招き猫などが飾られていて、
正月に良く聴くお馴染みの邦楽のあの曲も流れていて、
完全に正月仕様である。
現在は、冬休み。遊舞の家には、親戚がたくさんやって来ていて、
とても賑わっていた。その昼、皆でおせちを食べ、
「あけましておめでとう!!」と一同で言った。
父が
「いや~、とうとう、新しい年がやって来たな~!!」と言う。
「うん!!」
「遊舞、今年は、どんな年にしたい!?」
「いや~、これまで通りに、普通に生活出来れば、それで良いや」
「そっか~」
「まぁ、子供が子供でいられる時間は意外と短いからな。
自由に使える時間は、自由に使って、思いっきり楽しむと良いぞ!!」
「うん!!」
「僕は、毎日、この普通の生活が楽しいし、
それだけで充分なんだよ!!」
「そっか!!それは素晴らしい事だ!!」
「うん!!だから、何が楽しみかって事も分かんないんだけど、
とにかく何かが楽しみなんだ!!」
〝ワイワイガヤガヤワイワイガヤガヤ〟
「は~!食った食った~!!」
そして、その日、神社に初詣に行ったり、ぜんざいを食べたりして、
その後、帰ってから、テレビで、主に、バラエティなどの
正月特番を色々観てから寝た。
「今年は、どんな事が起こるんだろ?」
それから、
2020年1月2日(木)、2020年1月3日(金)、2020年1月4日(土)と、正月は、同じような事を繰り返し、月日が経っていった。
3.遊舞の誕生日
そして、2020年1月5日(日)。
この日、遊舞は、誕生日を迎えた。
「お誕生日おめでとう!!!」
「ありがと~~~う!!!」
「12歳だね!!!」
「フ~ッ!!」と
遊舞が誕生日ケーキのロウソクの火を吹き消し、皆が拍手をする。
そのケーキのチョコレートには、
「あそぶ、おたんじょうびおめでとう!!!」と書いてある。
遊舞は、誕生日ケーキを食べ、笑いながら
「美味し~~~い!!!」と言った。
親戚の人達も、「遊舞君、もう12歳か~!!!」と言った。
そんなこんなで時間が経ち、夜になり、遊舞は、眠りについた。
4.久しぶりの登校
それから、5日後の2020年1月10日(金)。この日は、
遊舞の学校「鳥翔小学校」の久しぶりの登校日だ。そう、
今日からまた、小学校の授業が再開したのだ。
遊舞のクラス、6年2組にて・・・・・・
〝キーンコーンカーンコーン〟
朝のホームルーム。
「〝起立〟〝礼〟〝着席〟!!」と、担任の女性教師が言う。
先生は、教壇で、こんな事を言った。
「え~、皆さ~ん。皆さんは、もうすぐ卒業です。もうすぐ、
中学校に入る事になります。このクラスの中には、私立などの
中学校を受験する人、あるいは、そうじゃなくて、普通の中学校に
進学する人でも、いつかの将来の夢に向かって、これから何かを
本格的にする、あるいは、新しく始めていく人もいるでしょう。
ですが、これだけは、覚えておいてください。勉強も大切ですが、
人間、結局、考えたり、覚えたりするだけでは何も出来ないので、
最終的には、何か行動を取ったり、時として、思い切った行動に
出るために、勇気を持っておく事が大切です。まぁ、もちろん、無茶はダメですが。皆さんも、一人一人持っている
何かの〝才能〟も大切にして、お互いにお互いを認め合って、
尊重し合って、貴いライバルと共に仲良くしながら、
大いに励んで、これからの長い人生を精一杯生きてください」
やがて、授業が終わり、下校前のホームルーム。
〝キーンコーンカーンコーン〟
「〝起立〟〝礼〟〝着席〟!!」また先生の一言が入った。
「え~、大事な事は、朝、一通り、話したので、
特に言う事はありません。あとは、私の言った事を
頑張って行っていってください。皆さんが幸せになれる事を、
私は、心より願っています。それでは、さようなら。
皆さん、お気をつけて」
5.久しぶりの下校
その話を聞いた後、遊舞は、
男子、女子、色んな友達と話しながら帰った。
同級生の友達の「宙尾泳そらおおよぐ」が話しかけてきた。
「なぁ、遊舞、先生、今日は、朝、
あんな事、言ってたけど、どう思う?」
「う~ん・・・」
「俺は、もう、やりたい事、決まってるぜ!!」
「え?それは何?」
「宇宙飛行士だよ!!」
「へ~!!カッコ良いな~!!そういえば、泳、
体力もあって、運動神経も良くて、修学旅行の時も、バスどころか、
そこのテーマパークのどの絶叫マシンでも、全く酔わなかったし、
全然怖がってなかったもんな~!!凄いよな~!!!」
「だろ~!!!」
次に、「音田奏おとだかなで」がこう言った。
「私は音楽家!!お父さんがヴァイオリニストで、お母さんが
ピアニストで、今、私、どっちも練習してるけど、出来たら、
どっちにもなりたいのよね!!欲張りで贅沢だけど!!!」
そんな彼女に対し、遊舞は、
「そんな事ないよ!!本気で叶えたい夢が2つもあるなんて、
素敵じゃないか!!ぜひ、頑張ってよ!!!」と言う。
その次に、「薬羽研一 (くすりばけんいち)」は、
「僕は、薬剤師!!薬の事、いっぱい研究するんだ!!」と言う。
遊舞は、研一に
「へ~!!これまた、厳しいけど、凄い夢だ!!」と言った。
「遊舞の夢は?」と、一緒にいた皆が遊舞に聞いた。
「う~ん・・・僕はまだ、決まってないんだ~」と言う。
しかし、奏は、そんな遊舞に対して、
「まだまだ大人になるまでに時間はいっぱいあるし、
遊舞は遊舞で、ゆっくり決めれば良いのよ!!」と言った。
「そっか!ありがとう!!」と遊舞が答えた。
歩いていくと、方向の違いにより、
あいさつをしながら一人ずつ別れ、最後、遊舞は、
一人になりながらも、家へ向かって歩いていた。
帰りながら、こんな事を思っていた。
(皆、もうこの年で既に夢、持ってて、夢のために
今からもう、頑張り始めてるなんてな~。なのに、
僕なんて・・・・・・)と。
この時、遊舞は初めて、自分がいつか就く「仕事」について
考え始めた。
6.久しぶりの下校の帰宅後
家に着いた。
〝ガラガラガラガラ〟
「ただいま~」
遊舞の母親が遊舞に話しかける。
「お帰りなさい。どうだった?久しぶりの学校は?」
「ん?普通だったけど?」
「そう。じゃあ、まぁ、宿題やって、おやつ食べて。
晩ご飯の時間になったら、呼ぶから」
「は~い」
4時間後、19時30分頃、家族で晩ご飯を食べた。
親戚は、もう帰っている。
「いただきま~す!!!」
「え?今日はカレー!?」
「そうよ。遊舞、好きでしょ?!」
「うん。まぁ、好きだけど」
―一口食べてみる―
〝パク〟
「うんめぇ~!!!」
「良かった!!遊舞がそんなに喜んでくれて!!お母さん、
凄く作り甲斐があるわ!!!」
そんな会話をし、カレーを美味しく食べ、また数時間経ち、
21時30分頃に寝た。
電気を消して、暗くした寝室で一人、考え事をしていた。
「母さんは、カレーに限らず、どんな料理でも上手いけど、
いつかは、僕も、この家を出る事になるし、いつかは
食べられなくなっちゃうんだ。いや、この生活自体も、
当たり前じゃない。いつか終わっちゃうんだ」と。
そして、眠りについた。
7.休日はやっぱりゲーム!
翌日、2020年1月11日(土)。
この日は、学校が休みで、遊舞は、
ゲーム機「Partnerson」で大好きな格闘ゲーム
「Limitless Chance!」をプレイして遊んでいた。
〝ガチャガチャガチャガチャ〟
「よし!そこだ~!!」
〝チャラララッチャーン〟(ゲームクリアのBGM)
「よっしゃ~!!この調子で、どんどん進んでくぞ~!!!」
〝ガチャガチャガチャガチャ〟
どんどん先へ進んでいく。
翌日の日曜日も、プレイした。
「よし!勝った~!!もう少しだ~!!あと2戦、戦って、
あと2体の敵を倒せば、このゲームも終わりだ!!」
そして、残る2体も倒していった。ラスボスを倒して、ゲームクリアした後、
スタッフロールを見ながら、その達成感に一人で浸った。
「よ~し!終わった~!!楽しかった~!!」
8.楽しみだったはずの祝日
次の日の月曜日は、祝日で、遊舞は、家族で
テーマパークに遊びに行く予定だったのだが、
雨が凄く強かったので、予定を変更し、行かない事にした。
「クソ~!今日は、アレ、僕の大好きなゲームのイベントも
いっぱいあって、凄く楽しみにしてたのに!!」
母が「仕方ないわよ」と言った。
父は「また今度、必ず、行こうな」と言った。
遊舞は、悔しさのあまり、泣いてしまった。
宿題は、金曜日に終わらせてしまったし、外に出る事も難しく、
他にする事がなかったため、仕方なく、昨日、ラスボスを倒し、
クリアしてしまった「Limitless Chance!」を、またプレイした。
「よし。ストーリーモードは全部やっちゃったから、ヒマだけど、
フリー対戦モードで遊ぶか」と言って、遊んでいた。
遊舞は、色んなキャラを使って遊ぶ。
〝ガチャガチャガチャガチャ〟
そして、遊舞がそのゲームで1番好きな、
「とても頭が良い」という設定のキャラクター
「アーチフィス」を選んで戦おうとしたその時、
画面が急に真っ黒になり、ゲーム機やテレビの電源も切れた。
「え!?アレ!?おかしいな。今日は、確かに天気が悪いけど、
雷は落ちてないから、〝停電〟って事はなさそうだし」
その時、テレビが、まるでフラッシュのように、とても眩しく光った。
「うわぁぁぁぁぁっ!!!」
9.お気に入りのキャラが現実に!?
腕で顔を隠し、その眩しい光から自分の目を守り、
光が収まった直後、目を開けてみると、
目の前に、等身大の「アーチフィス」が立っていた。
先に言っておくが、アーチフィスは、
ロボットではなく、人間である。人種は、イギリス人で、男性だ。
「え!?一体、コレって!?」
試しに、ほっぺたをつねってみた。
〝ギュ~〟〝パッチ〟
「痛ッ!!」
やはり、今、見ているこの様子は、
どうやら紛れもなく現実のようだった。
「え~!?嘘でしょ~!?」
そう言う遊舞に対し、
アーチフィスは、
「いえ、私はここにいます」と言った。
「スッゲ~!ホントかよ~!!しっかし、
言葉も、ちゃんと話せるんだな~!!それに、
全然ぎこちなさがなくて滑らかだし!!!」
遊舞は、試しに、
アーチフィスをコントローラで動かそうとしてみた。
だが、動かない。
「アレ?何がダメなんだろ?」
動かそうとしてみるが、動かない。しかし、良く見ると、
背中のところに、「CONTROLコントロール」と
書かれたスイッチがあった。
「へ~!ロボットじゃなくて、人間なのに、
こんなスイッチが付いてるのか~!!」
そのスイッチを押して、もう一度、操作してみた。
〝カチャカチャカチャカチャ〟
すると、動いた。
〝ガシャンガシャン〟
「ワッ!動いた~!!よし!、じゃあ、今度は、
パンチやキックをしてみよう!!」
〝ドンバンバンドン〟
〝カチャカチャカチャカチャ〟
「よし!次は、魔法を使ってみよう!いや、待てよ。
アーチフィスは、色んな魔法を使えるけど、ここで魔法を使ったら、
家が大変な事になる。やっぱり、やめとこうか」
遊舞は、ちゃんと後先を考えて、
魔法を使う事はやめておく事にした。
すると、その直後・・・
「遊舞~!ご飯よ~!!」
「あ!ヤベ!!どうしよう!!」
慌てて操作すると、アーチフィスが透明になった。
「フ~ッ!!助かった~!!このキャラに、
透明になる能力があって良かった~!!でも、いなくなったワケ
じゃないよな?どうなるんだろ?まぁ、良いや」
10.奇想天外な1日が終わった
遊舞は、リビングへ向かった。
「お母さ~~~ん!!!食べるよ~!!!」
皆、手を合わせて、
「いただきます!!!」と言った。
「おっ!今日は、ハンバーグか!!」
〝ムシャムシャムシャムシャ〟
「ねぇ、遊舞?」
「ん?」
「最近、学校、楽しい?」
「どうしたの?突然?もちろん、楽しいけど」
「そっか。なら、良かった」
遊舞は、突然、そんな事を聞かれたから、少し驚いた。
その後、遊舞は、その夕飯を、
おかずのハンバーグ含め、全て食べ、完食した。
「ごちそうさまでした」
風呂に入り、そして、就寝。
(いや、しかし、今日は、お母さん、どうしたんだろ?
今まであんな事、一度も僕に聞いた事、ないのに)
そして、眠りについた。
11.ヒーローって良いな!夢を持ちたいな!
翌日、2020年1月14日(火)。
朝ご飯を食べてから、いつものように、歩いて学校へ向かう。
学校にて・・・・・・
〝キーンコーンカーンコーン〟
「〝起立〟〝礼〟〝着席〟」
1時間目は、国語の授業だった。
扱っていた作品は、
「太宰治」の「走れメロス」だった。
「良いな~!メロス!!親友のセリヌンティウスだけじゃなくて、
他のたくさんの人達も助けるために
あんなに必死になれるなんて、まるで、ヒーローみたい!!いや、
もう、〝みたい〟じゃなくて、ホントにヒーローじゃん!!
物凄くカッコ良いよ!!!」
遊舞はその時、その事を、感動はするが、作り話として聞いていた。
2時間目から、途中、給食を挟んでの5時間目、そして、
6時間目を受け終わり、授業は、全て受け終わった。
〝キーンコーンカーンコーン〟
放課後はまた、友達達と一緒に帰る。
メンバーは、この前と、数人だけ違った。
そこで、
「十装演人じゅうそうえんと」が遊舞に話しかけた。
「なぁ、遊舞、今日の国語の授業、どうだった?」
遊舞は、答える。
「あ、あ~、いや、カッコ良かったな~、って」
「そうか~。僕も、いつか、俳優になったら、
舞台やミュージカルや映画で、メロスを演じたいよ!!」
「あ~!!そういえば、演人、俳優目指してるもんな!!」
「そうだよ!!絶対、カッコ良い俳優になってやる!!!」
「頑張れ~!!!」
「遊舞の夢は、何なんだい?」
先日、一緒にいなかった演人が、遊舞に聞いた。
「そ・・・それは・・・・・・」
「まだ決められてないのか。でも、頑張れ!!!遊舞なら、絶対、
自分にピッタリの仕事に就けるさ!!!」
「ありがとう!!!」
そこで、それに対して、奏も、一緒になって、また応援した。
「うん!!!私も応援してるから!!!」
「ありがとう!!!奏も!!!」
だが、そこで・・・・・・
「遊舞が夢を持つなんて、出来るかな~?♪」
そう、コイツは、とても性格が悪い、遊舞の同級生の
「統手治すべてなお」だ。
しかし、奏が庇う。
「何よ!!そんな言い方ないじゃない!!!」
だが、そこで、その時、一緒に歩いていた、おなじくイヤミな、
弁護士志望の同級生「法田弁助」も、
「いいや!遊舞は、特別、勉強が出来るワケでもねぇし、
この先、ピッタリで、ご立派なお仕事なんて、
見つけられるかねぇ~!?♪見つけられたとしても、
ホントに就けるかどうか!!ワッハッハッハッハッ!!」と言う。
演人と奏が
「遊舞、気にしなくて良いよ!!」と言った。
「うん。ありがとう」
その後、遊舞は、家に着いてからも、
まだ将来の夢の事について考えていた。
(確かに、アイツらの言う通りだ。僕は、この先の未来、
どうしていくかなんて、真っ白だし、それに比べて、アイツらは、
確かにちょっと、性格はアレなんだけど、
もう、既に、ちゃんと夢を持ってるからな~。でも、庇ってくれた
演人も奏も、本当に良いヤツだ)
12.ゲームキャラに自己紹介
そして、宿題をして、また、
テレビの電源と「Partnerson」の電源を入れ、
「Limitless Chance!」をプレイしようとしてみた。
だが、昨日、ゲームの世界から飛び出してきた
アーチフィスだけが、画面から姿を消していた。
「え!?え~!?嘘だろ!?お気に入りのキャラだけど、
使えないの~!?そんなの困る~!!!」
〝シュ~ン〟〝ポン!!!〟
「ワァ~ッ!!!」
見てみると、隣に、また、アーチフィスが立っていた。
「ビックリした~!!何だよ!!突然!!!」
「私は今、ここにいます」
「いや!解ってるよ!!そんな事!!!あ!いや、待てよ。
昨日、コイツを透明にしたけど、それは、姿を消しておいただけで、
ゲームの世界に戻したワケじゃなかったんだ!!」
遊舞は、ゲームの電源を切った。
「??私は、どうしても、
昨日までの居場所に戻らなくてはいけないのでしょうか?」
「いや、別にそういうワケじゃないけど・・・って、え?
もしかして、アーチフィス、自分が昨日までいた世界が
〝ゲームの世界〟だって知ってるの?」
「〝ゲーム〟?それは、何でしょうか?」
「解らないか~。じゃあ、ここがどこだか解る?」
「それは・・・解りません・・・・・・」
「そっか~。それも解らないか~。じゃあ、アーチフィス、
明日から、色んなところに行ってみよう!!僕がこの、
〝現実世界〟を案内するよ!!ただし、口が裂けても、
君が〝ゲームの世界の住人〟だって事は、
言っちゃダメだからね!!!」
「??現実??ゲーム??ん~・・・・・・???」
遊舞は、少しあきれた。
「ダメだなこりゃ・・・現実とゲームの違いが
良く解っていないみたいだ。仕方ない。出来るだけ、コイツが
ゲームキャラだって事を隠して、もし、何か言いそうに
なっちゃったら、僕が全力で止めるしかないか」と言った。
「そういえば、あなたの名前は、何というのでしたっけ?」
「あ~、そういえば、まだ、名前、教えてなかったっけ?
ごめん!!僕は、〝夢尾遊舞ゆめおあそぶ〟」
「・・・・・・〝夢尾遊舞〟さんですか。覚えておきます」
13.現実世界の映画
そして、アーチフィスは、その後、遊舞が読んでいた
色んな〝漫画〟に興味を示した。
「コレは、何ですか?」
「何々?アーチフィス、〝漫画〟に興味あるの?」
「〝漫画〟ですか?」
「あ~!そうだよ!!英語では、
〝comicコミック〟や〝cartoonカートゥーン〟って言うんだ!!アーチフィスが住んでる〝ゲーム〟に、
ちょっと似てるかもしれないね!!!」
「そうですか」
「うん!!!面白いよ!!!読んでみる?」
「はい。読んでみます」
〝パラパラパラパラ〟
「ふむふむふむふむ」
「どう?」
「ん~、良いですね!!!」
「そっか!!良かった!!!」
「私は、もっと、色んな漫画を読んでみたいです」
「うん!!良いよ」
すると、遊舞は、
遊舞自身がページをめくる事で、
他にも色んな漫画を読ませてみた。
「おぉ~!!どれもこれも、良いですね!!」
「でしょ!!!」
「はい!!!ですが、このような良い漫画ばかり選んで
読んでいるあなたも、凄いです!!!」
「いやいや~!!僕は、何にも凄くないよ!!凄いのは、
こういう漫画を描いてる漫画家さん達だよ!!!」
「そうですか。でも、素晴らしいです!!!」
「そうかな?」
「はい!!では、これからも、
私に、色んな漫画を読ませてください!!!」
「うん!!良いよ!!!あ、でも・・・・・・」
「どうなさいましたか?」
「ゲームや漫画以外にも、面白いモノはいっぱいあるよ!!!」
「そうなんですか」
「うん!!!たとえば、今夜もテレビで放送されるんだけど、
映画とか!!!」
「映画・・・・・・ですか」
「うん!!」
「映画・・・・・・それは、存じています!!」
「え!?ホントに!?映画の事、知ってるの?」
「はい。結構昔からあるモノなので」
「へ~!!凄いな~!!!」
「はい。私も、映画からたくさんの事を学びました」
「へ~!!!僕は、映画って、ただ楽しむためだけに
観てるけど、アーチフィスは、勉強のために観るのか!!!って、
あの世界に映画なんてあったっけ?」
「いえ、ありませんが、私の街では、
映画が存在するんです。そこで、私は、たくさんの映画を観ました」
「あ~、そっか!あの格闘ゲーム〝Limitless Chance!〟は、
色んなゲームのキャラが出てくるゲームだった!!」
「はい。私は、
〝Mysterious Cityミステリアスシティ〟の住人です」
「そっか~。そうだった。でも、アーチフィスは、
何でそのゲームからじゃなくて、
〝Limitless Chance!〟から飛び出してきたんだろう?」
「さぁ、それは、私にも解りません。そもそも、
なぜここにいるのかさえも、私自身、全く解りませんので」
「そっか~。でも、やっぱ、そうだよな~」
「ですが、今夜の映画、とても気になります!!!」
「うん!!僕もだよ!!!一緒に観よう!!!」
そして、夜になり、21時00分、映画が始まった。
ラブコメ映画
「あなたと私は、二人で一つ」だった。
「やっぱり良いよな~。面白いな~。僕、まだ小学生だから、
そんなにしょっちゅう映画館に行けないからな~。テレビ放映は、
とってもありがたいよ!!!」
「う~ん、こういう種類の映画も、あるんですね~」
「え?アーチフィス、恋愛映画、知らないの?」
「はい。私は、ずっと、スパイ映画やアクション映画や
ミステリー映画などを観てきました」
「・・・・・・ずいぶんと大人向けだな~」
「はい」
「あ~、でも、アーチフィスは、21歳だったな~」
「はい」
「でも、恋愛映画も、面白いよ!!!」
「そうなんですか」
「うん!!あ~、僕も、恋愛、したいんだけどな~!!
だから、こういう、映画とかに出てくる、モテる人って、
凄く羨ましいんだよな~!!!」
「???」
アーチフィスは、この時、遊舞の言葉がどういう事なのか、
解っていなかった。
そして、23時00分になり、映画が終わった。
「フ~ッ!!終わった~っ!!!それにしても、
面白かったな~!!!」
「はい!!とても良かったです!!!」
「そっか!!!アーチフィスも喜んでくれて良かった!!!」
「じゃあ、寝るか!!!」
「はい」
「あ~、でも、アーチフィス、パジャマに着替えなくて良いの?」
「いえ、私は、この服のままで大丈夫です。それに、この服は、
いくら使っても汚れないし、ボロボロにもならないように
なっているんです。自分で汚したり、傷つけたりする場合は、
別ですが」
「へ~。便利だね~。服まで凄いんだ~!!!」
部屋の電気を消し、二人は、寝た。
14.お母さんに見つかった!?
翌朝・・・・・・
「チュンチュン (スズメの鳴き声)」
今日は、水曜日だ。
遊舞の母が遊舞の部屋に、遊舞を起こしに来た。
「遊舞~、朝ご飯、出来てるわよ~!!!って、アレ!?
この人、誰!?」
驚くのも、無理はない。むしろ、当たり前の事だろう。
昨夜まで見た事もない人間が目の前にいるのだから。
「・・・ん・・・お母さん・・・おはよう・・・・・・」
アーチフィスが寝息を立てる。
「Zzzzzzzzzzzzzzz・・・・・・・」
そこで遊舞は、とても慌てた。
「ちょっ!!あっ!!しまった~っ!!!」
「遊舞、この人、誰なの?」と、遊舞の母が遊舞に問う。
「あっ、あっ、と、友達だよ!!!アハハハ・・・・・・」
「友達って・・・あんた、どこでどうやって、
外国人と知り合ったのよ・・・・・・しかも、
年齢、離れ過ぎじゃない・・・・・・」
「いや~、英語を勉強してる友達の友達の、
留学中の、英語の家庭教師やってる大学生だよ」
「そ、そう、そういう事・・・解ったわ。じゃあ、起きて、
朝ご飯、食べなさい」
「は~い」
15.お父さんもビックリ!!!
その後、遊舞の母は、遊舞の部屋のドアを閉めて、
リビングへ戻った。
〝バタン〟
しかし、その時、遊舞の母は、
「いつの間に、何であんな人がウチに入ってきてたんだろ?
まぁ、私も、慌ててたから、
それは、聞きそびれちゃったけど。まぁ、友達を通して
知り合った人なら、きっと、大丈夫か」と思っていた。
「フ~ッ!!凄く焦った~!!!
思わず、大きな嘘をついちゃった~!!!でも、
アーチフィスがゲームのキャラだって事、
上手く隠せて良かった~!!!ちょっと、
無理のある嘘だったけど・・・・・」
すると、アーチフィスが起きてきた。
「おはようございます」
遊舞は、「ようやく起きてきたか。しかし、こっちは、
凄く大変だったっていうのに・・・・・・」と思った。
「おはよう」
「はい。おはようございます」
「リビングへ一緒に行こっか。一緒に朝ご飯、食べよう」
「??そんな事をしていただいてよろしいのでしょうか?」
「良いんだよ!!じゃあ、一緒に食べに行こっか!!!」
「・・・はい。では、お言葉に甘えて」
「いや、気を遣わなくて良いんだよ!!!」
「はい」
〝トコトコトコトコ〟
遊舞は、その時、「コイツ、単純な動きだけなら、
操作なしでも、勝手に出来るんだな」と思っていた。
そして、リビングのドアを開けた。
〝バタン〟
すると・・・・・・
「あ~、遊舞~、おはよう。って、おい!!!」と、
思わず、朝ご飯の白米を吹き出し、遊舞の父が言った。
「〝ブ~ッ!!〟だ、誰なんだよ!!ソイツは!!!」
そこで、アーチフィスが遊舞の父に対して
「おはようございます。私は、〝アーチフィス〟と
申します」と言った。
「そういう事、聞いてるんじゃないんだよ!!!何で、
俺が昨日まで顔を見た事もないようなヤツが今、
ここにいるんだ!!!」
そこで、アーチフィスが
「あ、あ~、私は・・・・・・」と言い、
遊舞が横からアーチフィスの耳元に、小声で、
「〝僕の友達だ〟って言って」と言うように指示を出した。
「私は、遊舞君のお友達です」
すると、遊舞の父は、
「何だか良く解らないヤツだが、まぁ、朝だし、
朝メシを食ってる今、むやみに怒るのも、あまり良くはないな。
とりあえず、落ち着こう。遊舞も、遊舞の友達のあんたも、
とりあえず、座りなさい」と言った。
「ありがとうございます」とアーチフィスは言った。
遊舞と遊舞の母は、
少し、冷や汗をかきながらぎこちなく笑っていた。
「アハハハハハ・・・・・・」
16.ヒヤヒヤする朝ご飯
そして、遊舞は、遊舞の母に、
「お母さん、アーチフィスにも、
朝ご飯、出してあげてくれない?」と頼んだ。
「え~!もう!突然ね~!!仕方ないわね~!!まぁ、良いけど」
「ありがとう!!!」
その時、遊舞は、
(やっぱり、いつも、米も、どのおかずも、
一杯分くらいは、おかわりするくらいの量はあるから、
アーチフィスにも食べさせてあげられるんだ~!!!しかし、
さっすがお母さん!!!優しい)と思った。
その時、遊舞は、アーチフィスを見て、
(にしても、アーチフィスは、現実にやってきてからも、
ちゃんと自分で喋れるし、単純な動きは、僕が操作しなくても、
勝手に一人でする事が出来るし、今、確かめたけど、
こうやって、普通に、食べる事も出来るし、他の人から見ても、
現実の人間と全く変わんないな。まぁ、イギリス人だけど)と
思っていた。
アーチフィスは、その容器を見て、
「??これは・・・・・・」と言った。
それに対し、遊舞の父が
「どうした?ただのお茶碗だろ」と言う。
「いえ、私は、コレを実際に見るのは・・・・・・」と言い、
そこで遊舞が
(マズい!!!コイツ、何か変な事言いそうだ!!!)と思って、
アーチフィスの口を抑えた。
アーチフィスが
「んぐっ!!!」と言う。
遊舞は、慌てて、アーチフィスの口を遊舞自身の手で抑えながら、
「あ~、いや、何でもない!!!コイツ、ちょっと、
他人ン家で食べる事、慣れてないんだよ!!!
アハハハハ・・・・・・」と言って、何とかごまかした。
「フ~ッ!!!危ねぇ!!危ねぇ!!」
(ん~?何か変だな~)と、遊舞の父と母は思った。
そして、完食。
「ごちそうさまでした~!!!」と言った。
17.いつもと違う登校
「じゃあ、行ってらっしゃい」と遊舞の父と母は言う。
「うん!!行ってきます!!お父さん!!お母さん!!」
「あ、でも・・・・・その、アーチフィス君は、どうするの?」
「あ・・・あ~!!コイツも出かけたいらしいんで、
一緒に行くよ!!じゃあ!!!」と言って、
遊舞は、アーチフィスを引っ張って、
慌てて家のドアを思いっきり開けて飛び出した。
〝バタン!!!〟
遊舞の父と母は、ポカンとした。
遊舞の父は、
「今日の遊舞、一体どうしたんだ?」と言った。
遊舞の母も同じく、
「そうね~。どうしちゃったのかしら?」と言った。
その時、
遊舞とアーチフィスは、一緒に外で歩いていた。
遊舞はいつも、
ギリギリの時間に学校に向かうため、
登校の時は、1人である事が多い。
「は~!!さっきは、ドキドキした~!!!」
「ドキドキした・・・?なぜでしょうか?」
「何でもないよ!!さっさと行こう!!!」
「はい」
18.アーチフィスの提案
そして、学校に着いた。
(いや・・・待てよ・・・コイツを連れていっても、
学校にコイツは入れないだろうし、どうしよ・・・
さっきは慌ててたから、今日は、何も考えずに
コイツを連れてきちゃった)
「あのさ、アーチフィス」
「どうなさいましたか?」
「悪いんだけど、やっぱり、帰って、昨日みたいに、
透明になって大人しくしててくれないかな?」
「どうしてですか?」
「小学校は、特別な時以外、生徒と先生しか入っちゃいけないし、
それに、もし、入らせてくれたところで、皆、日本人で、
今日なんか、生徒と先生しかいない中で、
21歳の、顔を見た事ないイギリス人がいきなり入って来たら、
皆、ビックリしちゃうでしょ!?」
「なるほど。そういう事ですか」
「うん」
「しかし・・・・・・」
「え?」
「私の魔法で透明になれば、入っても、学校の皆さんに
気づかれないのでは?」
「え!?確かに、そりゃ、出来ない事もないけど、
いくら何でも、それはマズいよ!!!
大体、何で、そこまでして学校に来たいの!?」
「私は、日本の学校というモノに、少し興味があります。
それに、もし、学校で、あなたの身に何かあっても、
私が隣にいれば、あなたを守る事が出来ます。私は、
魔法も使えるので」
「そっか。分かった。ありがとう。でも、僕が学校にいる間や、
帰る時は、ちゃんと、大人しくしててね。あと、
守ってくれるのは凄く嬉しいけど、学校や皆の前で、
〝透明〟以外の魔法は、使っちゃダメだからね!!!」
「分かりました」
〝シュン〟
遊舞がコントローラで操作し、アーチフィスは透明になった。
おそらく、家に帰るまでの間は操作しないだろうから、
アーチフィスを透明にしたら、すぐ、
コントローラをランドセルにしまった。
ここで言っておくが、遊舞は、アーチフィスがそばにいる時は、
何かあった時、アーチフィスを操るため、
「Partnerson」のコントローラを常に持っておくようにしている。
19.見えない攻撃
そして、遊舞は、学校に入り、自分のクラスの教室へ向かう。
そして、教室に入った。
「良し!!」
遊舞の教室では、担任の先生がいつものように、
ホームルームをしていた。
〝キーンコーンカーンコーン〟
「〝起立〟〝礼〟〝着席〟」
ホームルームが終わると、また色々な授業が始まる。
しかし、昼休憩になると、
遊舞の隣のクラスの「6年1組」の5人の生徒達が、
担任の先生がいない事を良い事に、
1人の生徒をいじめていた。
だが、遊舞は、
その時、運動場で遊んでいたため、
その事に気づかなかった。
「アッハッハッハッ!!!お前、いっつもいっつも、
ダサいし、地味なクセして、
先生の前で良い子ぶりやがって!!!
成績優秀の優等生だからって調子に乗りやがって!!!
ムカつくんだよ~!!!」
〝ドン〟〝ガン〟〝バン〟〝バコン〟
「やめてよ~!!!痛ッ!!!痛ッ!!!」
しかし、次の瞬間、いじめっ子達は・・・・・・
〝ボコ!!!〟
「え?アレ!?何だ!?今の!?」
〝ドカ!!!〟
「いってぇ~!!!まただ!!!一体誰が!?」
〝ボコスカ!!!〟
「ハァ・・・ハァ・・・さっきから何なんだよ!!!
まるで、見えないところから、思いっきり、
何度もパンチやキックをされてるような感じだ・・・」
そして、最後は思いっきり、まとめて吹っ飛ばされた。
〝ドンガラゴッシャーン!!!〟
「な・・・!!!何なんだよ!!!一体!!!」
いじめっ子達は、ビクビクしながら震えていた。
「に・・・逃げようぜ!!!ワ~ッ!!!」
〝トットットットットットッ!!!〟
そうして、いじめっこ達は、逃げて行った。
「フ~ッ!!!」
いじめられていた男の子は、ホッとしたが、
突然のその不思議な現象に、とても驚いていた。
「は~。助かったけど、一体、今の、何だったんだろう?」
実は、これは、アーチフィスのしわざである。
アーチフィスが透明になった状態で、
いじめられっ子の男の子を守るために、
いじめっ子達を殴ったり蹴ったりして、追い払ったのだ。
しかし、おかしいといえばおかしな事だ。
アーチフィスは、現実世界にやって来てからというもの、
喋ったり、歩いたり、食べたりなどの単純な動作は1人でするが、
今のところ、それ以外の、戦闘、魔法などの動作は、
遊舞の操作なしでした事はないし、それに、さっき、
「遊舞を守る」と言ったのも、それは、あくまでも、
遊舞がゲームで良く使っていた〝相棒〟のような存在で、
「遊舞は、〝プレイヤーという名のご主人様だから
守らなければいけないと思っている〟という使命感がある」
というだけだったからである。
なので、今の、
「遊舞以外の人を守ろうとした」というのは、
少し、不可思議な行為でもあったのだ。
もちろん、
アーチフィスがそんな事をしている事は、まだ、
遊舞も知らなかったのだ。
20.先生からのお知らせ
その後、昼休憩が終わり、5時間目も6時間目も終わり、
そして、またホームルーム。
担任の先生がこんな事を語った。
「え~、今日は、皆さんに、あるお知らせがあります。
今日の昼休憩に、隣の6年1組の、男の子達が、突然、
教室で、原因不明のケガをしたそうです」
それを聞いた遊舞は、
(え~・・・?どういう事だ・・・?)と思った。
「なので、皆さんも、注意してください。対策はありませんが、
いつ、どこで、また同じ事が起こるか分からないので、
それだけは、覚えておいてください」
(おかしな事が起こったんだな~)と、遊舞は思った。
21.泳の難しい話
〝キーンコーンカーンコーン〟
「〝起立〟〝礼〟〝着席〟」
その後、
遊舞は、いつものように、友達達と一緒に帰った。
今日、遊舞の下校を共にするメンバーは、
「宙尾泳」「音田奏」「十装演人」である。
すると、一緒に歩いていた奏が話しかけてきた。
「さっき、先生が言ってた、
1組で起こった事、一体、何だったんだろうね」
「さぁ・・・」と遊舞が答える。
しかし、そこで、泳が
「確かに、常識では考えられない事だけど、
ありえなくもないな」と言った。
そこで、皆、
「えっ!?」と驚いた。
泳のその一言に対し、皆、
「何で、ありえるかもしれないの!?」と言った。
泳は、
「俺、宇宙飛行士になるから、科学にも興味があって
勉強してる・・・っていうか、勉強しないといけないから
解る事なんだけど、この世の全ての事って、
実は、全部、当たり前じゃないんだよ」と言う。
すると、皆、また、
「どういう事!?」と言った。
「あのね、〝宇宙って爆発から生まれた〟って説は有名だけど、
もし、本当にそうだとしても、
〝その爆発って何がどうなって起こったのか〟までは
ハッキリ詳しくは解んないし、だから、
〝無から有はありえない〟なんて常識も、
実は違って、それも、今までに、
自分や誰かが目で見た事しか信じられない人間達が
勝手に決めつけた事かもしれないでしょ?だから、この世界、
普通に考えたらありえなさそうな色んな不思議な現象も、
もしかしたら起こる可能性があるんだよ。だから、この世界には、
もしかしたら、〝魔法〟とかもあるかもしれないし、
実際に、それが使える人も、本当にいるかもしれないよ。
たとえば、昔は、誰も、〝ある〟って事さえも知らなかった
色んな科学的なエネルギーが科学者達によって発見されて、
それを使って、〝飛行機〟みたいな空を飛ぶ乗り物、
物凄い速さで走る、〝電車〟、あるいは、〝車〟、
もっといけば、ちょっとだけ昔の80年代の人達とかが、
昔だったら信じられないような、
俺達も使ってる〝スマホ〟とかがもう、当たり前のように、
俺達の生活にあるのが何よりの証拠さ!!!」と、泳は語る。
それを聞いた皆は、
「ちょっと、話が難し過ぎて、どういう事が解んない」と言った。
泳は、
「あ~、ごめん!!ごめん!!でも、これから、
中学校や高校でも、こんな感じの事、教えてもらうし、
そのうち、解る時が来るよ!!!」
「そっか!!でも、何か、それって、
考えたら凄くワクワクする!!!」と、遊舞以外の2人は言った。
22.考え事をしながら下校する遊舞
その後もしばらく歩いて、
遊舞は、泳含め、また、他の子達と1人ずつ別れ、
最後は、また、遊舞だけが1人で歩いていた。
その時、遊舞は、その、さっきの、
泳が言った事について1人で考えていた。
「ん~。さっき、泳は、あんな難しい事言ってたけど、
良く考えてみたら、どういう事か、
解らないでもないな~。泳が言ってた機械が今、
当たり前のようにこの世界にあるのもそうなんだけど、
それだけじゃなくて、僕の大好きな〝Limitless Chance!〟から
アーチフィスが飛び出してきて、しかも、それで、
会話が出来るだけじゃなくて、現実でも操作出来て、
ゲームと同じように、魔法を使わせる事まで出来ちゃうなんて事が、今、本当に起こってるんだから」と独り事を言った。
しかし・・・・・・
「今日、1組で起こったっていうあの事は、
一体、何だったんだろう?」とも言った。
遊舞は、
「普通ならありえない現象が現実世界で起こる」という現象も、
既に、アーチフィスによって体験しているし、
また、アーチフィスによって、
現実世界で魔法を目の前で見ているので、
泳の言っていた事は、後々、冷静になって考える事で
理解出来たのだが、まだ、今日、昼休憩に遊舞の学校で起こった、
「どこからともない、良く解らない現象によって、
6年1組の生徒達がケガをした」という事件が、
まだどういう事なのか見当もつかず、その真相を知らなかった。
23.優秀なアーチフィス
「ただいま~」
「お帰り~」
「うん」
遊舞は、自分の部屋に入り、今日、
学校で起こった不可思議な出来事について、まだ考えていた。
「う~ん・・・にしても、今日は、1組のヤツら、
大変だったな~・・・怖かっただろうな・・・でも、
僕の身にも起こるかもしれない。先生も言ってた通り、
気をつけないとな」
そして、宿題をした。
「フ~ッ!!今日の宿題も終わった~!!
あ~、そうだ、そろそろアーチフィスの姿を戻さないと。
アーチフィスは、僕のパートナーだから、ちゃんと、
僕のそばについてるよな?」
遊舞は、ランドセルからコントローラを取り出し、
アーチフィスの〝透明〟の魔法を解く。
〝シュン〟
アーチフィスが現れた。
「やっぱり、アーチフィスは、いつも、
パートナーの僕のそばにいるんだ!!」
「はい。私は、必要のない時以外は、なるべく、
あなたのそばにいます」
「そっか!!ついててくれてありがとう!!
アーチフィスは、強いし、頭も良いから、
そばにいて、頼もしいよ!!!」
「いえいえ。コレも、私の当然の務めです。
ここに来る以前から、
あなたが私の事を良く頼ってくださっている以上、
あなたは、私のご主人様なので」
「そっか!!でも、ありがとう!!!あ~!そういえば、
アーチフィス、頭が良いからさ、
明日から、代わりに宿題やってくれない!?
そうそう!何でこんな事、早く気づかなかったんだよ!!
僕は!!!」
「ダメです。不正はいけません」
「え~!!ケチ!!僕は、ご主人様なんだろ!!!」
「それは、そうなのですが、
倫理的に良くない行動を手伝うワケにはいきません。
ただ・・・・・・」
「ん?」
「教える事は、出来ます」
「ホント!?」
「はい」
「やった~!!!やっぱ、頼もしいぜ~!!!
アーチフィス!!!」
「いえいえ」
24.アーチフィスはクール?それとも、鈍感?
「でもな~、今日はもう、宿題、やっちゃったし、何しよ?
あ~、そうだ!アーチフィス、昨日、観た映画、どうだった?」
「・・・・・・昨日も申しました通り、良かったですが?」
「え?ホントにそれだけ?
〝主人公の女の人が可愛い〟とか、〝綺麗〟とか、
〝お相手の男の人がカッコ良い〟とか、〝感動した〟とか、
そういうのは、ないの?」
「う~ん。私が今まで観た事がない類いの映画でしたので、
自分にとって新鮮で、1つの文化としては良かったのですが、
私は、誰かに恋をした事がないので、恋愛というモノが
良く解らないんですよ」
「そっか。そういえば、アーチフィスは、
クールで、あんまり感情を出さないキャラだったな」
「はい」
その時、遊舞は、
(そうだ。そういえば、コイツは、
現実世界にやってきてから、漫画を読ませても、
映画を観させても、〝良い〟とは言っても、
〝面白い〟とは言わなかった。何でだろ?)と思った。
その後、2人は、色々と話をした。
そして、夜になって、寝た。
「アーチフィス、おやすみ」
「はい。おやすみなさい」
遊舞は、電気を消した。
25.空腹に耐えるアーチフィス
次の日、起きてから、まず、
アーチフィスの〝透明〟の魔法を解いた。
〝シュン〟
今日は、木曜日だ。
「アーチフィス、おはよう」
「おはようございます」
次の瞬間、アーチフィスのお腹が鳴った。
〝グ~ッ〟
「あ~、すいません」
「は~。アーチフィス、またお腹空いたの?ってか、
お腹空くの、早過ぎない?」
「すいません。私は、昨日も、朝食以外食べていないもので」
「そっか~。じゃあ、仕方ないね。
ごめんね!そういえば、アーチフィスに昨日、朝ご飯以外、
何も食べさせてあげてなかった!!アーチフィスも、
ゲームキャラとはいえ、この世界の人と同じように、
〝食べる〟っていう大事な事をすっかり忘れちゃってたよ!!!
ホントごめん!!!ってか、それで昨日は良く
ご飯食べなくて、大丈夫だったね!!!」
「あ~、私のしていた仕事は、とても過酷だったので、
食べられない事も多かったんです。なので、
空腹に耐える事は、以前からの習慣のようなものなので」
「そうか~。凄いな~。じゃあ、仕方ない。今日も、
朝ご飯、食べに行こっか」
「はい」
遊舞とアーチフィスは、今日もまた、リビングへ向かう。
26.2度目のシチュエーション
「おはよう~。お父さ~ん、お母さ~ん」
父と母が揃って、
「おはよう遊舞。って、また!!!」と言う。
アーチフィスは、
遊舞の父と母に
「おはようございます」と言った。
「ア・・・アハハハハハ・・・・・・」と遊舞は、
ぎこちなく笑った。
「昨日だけでなく今日も!!一体何なんだ!!!」と、
遊舞の父は言った。
「いや~、ちょっとまぁ、色々あってさ・・・・・・」
すると、遊舞の母が
「まぁ、良いじゃない!!この人、ちょっと変わってるけど、
言葉遣いも、とっても丁寧だし、礼儀作法だってとっても良いし、
凄く良い人そうな気がするわ!!!」
すると、遊舞の父が
「う~ん。まぁ、仕方ないな。アーチャーだっけ?」
「アーチフィスです」
「そうか。まぁ、とにかく、座って」
「はい」
「やっぱり、朝メシは大事だ。食べていきなさい」と、
遊舞の父は言った。
「すみません、昨日も今日もお世話になってしまって」
「気にする事はない。俺も、昔、子供の頃は良く
〝情けは人のためならず〟なんて言われて、良く、
〝相手が誰であろうと、
目の前に困っている人間がいたら、
絶対にほっとくな〟って、
親父やおふくろに何度も言われてたから」
「そうなんですね」
「あぁ」
すると、遊舞の母が、また、
アーチフィスに、朝ご飯をくれた。
「いただきます」
アーチフィスは、また、
遊舞や遊舞の父や母と一緒に朝ご飯を食べた。
数十分後、食べ終わった。
食べ終わった後、遊舞の母は、アーチフィスに
「今日はアーチフィスさん、どうするの?」と聞いた。
アーチフィスは、
「私は・・・・・・」と言う。
そこで、遊舞は慌てて、
「あ~!アーチフィス、行こう!!!
行ってきま~す!!!」と言い、
慌ててアーチフィスを引っ張って、家を飛び出した。
〝バタン!!!〟
27.この世界では異質なアーチフィス
「フ~ッ!!」
「なぜ、そんなに慌てているのですか?」
「いや、だって、ずっと普通に姿が見えてる状態のままで
家の中にいられると、何か不安だし、かと言って、
突然、魔法で透明になっても、それはそれで怪しいし、
父さんも母さんも、ビックリしちゃうだろ?」
「不安・・・なぜ不安なのでしょうか?それに、
なぜ、それで驚くのでしょうか?」
アーチフィスは、この世界では
〝他の人は皆、魔法が使えない〟という事も、
そんな〝魔法が使える自分〟がこの世界では
異質である事も、
まだ知らないようだった。
(はぁ・・・アーチフィスって頭良いのに、
〝現実とゲームの違い〟だけは、
まだ理解してないんだな~)
そして、今日もまた、一緒に、歩いて学校へ向かった。
「遊舞さん、今日も、透明になって、あなたのそばにいます」
「ありがとう。じゃあ、頼んだよ」
「はい」
遊舞は、また、アーチフィスを透明にした。
〝シュン〟
28.何事もない事にホッとする遊舞
遊舞は、また学校に入って、授業を受けた。
その日の6時間目の授業は、
「理科」だった。
遊舞はその時、
(あ~、この教科、成績優秀な泳が特に得意なヤツだ!!でも、
昨日、泳はあんな事、言ってたけど、言ってた事、何が何だか
さっぱり解んなかったな~)と思っていた。
やがて、授業が終わり・・・・・・
「〝起立〟〝礼〟〝着席〟」
〝キーンコーンカーンコーン〟
その日もまた、泳、奏、演人と一緒に帰った。
すると、奏が
「今日は、何もなかったね~。良かった良かった!!」と言った。
遊舞も、
「うん!!本当に良かったよ!!!」と言った。
すると、演人は、
「しかし、昨日のアレは、何だったんだろうね~」と言った。
遊舞は、
「さぁ?でも、今日はホント、
何もなくて良かったな~!!!」と言う。
奏と演人は、
「そうだね」と答えた。
泳は、
「そうだね。でも、昨日の事、どういう事だったのか、
本当に気になるね」と言った。
遊舞は、
「うん。それに、先生も言ってた通り、
また、いつ起こるか分からないから、
気をつけないといけないね」と答えた。
奏と演人と泳は、
「うん。気をつけよう」と言った。
数十分歩いたところで、
また皆、バラバラになり、遊舞はまた1人になった。
遊舞も、
(そうだよな~。気をつけないとな~)と思っていた。
29.特技とは?
「ただいま~」
「おかえり~」
家に帰った後、また、いつものように
自分の部屋へ行った。
「良し、アーチフィスの透明を解くか」
〝シュン〟
「アーチフィス、昨日、言ってくれた通り、
ちょっと宿題、手伝って~」
「かしこまりました」
「算数の問題のここなんだけどさ、
これ、一体、どうやって解けば良いの?」
「あ~、コレですか。ここはこうして」
「なるほど~!説明が解りやすい!!
さっすがアーチフィス!!!」
〝カキカキカキカキ〟
「ここは、どう解くの?」
「こうです」
「なるほど~!!ホント助かる~!!!」
いつもなら30分ほどかかる算数の宿題が、
アーチフィスが教えてくれると、
10分で終わってしまった。
「わ~!!あっという間に終わっちゃった~!!!
ホント、ありがとう!!!アーチフィス!!!」
「いえいえ。これくらい、何でもありません」
「いや~、でも、アーチフィスって、
ホントに凄いな~!!カッコ良いし、頭良いし、
ホント、僕なんかとは大違いだよ!!!」
「いえ、遊舞さんも、努力すれば、
これくらい出来るようになりますよ」
「そうかな~?」
「はい。きっと」
「ありがとう。でも、きっと、アーチフィスには敵わないよ」
「ありがとうございます。ですが、遊舞さんも、
まだ、自分で自分の才能や魅力に気がついていないだけなのでは?」
「え~?そう?僕の才能や魅力って何だろう?
僕は、特別、頭が良いワケでもないし、同じクラスの子達みたいに
何か得意な事があるワケでもないし、
あえて言うなら〝ゲーム〟。ってとこだけど、
〝ゲーム〟が上手いからって、別にモテるワケじゃないし、
それを〝カッコ良い〟って思ってくれる人も、少なそうだしな~」
「そうですか?世間がどう評価するかは知りませんが、
私は、無駄な特技などないと思っていますが」
「そうかな?」
「はい」
その時、遊舞は、
(今まで考えた事もなかったけど、
僕のこの特技がいつか役に立つ時が来るのかな~?)と
思っていた。
その後、漢字ドリルや国語の教科書の音読もして、
全ての宿題をした。
「ああっ!終わった~っ!!」
「お疲れ様でした」
30.現実世界の音楽
「じゃあ、今日は何しよ。あ、そうだ!!
アーチフィス、〝音楽〟聴いてみない?」
「〝音楽〟ですか?」
「え?アーチフィス、音楽、知らないの?」
「いえ、知っていますが、遊舞さんのような年齢のお方が
音楽を聴くというのが、少し意外で・・・」
「失礼だな~!!どんな年齢でも、音楽って、楽しいんだよ!!!」
「そうなんですか」
遊舞は、アーチフィスに
CDで〝J-POP〟の色々な曲を聴かせた。
〝♪~〟
「なるほど」
「ん?どうかしたの?」
「いえ、〝音楽というのは、こういうモノもあるんだな~と
思いまして〟」
「え?アーチフィス、〝J-POP〟聴いた事ないの?」
「はい。私は、元々は、イギリスに住んでいたので」
「そっか~。まぁ、アーチフィスにとっては、
色んなモノが、まだ見慣れないモノばっかだもんな~。
でも、〝J-POP〟も、なかなか良いでしょ!?」
「はい。良いとは思います。
こういう文化もあるのだという事が良く解りました」
「え?何か、曖昧な感想だな~・・・他に何か感想ないの?」
「・・・それ以外には、ありませんね」
遊舞は、
(・・・そっか~。やっぱり、アーチフィスには、
〝面白い〟って事がどういう事か解らないんだな)と思った。
31.遊舞の両親への頼み事
「あ、そうだ!!そういえば、アーチフィス、
今日もまだ、朝ご飯しか食べてなかったな~!!
じゃあ、何か食べようか」
「良いんですか?」
「良いよ!遠慮すんなって!!」
「ありがとうございます!!!」
遊舞は、アーチフィスと一緒に、またリビングへ行った。
〝ガラガラガラガラ〟
遊舞は、
「お父さん、お母さ~ん!晩ご飯~!!」と言う。
すると、遊舞の父と母は、
アーチフィスの姿を見て、揃って、
「あ~、遊舞~!って、おい!何で、またいるんだ!!」と言った。
すると、遊舞は、
「あ~・・・まぁ、その、色々あって・・・・・・
アハハハハハ・・・・・・」と言う。
アーチフィスは、
「どうも。こんばんは」と挨拶をする。
遊舞の父は、また
「まぁ良い。そこに座りなさい」と言った。
「ありがとうございます」
「ありがとう。父さん」
「いやいや」
遊舞とアーチフィスは、イスに座った。
遊舞の父は、遊舞とアーチフィスに聞いた。
「ところで、気になるんだが、
アーチフィスさん、とやらは、いつも、
何で突然現れるんだ?それに、どうやって?」と。
「ブ~ッ!!!」
それを聞いて、遊舞は、
思わず、食べていたご飯を吹き出した。
遊舞は、
「あ、あ~・・・それは・・・・・・」と言う。
しかし、遊舞の母が
「まぁ、もう、そんなの、どうだって良いわよ。
確かに、この頃、いつも、突然現れて、ビックリするけど、
遊舞の友達なら、悪い人じゃなさそうだし、
実際、とても良い人そうだし。第一、
こんな言葉遣いが丁寧で礼儀正しい人が悪い人だとは
思えないし」と言った。
遊舞はそこで、
「フ~ッ!!」とため息をつき、ホッとした。
そこで、遊舞は、父と母に、
「ねぇ、父さん、母さん、これからアーチフィスさ、
一緒に住んでも良いかな?」と言った。
すると、今度は、
遊舞の父がご飯を吹き出した。
「ブ~ッ!!何を言うかと思えば、今度は、何だ急に!!!」
「い、いや、まぁ、ちょっと、アーチフィス、
今、凄くお金に困ってて、アパートで生活しようと思うと、
家賃とか、食事代とか色々、大変なんだって。だから、
これからは、一緒に暮らせたら助かるんだよ」
アーチフィスは、
「私は、そのような事は・・・・・・」と言う。
するとすぐ、
遊舞は、アーチフィスの口を抑え、
父と母に、
「ダメかな~?」と聞いた。
遊舞の父と母は、
「う~ん。分かった」と答えた。
遊舞は、
「わ~!!ありがとう!!!」と言った。
アーチフィスも、
なぜ遊舞が急にそんな事を言い出したのかは、
全く分かっていなかったが、
そんな、自分を遊舞の家に住ませてくれる遊舞の父と母に、
「ありがとうございます」と言った。
そして、晩ご飯を食べ終わった。
「ごちそうさま」
「ごちそうさまでした」
32.優しいアーチフィス
その後、遊舞とアーチフィスは、風呂に入り、遊舞の部屋に戻った。
部屋に戻ると、アーチフィスが遊舞に
「なぜ、さっきは、あのような事を言ったんですか?」と言った。
「あ、あ~、いや、だって、アーチフィスさ、
他の人の家に住ませてもらう事は、多分、出来ないでしょ?
それに、多分、元いた世界に戻る事も、出来ない。
だから、ここで生活するしかないって事さ」
「なるほど」
「でも、良かったじゃん。これで、これからも、
ちゃんと生活していけるよ」
「そうですね。ありがとうございます!!!」
「いやいや!!良いよ良いよ!!!」
(これで、これからは、家の中では、アーチフィスの事で
慌てなくて良いな)
アーチフィスは、
「確かに、遊舞さんと共に住んでいれば、
遊舞さんを、いつでもお守り出来ますね」と言う。
「そういえば、そうだな。って、え!?
アーチフィス、つきっきりで僕を守ってくれるの!?」
「はい。遊舞さんは、ご主人様なので、当然」
「ホントに?!ありがとう!!!やった~!!!
頭も凄く良くて、魔法も使えて、強い、アーチフィスが
いつでも僕を守ってくれるなんて、凄く心強いよ!!!
これで、何があっても、全然怖くない!!!」
「そうですか!それは、光栄です!!では、明日からも、
引き続き、あなたを護衛します」
「うん!!じゃあ、今日は、もう遅いし、寝よっか!!!」
「はい」
33.ついにテーマパークへ行ける!!!
そして、翌日・・・・・・
「ん・・・ん~~~!!!良く寝た~!!!
おはよう!アーチフィス!!って、まだ寝てる。
アーチフィス、いつも、ホント、良く寝るよな~。
仕方ない。まだ時間には余裕あるし、起きるまで
待っててやるか。その間に、着替えとかしとこう」
遊舞が着替えると、その時、アーチフィスが起きてきた。
「おはようございます」
「あ~、おはよう。じゃあ、朝ご飯、食べに行こっか!!!」
「はい」
遊舞とアーチフィスは、リビングへ向かった。
「お父さん、お母さん、おはよう」
「おはよう遊舞」
「おはようございます」
「あ~、おはようございます。アーチフィスさん」
「おはよう。アーチフィスさん」
すると、母が、
「今日からアーチフィスさん、新しい家族なのよね」
「そうだな」
「そうですね。これから、よろしくお願いします」
「いえいえ!!こちらこそ!!!」
「ところでアーチフィスさん、日本はどう?」
「とても良い国ですね!!!来て良かったです!!!」
「そう!!!
じゃあ、そんな日本が気に入ったアーチフィスさん、
ちょうど良いから明後日、
一緒にテーマパークに行きましょう!!!」
「え!?お母さん、良いの!?」
「良いわよ!!!先週は、大雨のせいで行けなくて、遊舞、
とっても悔しそうにしてて可哀想だったし、何より、
アーチフィスさんもいるし、人数が多い分、
より楽しそうでしょ!?その日は、この前と違って、
遊舞の好きなゲームのイベントがないのが残念だけど」
「ホント!?やった~!!!ゲームのイベントがないのは、
確かに残念だけど、テーマパーク、楽しみだ~!!!
ねぇ!!!アーチフィスも行くよね!?」
「はい」
「やった~!!!決まりだ~!!!」
遊舞の父は、遊舞に
「良かったな!!遊舞!!!」と言った。
「うん!!!楽しみだ!!!」
そして、皆、朝ご飯を食べ、
その日もまた、遊舞は、アーチフィスと出かけた。
「行ってきます」
「行ってらっしゃ~い。気をつけてね~」
遊舞とアーチフィスは、また一緒に学校へ向かう。
「いや~、しかし、明後日、テーマパーク、楽しみだな!!!」
「はい。私は、〝テーマパーク〟というものが
どういったモノなのか存じませんが」
「そっか~。でも、どっち道、
行けば、どんなところか分かるよ!!!」
「そうですか」
「うん!!!」
はじめまして!ゲームキャラ!!はじめまして!現実世界!!